80.人生は、いつ終わるか誰にも分からず、故に果てしないからこそ、希望に溢れ、素晴らしいのだと思う。 老いた状態で生まれ落ち、次第に若返っていくという男の数奇な人生は、同時に明確な“終わり”を常に意識し、感じ続けなければならない過酷過ぎる人生だったと思う。 その過酷さが、イコール悲劇では決してないのだけれど、彼が携えるどこまでいっても拭いきれない「悲哀」に胸が詰まり、その彼を愛した女の人生に涙腺が緩んだ。 とても長い映画ではあるが、その尺の長さは、主人公の人生を生い立ちから描く上で必要なもので、終盤になるほど序盤の一つ一つの描写がとても効果的に効いてくる。 ついには、映画の終わりと共に、主人公の人生が潰えてしまうという必然すらも、悲しくなってくる。 皺だらけの老人から、どんどん若返り美しくなっていくブラッド・ピットの様は、ファンの女性にはたまらなかっただろうし、演技の質もとても高かった。 ただ個人的にもっとインパクトが大きかったのは、ケイト・ブランシェットの女優としての美しさと巧さ。 可憐な10代の少女を演じたかと思えば、死を間近にする老婆に転じる。圧倒的なその“女優力”は、もはや「現役最高女優」と言って過言でないだろう。 この映画は、決して短絡的に、面白かった、悲しかった、楽しかったとは言えない。 様々な感情が常に混ざり合って展開し、誰にも平等に存在する「死」へと向かっていく映画だ。 それは、決して悲劇的な意味ではなくて、その揺るがない部分こそ人生の面白さであり、素晴らしさであろう。 そういうことを、とても奇妙な一生を送った男と、その男を愛した女の「人生」の中で、ユニークに、しっかりと描いた作品だと思う。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-02-11 23:13:37) (良:2票) |
79.ありえない設定ですが、決して特殊効果のSF映画ではありません。時間や老い、人との出会いがテーマです。この映画は、「今ここでこの瞬間を生きる」ことの大切さを語りかけています 【amicky】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-26 11:01:54) (良:1票) |
78.この映画のテーマは"人の死"であることに、見終わってから気付いた。 ベンジャミンの周りの人々はみな老いて死んでいく。何故って?それは人間だから。そんな普遍的かつ語りづらいテーマを、ファンタジーというオブラートに包んで上手く表現したなぁ…という感じ。 デビッド・フィンチャーは、鬼才と称されるだけあって、今までは理解し難い映画ばかり作ってきたのだと思う。(全て見てきたわけではないので断言はできないが) が、この作品はフィンチャー作品の中ではとても理解しやすく、万人受けする作品に仕上がっている。 3時間弱という上映時間を長く感じさせない演出も、流石といったところ。 男女の愛であったり、家族愛であったり、"老い"であったり…と、この映画に散りばめられたテーマは多い。誰もが、どこかで共感できる部分を見つけられるだろうし、見終わった後には、それぞれ自分が見つけたテーマについて考えさせられると思う。 特殊メイクで老人になったブラピが見えるのも、この映画の話題性の一つかも。 是非、3時間彼と一緒に、1人の男の人生の軌跡を辿ってみて欲しい。 【Sugarbetter】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-01-27 16:21:47) (良:1票) |
77.3時間近い長尺に、「ちょっと退屈だな…」と思いながら鑑賞していたが、エンドロールでは自然に涙が零れていた。人は平凡でありきたりで少しばかり数奇な「自分だけの人生」を生きているのだ。そんな「当たり前」が声高にではなく、そっと寄り添うように語られており、静かに心を震わせる。いい映画でした。 【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-07-22 08:03:15) (良:1票) |
76.荒唐無稽な設定の主人公の人生を淡々と描いた、ありきたりともいえる3時間近い物語を飽きさせないフィンチャーの演出力に、まず拍手。 決して派手ではないが、絵画的なフィンチャーの映像は、この長くて静かな作品に非常に合っていたように思う。 主演ふたりの幅広い年齢の変化を、違和感無く見せたCG技術にも驚嘆したし、背中のシミやたるみで老いていくヒロインの姿を描くなんてのは、残酷だけど、うまいなぁと感じ入った。 お互いの人生の中で外見上最も自然にいられるほんの数年間を一緒に暮らし、今の自分たちの姿を目に焼き付けておきたいと鏡の前で寄り添うふたりの姿は、哀しいけれど「愛であれ、モノであれ、永遠はナイのだ」ということを知っている世代のわたしには、胸に迫るものがあった。 それにしても、ブラッド・ピットの若く美しい姿が少なすぎ。 無残な老人姿のブラピを眺めながら「ああ、早く若くなって~」と切望したのはわたしだけじゃなかったハズ(笑) 【poppo】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-03-16 07:20:03) (良:1票) |
75.なぜか映画をみているあいだ何回も涙が流れてきた。特別に山がある映画でもなく淡々と話は進むけど、3時間弱の長さの映画をまったく退屈することなく描くデビットフィンチャーの力量に改めて感心した。 しかし特別泣かせるような演出もないのにラストは涙が止まらなかったのはなぜだろう。それを再確認するために再見したいがこの映画は数年後にもう一回みたほうがまた別の感動を得られるような気がする。 【まつけん】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-16 23:51:36) (良:1票) |
74.老人の老いた肉体を持って生まれた男の人生をたどる物語です。陳腐なメイクや演出がストーリー展開を壊しているのではないか?という危惧があり、当初はこの点を気にして見るのを止めようかと思ったほどでしたが、それはまったく余計な心配でした。特殊メイクやCGの出来が良く、ブラピが違和感なく老人から青年へと若返ります。そしてその違和感のなさによって『若返りという無茶な設定を成立させる事』に成功しています。さて肝心の内容についてですが、ゆったりと流れる時間の中を若返って行く主演男優と老いて行く主演女優の人生に、いつしか自分自身の人生を重ね合わせてしまう方も多いのではないでしょうか?それは誰しもが老いて行く過程において経験する『在りし日の自分を顧みる事』にも似ており、心の奥底に眠っている遠い記憶に触れてしまったような少し切ない余韻が残ります。若さは罪ではありませんが、もし自分が人生経験の短い頃にこの映画を見ていたら平凡な伝記小説を読んだ程度の感想しか持たなかったかもしれません。この映画は、出会いと別れや喜びと悲しみを幾重にも重ねた『人生を振り返る余裕の出来た年齢の方』に是非お勧め致します。 それと追記として、作品の扱うテーマが繊細だという事と字数制限で仕方がなかったということを理解したうえであえてなのですが、もう少し字幕のニュアンスをがんばって欲しかったと思った事を付け加えさせて頂きます、おそらく観客に伝わっていない事が多いと思います。 【はいぷ】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-02-14 15:39:18) (良:1票) |
73.「ブラピ」が存分に楽しめる。まさにそれだけという、「ジョー・ブラックをよろしく」と似たような作品。こんな長時間かけて紡ぐほどの物語ではなかったと思う。特に前フリが長すぎる。ただただ、若返っていくという設定だけがあって、他は何もないという感じ。次のシーンはどれくらい若返るのか、それだけを楽しみながら観ていた。ブラピ好きには間違いなくお勧めの一本。 【えいざっく】さん [映画館(字幕)] 3点(2009-02-14 15:21:45) (良:1票) |
72.長い映画ですけど、まったく退屈じゃなかった。普通、人は年老いていくってのがあたり前だけど、もし、逆に生きる人がいたとして、その人の視点から人生とゆうものを観れば、人の一生は、生や死というものは、愛や永遠や孤独というものは、その人の目にはどんなふうにうつるのだろう。ってのを様々な人たちの交流を軸に丁寧に描かれていました。なんだか、観終わった後には、人生や死とゆうものを前向きに色々考えてしまいます。どんな人生だろうと、人はむかえが来たら、かならず行かなくてはいけない。あたりまえだけど、ただ、年老いてい終わりを迎える事がそんなに嫌じゃなく思えてきて、そう考えると、これは人生讃歌映画なのかもしれません。もちろん、若いブラピは完璧。これを映像化できるのもすごいです。なるほどと思わせる台詞なんかもあったりして、人生を色々考えたいって人にはおススメかも。 【なにわ君】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-02-08 22:28:44) (良:1票) |
【TERU】さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2023-07-02 11:21:30) |
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70.荒唐無稽な設定が前提なので、及び腰で鑑賞。どこかで荒唐無稽さを忘れて感情移入できるような話になるかなと期待していたのですが、最後までなりませんでした。数奇どころか、前提がこうなら(あり得ないけど)結果はこうなるだろうなあという退屈で平々凡々な人生です。特に見どころはありませんが、強いて言えば主役2人の特殊メイクぐらいでしょうか。あるいは特殊メイクにカネをかけすぎて、脚本代をケチったのかもしれません。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 3点(2020-02-13 01:15:46) |
69.ただ1人若返っていくっていうのは寂しいもんなんだなー。 【へまち】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-12-04 16:20:44) |
68.フィンチャーがメガホンをとった割にはずいぶんと優しいドラマな話じゃないか。やはり魅せ方は凝っていて飽きない。 リアルさに欠けるがそれはファンタジーとして許容範囲内。 一般的な人間と真逆の時を生きていく話。つまり年寄で生まれて若返ってく。 赤ちゃんとして死ぬのか、ひょっとしたら不死なのか。と最後まで気になる展開。 この映画の見所は若さや老いの演出からやはり美術か。特に現ブラピからの若返り演出は凄かった。 エンドロールはなんとなく切ない気持ちで観賞に浸れる。 |
67.なんと悲しい最期。話も中盤から何となくハッピーエンドはあり得ない展開でしたが、デイジーが老いていくよりも、ベンジャミンがどんどんと子供になっていくというのは、なんとも見ていて切ない。あり得ないファンタスティックな映画だが、残酷な映画とも言えるだろう。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-06-12 01:34:47) |
66.この設定は飛ぶ夢をしばらく見ないと同じだけど、決定的な違いが1つある。 それは性別。 女性がどんどん若返るのはワクワクするし、なんだかエロいけど、若返ってく男に何の魅力があるのかさっぱりわからない。 今からでも遅くないから性別入れ替えてリメイクしてみ。 もうちょっとマシな作品になるから。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 3点(2016-01-07 16:10:16) |
65.なんともモヤモヤするファンタジー。ブラッド・ピッドのファンの方にはいろんな彼が見られるのでオススメ。 【movie海馬】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-02 17:11:53) |
64.ストーリー、描写、キャスティング、全てが面白いんですが「じじいとして生まれ、年とともに赤ちゃんに戻ってゆく」という根本的に有り得ない設定が受け入れられませんでした。 映画自体は人生の縮図になっており素晴らしいものでしたが、設定にリアリティが感じられないのは致命的です。やはりフォレストガンプのようにリアルに受け入れることができる状態でないと説得力が感じられません。惜しい映画です。 【アラジン2014】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-09-25 15:08:40) |
63.え?これフィンチャーなの?ってくらい丸くなったねフィンチャー。 F・スコット・フィッツジェラルドの短編の映画化で1991年から転がり続けてきた企画をデヴィッド・フィンチャーが手掛けた作品。 「ゾディアック」あたりからちょっと丸みが出てきたかなーなんて思ってたけど、「セブン」の頃を思うと鋭さは無くなったけど落ち着きというか、作品に余裕が出て来たと思う。 以前は短時間にありったけの情報をブッ込む感じだったけど、今は少し長くして情報を飲み込みやすくしたというか。 この映画は彼の作品の中でもっとも優しい部類には入るだろうね。 生まれた瞬間から80歳の老体。見た目こそ老いた姿だが、肉体年齢は赤ん坊そのもの。 年月が経つにつれて彼は若返り、普通の人間が歳を重ねるように生をまっとうしていく。 ブラッド・ピッドのメイクは、本当に老人から若者の姿にうつり変わっていくようだ。 見た目は「幼いが故に言葉をまだ覚えていない子供」、実際は・・・そんな主人公の最期は切ない。 ただ、元々が短編だからこの映画はちょっと長すぎてダレを感じてしまった。もう少し短くて密度があればもっと面白かったと思う。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-09-07 21:40:44) |
【すたーちゃいるど】さん [地上波(吹替)] 6点(2014-04-14 16:05:43) |
61.老人として生まれ、だんだん若返っていく男。この設定からどんな面白いドラマが生まれるのだろう、なんて期待しちゃうと肩透かし。普通に考えりゃ、彼の存在は“奇跡”として大騒ぎになってマスコミが殺到して…となるところだけれど、そういう方面への展開は一切ナシ。この謎めいた運命は、当たり前のように受け入れられていて、ただただ、彼が人生において経験する出会いと別れが綴られていく。製作者の関心も、何だか、「世界の様々な場所、20世紀の様々な時代での、様々な出会いと別れ」を描くことにのみ向っていて、「主人公が若返る」という企画に乗っかって好きに映画作っちゃいました、みたいな感じがするのですが。だもんで、何かまとまったドラマの流れをここに見ようとすれば、その面では弱い作品かも知れません。若返るベンジャミンと対比して自分の老いを感じる女性、なんていうのも、やや平凡な発想(歳くったら、誰だって気にしてるんだよ! 誰だって折り合いつけてんだよ!)。しかしこの映画、ひとつの作品の中で、これほどまでに様々な「場所」「時代」という舞台が描かれ、しかもそのひとつひとつが実に丁寧に描かれていること、これには本当に圧倒されます。ドラマを語るためにそれぞれの場面があると言うより、印象深い場面場面の積み重ねがまずあり、映画がいつまでも続けばいいという想いがあり、しかし時間の進行とともに、人生が、そして映画の終わりが近づいてくる、というところにやるせないドラマが生まれる……。あと、「主人公が若返る」というイマイチ煮え切らない設定が、最後どこに行きつくのかと思ったら、そりゃまあ主人公の寿命が近づくにつれ子供になっていく訳ですけれども、これ、まるで毛色の違う映画ですが『まあだだよ』の百閒先生(ラストシーン!)を想起させて、これまた感慨深いものがありました。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-02 23:31:43) |