45.合理性・柔軟性を欠いた精神主義と形式・規律主義とによって軍を差配する主人公に対して、たとえば司馬遼太郎翁であれば、それこそボロクソにけなすことことでしょう(笑)。当時は、兵器のハイテク化や軍人の専門化という「構造改革」が進んでいく、まさに転換期。二言目には戦記からの引用を並べたて、往年の威光をかざす老将は、周囲に疎まれながら、時には嘲笑の対象とさえなるわけですが、これはパットンだけではなく、当時の多くの軍においてみられた光景です。まだ戦争が白兵戦至上主義・戦艦巨砲主義のもとに行われた時代においては、名将と称される人々は、たとえば乃木大将が当代随一の漢文の素養に恵まれていたように、文学や歴史に通じていることは当然であり、総合的教養人ともいうべき大人物でありました。そういえば、海軍畑から英国宰相に上り詰めたチャーチルも、かの大著『ローマ帝国衰亡史』を常に座右に置き、主要部分を諳んじていたといわれています。もちろん、軍事部門に限らず、リーダーの専門化・官僚化・小人物化は、政治・経済をはじめ、あらゆる分野に共通する傾向でありますが。パットンの場合、頭の中が戦史・戦術でいっぱいというところは軍の脱総合化・専門化に符合しますが、ハイテク化と現代化には到底ついていけなかったところが、当時の「転換期」を表しています。ほぼ風化してしまった古戦場に足を運び、まるで往時を思い出すかのように表情を緩めるパットン老将の演技は、そうした時代の趨勢を実感する者の寂しさを体現し、本作中でも出色の名場面。 |
44.ジョージ・C・スコットの演技は素晴らしいと思う。初めてアカデミー賞を辞退した名優だが、何だか彼のために作られた作品って感じもした。 【☆】さん 7点(2001-03-16 00:09:14) (良:2票) |
43.この映画は戦争映画であり、1人の男の半生を描いた伝記のような作品ですね。戦争こそが命、それ以外はなく、底知れぬ名誉欲や、さまざまな毒舌などで失脚を繰り返した猛将パットン将軍、そして、有名なロンメル将軍との戦車戦など、戦争映画としての醍醐味をを織り交ぜつつ、1人の男の数奇な生涯が描かれている。時間としては少し長い部類に入るが、それをもって有り余る見せ場の連続で、時間を忘れて見入ってしまった。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 8点(2003-08-08 21:16:02) (良:1票) |
42.結構長い映画。「史上最大の作戦」のように淡々と戦闘シーンが描かれている。冷戦時代のアメリカが生んだ作品だなって印象は拭えないし、これでオスカーと言うのも時代を感じさせる。そのことは星条旗を前に演説するシーンに象徴されているのだろう。個人的には戦争ノイローゼの部下を殴るシーンが印象的だった。やはりジョージ・C・スコットの存在は大きい。 【イマジン】さん 8点(2001-02-17 20:12:04) (良:1票) |
41.好き勝手に自由にモノが言いたいが、誰からも批判される事なく認められたい、そして組織の指揮官として活躍したい。これらの欲求を全て満たすには独裁国家のTOPに立たなければならない。ヒトラーのように。しかしながら、主人公は中間管理職でしかないし、「一応」自由と民主主義の国のアメリカ国民なので不当な言動は周囲やマスコミから叩かれる。とはいえ、戦争や軍隊と人権とは相性が悪いというかそもそも両立するのかという疑問もあり、本音とタテマエも見え隠れする。勝負には強いパワハラ指導者が身内である選手やその父兄からは人気があるのも類似系であろう。 ただし、上司部下が逆転したり主人公が次々と閑職に追いやられる過程は軍隊と言えどもというか、軍隊だからこそ「協調性」が要求される故だろう。結局こういう我が道を行くタイプは個人として自由に生きる分にはいいが、組織では出世しないという現実を突きつけられる。 |
40.確かに興味深い主人公だけど中味はとっても退屈。これだけユニークな人物なら映画の出来ももう少し何とかなったんじゃないの? 【ProPace】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2016-08-15 13:45:32) |
39.パットン大将のことはもちろん詳しく知らないが、この映画を観たらこういう人がいたんだと洗脳されること間違いなしの力作(実際映画の通りの人物であったと思うが)。余談ながらO支店長を思い出しました。 【すたーちゃいるど】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-10-01 23:29:51) |
38.あれ、今まで何度か観たヤツでは、冒頭の演説シーンがラストにもあったと思ったけど(ただし冒頭よりもやや口調が柔らかい)、今回観たヤツではパットンがどこか遠くへと立ち去って終わっちゃった。ちょっとカッコつけ過ぎじゃあないですかね。この映画、頭悪そうな邦題がついていますけど(笑)、戦争映画というより伝記映画。ドイツとの戦争が終結してなお、映画が続き、むしろその後日談においてパットンの本領発揮みたいなところがあるのが面白い(何だか今回観たヤツは、“戦後”の部分が物足りなく感じちゃう)。このユニークな脚本を書いた人ってのが、映画監督のコッポラって人らしい、と言う訳で、私は子供の頃、コッポラってのは何だかとってもエライ万能人であるかのように思ってました。今ではどっちかというと、本作の脚本がとりわけ優れている訳ではないような気もしてますが。エピソードの羅列になっちゃってる感じ(そこがコッポラらしいのかも?)。敵の爆撃機に拳銃で応戦しようとするとか、アフリカで自分の前世を暗示する場面とか、兵士殴打事件とか、色々エピソードを盛り込む割にはそれが単発で、彼の変人ぶりを描くことに関してはやや未消化な感じも。一方で、戦闘シーンのスペクタクルばかりに頼ることなく、パットンの足跡を追うことに専念しつつ(「歓迎パレード」のシーンであったり、背景を変えながらひたすら続く「行軍」のシーンであったり)、その中で、パットンの変わっていく面と変わらない面を描いて行くのは、やっぱり上手いと思います。最初の方では「こんな頑固親父、皆に嫌われて、生きてて楽しいのかね」と思われるパットンが、だんだん愛すべきキャラに思えてくる。ジョージ・C・スコットの一直線ぶりがいい(そして脇にひかえるカール・マルデンのデカ鼻もいい)。パットンが、行軍の邪魔になるロバだかラバだかを容赦なく射殺する前半と、活き活きとした表情で楽しそうに行軍の交通整理をする後半。うーむ。何だか星野監督の中日時代と阪神時代みたいではないですか(……この喩えはイマイチでしたね、すみません)。歴戦の中で角がとれて丸くなったようなパットンだけど、反骨精神は最後まで貫いて見せる。あのペットの犬もイイですね、どこからあんな犬見つけてきたんですかね。「魅力ある主人公」映画部門、第1位に推薦いたします。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-04-15 08:23:53) |
37.これはもう、パットン将軍の性格がすべてでしょう。正直、こんな人が実際に上司だとありがたくないですが、映画で見るぶんには面白い。生まれ変わって戦い続けてきたと称し、戦争史に詳しく詩もものするなど、なかなか一筋縄ではいきません。言うならばいくさバカですが、これだけ徹底したバカだと魅力的。長所も短所も含めて、愛すべき人物に描かれていました。少々長く感じたので、その分マイナスです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-12 21:50:05) |
36.パットン将軍の性格のいさぎよさが爽快で楽しめた。 【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 7点(2012-03-11 09:43:47) |
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35.凡庸な戦争映画とは一線を画す人間ドラマ重視の戦争映画。ジョージ・C・スコットの熱演もありパットンという人物が良く描けています。まるでパットン本人が出演しているかのようです。 【akila】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-02-20 10:34:53) |
34.古い詩を好む、ドン・キホ-テ的なアメリカ武人の話は、類型的ではあるが、偏った知性と単純な肉体を感じさせてなかなか魅力的でした。へなへな犬もよく似合ってたし。 【ねこひばち】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-01-09 09:50:12) |
33.パットンという人物を、この映画で知るまでは、全く意識したことはありませんでした。パットン役のジョージ・C・スコットは熱演と言うよりも、パットンその人になりきっているかのようで、ドキュメンタリーを見ているかのようでした。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-07-12 18:44:48) |
32.人物像が面白く、戦闘場面も迫力があり、充分に楽しめる作品でしたが、戦時下という緊張感は全く伝わってこない。戦争ゲーム感覚の娯楽作品として割り切って見るべき。アカデミー作品賞を受賞するほどでもなかった。つまりこの年は不作の年だったのでは? 【いさいさ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-06-08 16:45:42) |
31.長かった・・・。戦闘場面よりも主人公の行き方に焦点を当てたというのならそれはそれでいいのですが、だったら、単に○○の戦い→休み→○○の戦い→休み→みたいな、相互に関連性や発展性の感じられない単純な戦闘結果だけを並べられても困る。それによって主人公のどこがどう変わったのかということを明確にすべきでした。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-03-17 01:10:01) |
30.全く感慨を得られませんでした。不快感のみ。長い。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-08 15:38:54) |
29.アカデミー賞受賞作であるが、苦手な戦史物であることや長い上映時間を敬遠して今まで見てこなかった。最近DVDで見てもっと早く見ればよかったと思いました。これは傑作ですね。泣けるような話ではないのに、ラスト近くではなぜか泣けてきました。最初はこんな上司はいやだなあと思っていたパットンですが、自ら危険な前線で積極的に指揮し、部下の死を心から悼み、きっちり戦果もあげる・・仕えているときは最悪でもあとになってからいい上司だったなあと心から思える上司ではないでしょうか。戦史ではなくパットンという魅力的な人物の実像に迫った作品で戦史物が苦手な人でもまったく問題ありません。それにしてもパットンの舌禍をここぞとばかりにたたくマスコミの醜悪さは今も昔も変わらない。その点がなんか腹立つ。 【陽炎】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-05 20:52:36) |
28.映像はもちろんだが、なんかやってるスケールのことを考えると、物足りなさが残る。 【あるまーぬ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-07-25 16:48:14) |
27.WASPのイタさがよく描かれていて秀逸。けっして悪人ではないけれど、戦争がなければ生きていけない軍人という、その悲哀と滑稽さが見事です。ドイツ側の、いかにもドイツらしい冷徹な分析と、それによって墓穴を掘る姿もいい感じ。第二次大戦中のみならず、きっとベトナムにも、湾岸にも、今のイラクにも、こういう軍人はいるんでしょうね。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-03-26 01:22:12) |
26.画がデカイッ! パットンもデカイッ! 当時、主演のジョージ・C・スコットは43歳のはずなんだけど、そうは見えない風体。フランクリン・J・シャフナー×ジェリー・ゴールドスミスの組み合わせはデカイイイイッ!!!! 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-10-23 23:42:45) |