70.映画の中で、主人公は自らが創り上げたサイトの在り方に対して頑なに言う。 「クールじゃないと駄目だ」と。 そのセリフどおり、この映画は、ひたすらにクールにそしてシンプルに、「今この時代」の成功と挫折を描き切っている。 「事実をもとにした映画」というものは、星の数程もある。今年のアカデミー賞において、今作と賞レースを争っているのも、実在の英国王を描いた作品だ。 ただし、数多のそういった映画に対して今作が特異なところは、描かれる「事実」が遠く過ぎ去った過去ではないということだ。 「フェイスブック」という、今この瞬間もそのテリトリーを全世界に広げていっているソーシャルネットワークサイトの成り立ちと、創業者の生き方。この映画で描かれるすべてのことは、ほんの数年前のことであり、継続中の「事実」である。 主人公の生い立ちやバックグランドなんて一切描かず、彼の感情さえも大部分において明確には描かれない。 ただただシンプルに、主人公がこの数年の間で、“何をどうしたか”そして“何が起こったか”ということのみを、クールに描き連ねているだけだ。 普通に考えれば、酷く淡白で退屈になりそうなプロットにも関わらず、映し出される映画世界は、クールやシンプルという形容に反して生々しく、不思議な程にドラマティックだ。 主人公が発する膨大で慌ただしい台詞は、そのまま、今の世界に溢れ行き交う「情報」を表している。 目まぐるしい映画のスピード感は、変化し続ける世界と、そこで急激な成長を遂げたSNSの姿そのものであり、その一つの「中心」に存在する人間の避けられない“在り方”を如実に表現していると思った。 正直なところ、鑑賞前は今流行りの媒体を描いた軽快でポップな映画なのだろうと思っていた。 しかし、そうではなかった。この映画は、今この時だからこそ描けて、そして今この時だからこそ観られる決して“普遍的ではない”ドラマだと感じた。 逆に言うと、今この時だからこそ、最大の価値を見出せる映画だとも思う。 その特異性も、自らが生み出したSNSの「価値」をひたすらに高めていった一人の男の「成功」と「孤独」を描いたこの作品に相応しい。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-02-27 09:33:13) (良:3票) |
69.冒頭から凄まじい会話の応酬、情報量。この情報量、そして「かみ合わない」オープニングシーンが本作を最も端的に著している場面ではないかと思う。 主人公役のジェシー・アイゼンバーグがとにかくハマりすぎ。名演。 事実に基づいた天才プログラマーの成り上がりを描きつつも、それに伴い失っていくもの、そして世界最大のコミュニケーションツールを作ったのに、身近な一番繋がりたい友人と繋がれない切なさ。エンディングは秀逸だと思いました。 トレント・レズナーの音楽もベストマッチ。 とにかく終始凄いスピード、情報量なので、字幕が苦手な人は辛いかもしれないが、主人公の演技を堪能するためには是非とも字幕で鑑賞すべき。 個人的にこの映画に似た映画を観たことが無いので、貴重な経験だった。 7.5点献上。 【おーる】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-14 09:13:54) (良:3票) |
68.現実に勢力を拡大し続けるSNSの裏話を虚実交えて描いた映画。進行形の実話を基にした映画だけに劇的な描写もなく、徹頭徹尾、客観的な視点で進行し、登場人物を応援したり手に汗握ったりというドラマの醍醐味は、全くと言っていいほど無い。しかし、圧倒的なテンポの良さ(時系列の違う場面がビシビシと入れ替わるスタイルが効果的)で、あれよあれよの間に観終えてしまった。暴走しエスカレートしていく出来事をハイスピードで見せていくデヴィッドフィンチャー監督ならではの手腕に脱帽。トレント・レズナーの、哀しく、ミニマムな音楽も驚くほどハマっている。 ただ正直、テクニックの鮮やかさに酔う以外、一度観たら充分な内容。 ここ数年(「ゾディアック」もそうだが)実話を基にした半ドキュメンタリー形式の作品が多いフィンチャー監督だが、この路線は本作でもう充分ではないか。 確かな演出力が健在なうちに、心を揺さ振るドラマ作品を撮ってほしい。 【i-loop】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-09-26 09:33:11) (良:2票) |
67.楽しい映画、悲しい映画、怖い映画、切ない映画、いろんな映画があるけど、これは実に虚しい映画。 冒頭からラストまでマーク・ザッカーバーグという人物の描き方が一貫してるのがいい。 フェイスブックはどんどん成長していくのに彼は何も変わらない。 感情移入するのは難しいかも知れないけど、憐れむことなら容易にできるでしょう。 フェイスブックが世界的に注目されてる現状で評価するなら興味深いサクセスストーリーと言えなくもないけど、やがて訪れるだろう衰退期に改めて見直してみたいですね。 虚しさが倍増して更にいい作品になってるような気がする。 ラストの虚脱感、好きです。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-08-29 15:58:00) (良:2票) |
66.最年少での億万長者となったのを成功者、幸せ者と捉えるか否か、観る者の価値観に問いかけています。ジェシー・アイゼンバーグの好演は光るものの、無機質な話に喜怒哀楽の感情が湧かない作品でした。 |
65.なんとも不愉快な映画。その不愉快の根源は、人間関係の問題を顕在化させるときに金を使ってやり、形而下に収めるときも金でやり、登場人物の心の動きなんかどうでもよくて、話の中心にあるのは金、金、金であるということ。でもこれは原作というか、事実のせいなので、映画のせいにするつもりはありません。テンポがよく、演出も小気味よい。見ごたえもある。だけど、こんな映画を大好き!というつもりは未来永劫ありません。くだらないッ! 【ケルタ】さん [映画館(字幕)] 3点(2011-01-24 18:07:15) (良:1票)(笑:1票) |
64.シンプルで無駄が無く驚くべきテンポの良さ、息つく暇も与えない構成で、Dフィンチャーの作品は2時間を超す長いものが多いですが、本作は全くその長さを感じさせません。 主人公であるザッカーバーグだけでなく、エデュアルドやショーンといった彼のパートナーや、大富豪の名門の家柄でオリンピックに出るほどのボートの選手でもあるエリート意識の塊のようなウィンクルボス兄弟らが何者かもしっかりと描かれており彼らが抱く野望や意志がとても強く伝わってきます。作中のザッカーバーグと彼らが描かれる配分も良かったと思います。 伝記ものというジャンルは、その人物が健在でバリバリ活躍しているほど、そこに作者の私情や評価を挟もうとすればするほど難しいと思いますが、冒頭で口論となったガールフレンドが「あなたは最低よ」と立ち去っていくのに対しラストで新米弁護士の女性が「あなたは悪人じゃない。そのふりをしているだけ」という台詞が印象に残ります。これが本作のザッカーバーグに対する思いだったのでしょうか。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-01-22 00:50:44) (良:2票) |
63.フェイスブックはそれなりにお世話になってます。別にとりたてて好きだとか、使いやすくてクールだとかはありません。ハサミとかと同じ感情です。あるから使うみたいな。びっくりしたのは映画の中のザッカーバーグが、めちゃ嫌な奴で描かれてたこと。最後の態度でも全然好きにはなれません。映画は時系列が複雑で、メインのザッカーバーグが嫌な奴で、てゆーか、各登場人物それぞれに距離感をもって公平に描かれているので、なんか誰にも好感がもてない作りになっていて、それでも最後まで集中して見せる不思議な映画でした。ただ僕的には観終っても、あー、嫌な話だったとしか、心に残らなかったです。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-10-21 09:36:58) (良:1票) |
62.まったく予想外にネガティブな話でしたが、十分に堪能できました。こういうひねくれたサクセスストーリーがメジャーレーベルで作られ、しかもヒットすることに、アメリカ映画界の奥深さを感じます。時系列がグチャグチャなのも、退屈な法廷劇になることを避けるためだったのでしょう。 本筋とはあまり関係ありませんが、特にラリー・サマーズ(学長)のシーンが好き。風貌もそっくりだし、つけ上がった若者をいかにもインテリ風にたしなめる姿もカッコいい。まさに「大人」という感じです。まさかこの1~2年後に解任されるとは、本人も思っていなかったでしょう。 それともう1つ、さすがコロムビア映画だけあって、主人公その他が使うPCはいずれも「VAIO」。しかし終盤、机に叩きつけられるPCだけはしっかり「MacBook」。これも「大人」という感じです。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 9点(2014-12-07 23:28:29) (良:1票) |
61.ストーリー展開が、ある程度予備知識があるかないかで大きく評価が分かれる仕組み。 自分はこの映画で、お手軽に勉強しようかと思っていた方なので、 この編集の仕方は正直見づらかった。 そもそも、フェイスブックに興味津々で、話の流れを知っている「オタク向け」の映画という印象。 この映画を最大限に楽しむには、もっと勉強せんと駄目だね。 【バニーボーイ】さん [地上波(吹替)] 5点(2013-11-17 21:22:31) (良:1票) |
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60.噛みあわない会話が高速で展開される。それを必死になって解釈しようとする私。 【もんでんどん】さん [地上波(吹替)] 5点(2013-11-14 13:30:01) (笑:1票) |
59.世間での騒がれっぷりが異常なだけに、あまり興味の無い自分にとってはつまらないストーリーだった。たしかに頭の回転がはやく、ずる賢いこともわかる。でも映画にしてここまで持ち上げる意味があまりよくわからず、見ていて楽しみは全く感じなかった。 【バトルコサック】さん [DVD(字幕)] 3点(2013-02-16 08:09:56) (良:1票) |
58.フェイスブック万歳の作品かと思ったけど、意外と人間模様濃くて面白かった。ショーンパーカーの軽薄な人格演技が面白さに添える。主演の融通効かなそうな演技も良かったねえ。なんかフェイスブックに親しみ感じちゃった。なんとか兄弟が起業していたとしたら、ちょっとむかつくかあぁだし、たぶん成功は無理だったと思ったけどね。のっけからデヴィトフィンチャーらしい絵作り、飽きさせないテンポの良い流れ。完結とは言えない余韻のある作り。良い作品でした。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2011-10-06 18:15:01) (良:1票) |
57.う~ん、これは、上手い!レベルが高いです! 何の変哲もない物語を、ここまで映画として創りあげ成立させるとは..脚本、編集の勝利です! 登場人物にムダがなく、1人1人が絶妙な存在感で、物語にからみ、心情も手に取るように分かる..テンポも良く、時系列をいじる事で、観ている者を飽きさせない..監督の手腕、才能が光る、玄人好みの秀作です.. 冒頭、導入部が秀逸ですね~ デートシーンでは、始まって数分で誰にでも主人公の性格が理解でき..寮に帰ってからの言動で、友人関係、傑出した能力、背景..説明することなく全て分かってしまう、そして物語に引き込む..いや~脱帽です!映画として理想的です、すばらし~い.. 物語、エピソードそのものも、決してつまらないものではなく、それぞれ深い..理系の天才にありがちな、コミュニケーション能力の欠如、 特有の思考回路、価値観..プライドの高い金持ちのぼんぼん..才能、金の臭いに群がる人々、女..金儲けのためには形振り構わず手段を選ばない者..才能を活かし好きなことをやって、結果金を手にする者..目先のことしか見えない者、常人には見えない遠くが見える者..快楽、欲望を求め享受する者..平凡ではあるが真っ当な心を持つ女性..人生を真摯に生き謳歌する者..大金を手に入れても、誰もが人生満ち足りている訳でもなく、孤独であったり..金持ち=幸福、であるはずもなく..人によって、目指すもの、趣味嗜好も違う..色んな人間模様が凝縮され、考えさせられることの多い作品です... 【コナンが一番】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2011-07-05 13:05:09) (良:1票) |
56.フェイスブックの世界的な普及は、国家の体制まで動かすおおきな影響力をもっているらしい。ただネットに匿名性を求める日本ではいまいち普及しない。個人的にもそれほどまでに人とつながり合いたいのかが理解出来ない。よって主人公もカリスマに映らないし、ストーリーにも入り込めない。日本人の私には、展開が予想通りで、ただただ悲しいオタクの物語でした。J・ティンバーレイクがちんちくりんでかっこわるく、本人と最後まで分からなかった。 【kaaaz】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2011-06-11 00:07:21) (良:1票) |
55.実話だから仕方ないとは言え、パクリと裏切りのストーリーにあまり面白味を感じない。 ついでに言うと「クールじゃないと駄目だ」と言うセリフがあったが、クールな展開すぎて面白味が足りない。 正直、どこらへんがアカデミー作品賞ノミネートなのかが良くわからない。ぶっちゃけ、ドキュメンタリーの方がましじゃないか。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-06-06 01:01:50) (良:1票) |
54.フェイスブックは使ったことがないし、アメリカのネット社会の事情とかはよく分からないが、なんと言っても物語の進行するテンポが良いので飽きずに見ることができた。過去と現在を交差させた見せ方と、登場人物の喋くりが、そうさせていたのだろう。ただ、正直なところ、話自体が面白いかと言われれば、それ程でもない。まぁ、“ふーん”って感じなのだ。実話だとしても、会社が大きくなってしまって、もめごとが…という話自体はよくあるものだし。 【スワローマン】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-06-05 23:12:31) (良:1票) |
53.裁判のシーンとザッカーバーグの成功譚を交互に展開し後者を回想として描く演出、静謐ながらも美しいトレント・レズナーとアッティカス・ロスの音楽、そしてジェフ・クローネンウェスの冬の寂寥感漂う映像等、素晴らしい点は数あれど、やはり一番秀逸なのはジェシー・アイゼンバーグの演技だろう。彼のマシンガンの如き長広舌や垢抜けない印象はマーク・ザッカーバーグのインドア的性質を見事に体現しており、彼のオタク演技の集大成とも言える素晴らしいものだった。このジェシー・アイゼンバーグの一世一代の演技が見られただけでも、この映画を見てよかったと思えるほどだ。 【陽踊り小僧】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-02-22 10:01:02) (良:1票) |
52.実際にFACEBOOK使ってる人や、興味を持ってる人にはそれなりに面白く見られるかも知れません。興味のない人には苦痛の2時間になるでしょう。青春劇としては登場人物たちがあまりにも幼く思えますし、努力の結果が結末につながるわけでもありません。ドキュメンタリーを見ているかのようです。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-02-18 23:57:10) (良:1票) |
51.デヴィッドフィンチャー大好きっ子のボク、カットバック満載の会話や駆け引きは演出として好きだ。俳優陣の雰囲気にも引き込まれる。ただこのほぼ実話にちょっとだけ色を加えたセミドキュメンタリーを、撮影上の演出と役者の演技力の他に何を評価するというのか。自分には過去のニュースを見てる感じ。 【460】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-02-13 05:51:40) (良:1票) |