6.『1』のレビューでは、映画としての完成度の高さは評価するが、エログロへのこだわりが足りないと書きましたが、『2』は一転して容赦のないエログロ祭りとなっております。これはもはや、ホラー映画界の『エイリアン2』。文字通り出血大サービス状態であり、「いくらホラー映画でも、これ以上やってはいかんだろ」という壁を平気で越えてきます。当方、ホラー映画への免疫を持っているつもりですが、それでも本作は見てられませんでした。。。
『1』と『2』を両方見れば、『1』製作時点ですでに『2』の構想があったことは明らか。描写を控え目にした『1』で幅広い客層に本シリーズを周知させ、そして『2』でネジの飛びまくったスプラッターを見せる。この豹変ぶりには度肝を抜かれたし、トム・シックスなる監督の周到さにも感心させられました。イベントの仕掛け人としてはピカ一ではないでしょうか。また、『1』とはまったく違う作風ながら相変わらず映画のクォリティは高く、この監督の引き出しの多さにも驚かされました。モノクロ映像には『イレイザーヘッド』を思わせる何とも言えない薄気味の悪さがあって、そこにあるのは、ただスプラッターを見せるだけの単純な芸当ではありません。。。
作風の転換の一方で、無名俳優でキャストを固めることで不気味さを高めるという『1』のポリシーは本作にも引き継がれています。誰がどんな目に遭わされるのかわからないというサスペンスは健在だし、無名俳優から渾身の演技を引き出すという点では、本作は引き続き成功を収めています。そして本作最大の功績は、ハゲ・チビ・デブの三拍子揃った怪人マーティンを生み出したこと。「この俳優は、今までどこで何をしていたんだ」と思わず気になってしまうほどのアクの強さですが、『1』のハイター博士とはまた違ったベクトルで強力な悪役を生み出し、映画への出演経験のない無名俳優にここまでのインパクトを与えられる監督はそうそういません。現在製作中の『3』はホラーを離れ、政治的性質を帯びるとのことですが、もし『3』が監督の意図する方向性で成功を収めることができれば、本シリーズはカルト映画史上に残るだろうと思います。。。
絶賛の嵐となってしまいましたが、10年後には、トム・シックスは誰もが知る有名監督になっているのではないかと、私は結構本気で思っています。第2のサム・ライミはこいつで決まりです。