3.ローランド・エメリッヒが母国ドイツでプロデュースした作品なのですが、カラっと能天気ないつものエメリッヒ節を連想していると、強烈な不意打ちを喰うこととなります。舞台となるのは太陽の異常活動によって大半の動植物が死滅した世界。人類の生産力はゼロとなり、わずかに生き残った人々は文明の遺物を奪い合いながら細々と生きています。それはタイトルが示す通りの地獄であり、『マッドマックス2』などが天国に思える程の絶望的な世界が広がっています。本作は低予算ながら撮影や演出のテクニックでこの世界の構築に成功しており、決してチープな仕上がりとなっていない点には感心しました。同時に、不快指数の高いドラマパートもサスペンスホラーとして十分なレベルに達しており、高い演出力によって作品全体が引っ張られています。露悪的な描写は最小限に控えつつもドキドキさせる場面はきっちり準備されており、B級ながら非常にレベルの高い作品だと感じました。。。
ただし、2009年に製作された『ザ・ロード』からの引用があまりに多い点が気になりました。そもそも世界観が酷似しているし、カニバリズムが物語のキーとなるという構成も同様です。おまけに監督による演出方法までが似通っており、これは「パクり」と言われても仕方のない内容だと思います。せっかくエメリッヒが関与しているのだから、独自のアイデアで魅了して欲しいところでした。