3.「LEGO ムービー」なんてタイトルを見知った時点で、「なんだこのチープな企画は……」と早々に鑑賞対象外にしてしまったことを激しく後悔しなければならなかった。
子ども時代の僕が、“LEGO派”ではなく、“ダイヤブロック派”だったから……というわけではなく、このタイトルで、そのまんまブロック玩具で構築された映画が、まさかこんなに面白いとは思えなかった。
(まったく、これだけ映画を観てきておいて、自分自身の浅はかさがいやになる……)
序盤は、LEGOの人形そのままの主人公がひたすらにカクカクと動く描写がただチープに見えてしまう。
なんだ、やっぱりLEGOファンによるLEGOファンのためだけの映画か……とトーンダウンしそうになる。
しかし、次第に、LEGOというブロック玩具の世界観を、実際のリアルな玩具で再現出来得るだろう範囲内で、際限なく広げていく様に、驚き、ついには唖然としてしまう。
実際この映画はフルCGによるアニメーションなのだが、映し出されるブロック玩具の質感はリアルそのもので、アナログ感に溢れ、フルCGであることに逆に驚きを感じた。
立ち並ぶビル群、荒野、天空世界、海原、宇宙……そのすべてが本当にブロックのみで表現されていて、そのビジュアルは圧巻の一言に尽きる。
そして、すべてをリアルで精密な“LEGO描写”で構築された世界に隠された意図。
描き出されたテーマは、決して子どもだましではなく、自己と他者の関係性を導き出したあまりに普遍的で深い人間同士の在り方だった。
ストーリーテリングと映画の世界構造の巧みさに脱帽するしか無かった。
とはいえ、“LEGO”というおもちゃそのものは、まず子どものためにあるべきだろう。
子どもたちは、「すべてはサイコー♪」とごきげんな歌を口ずさみながら、主人公たちのアドベンチャーを心から楽しんでほしい。
すなわちこの映画の根幹にあるものは、子どもの想像力と大人の想像力の融合なのだと思う。
それはあまりにハッピーなイマジネーションの結晶だったと言える。