1.真実を明らかにすることに使命感さえ感じていた主人公が、父の軽率な行動により真実を隠蔽する側に回ってしまう、というお話。人は正直でいたいと思う。しかし大切なものを失う恐怖を前にすると嘘をつき保身に走ってしまう。それが他者の命を危険に晒してでも…という点は共感も同情もしないが、ネット社会で激しさを増す私刑と、その中で生きて生きていかなければならない現代人を善悪は別にして描いた映画であり価値を見出すことができる。社会派映画というと堅苦しく、とっつきにくいイメージを持ってしまうがこれはストーリー展開が巧みで150分を長いと感じさせなかった。信念に基づいて力強く行動してきた由宇子に言わばブーメランが直撃したような状況で、脚本の出来すぎ感を指摘する声もあったようだが、自分にはとても面白かった。そして瀧内公美をはじめとした演者にも拍手を送りたい。由宇子と萌を後部座席から捉えた車内のシーンなんて今思い出しても本当に凄いと思う。河合優実の発見は大きかったなー。