3.ルビッチ作品でワイルダー、ブラケットが脚本を担当したのは、これと『ニノチカ』ですが、特にこの作品は、上品にストーリィを組み立てるルビッチタッチというよりも、いかにもワイルダーの脚本でございます、といった風情になっておりますね。ルビッチの作品は、純粋な恋愛のかけひきを軽妙洒脱に描くことで、見ているものをルビッチワールドに誘い込むのですが、この作品は財産という金銭欲が恋愛にからまることで、少しアクの強い作品になっている、といえましょうか。私の中では、『ニノチカ』も含めて、ルビッチ+ワイルダー=最高傑作とはなっていないところに映画の奥深さを感じているところであります。