114.「ターミネーター」シリーズ、「トータル・リコール」、「トゥルーライズ」、90年代のアクション映画界の頂点に君臨したアーノルド・シュワルツェネッガーの“代表作”といえば、これらの作品を挙げるのが真っ当だろう。
ただ、これらの作品はどれも名監督の作品でもあり、監督の力量によって名作になり得ているということも多分にある。
そういう意味では、純粋な“シュワルツェネッガー映画”とは言い難いと勝手に思っている。
彼の絶頂期のピークに無名監督と組んで製作されたこの映画こそ、最も“シュワルツェネッガー映画”と呼ぶに相応しい作品だと断言したい。
改めて彼のフィルモグラフィーを振り返ってみると、1996年の今作以降明らかにハリウッドスタートしての下降線を辿っており、そういう意味では、最後の幸福なシュワルツェネッガー映画とも言えるのではないかと思う。
悪役の厭らしさ、脇役の小気味良さ、単純なストーリーを効果的に盛り上げるためのエスプリも意外な程コマメにに効いている。
そもそも「何が良いのか?」なんて語ることが馬鹿らしい。
大仰でも馬鹿みたいでも、シュワルツェネッガーがシュワルツェネッガーらしいということが最高なのだ。
パラシュートを放り投げてからのジェット機からのスカイダイビング、意味不明に凶暴な動物園のワニとの格闘、そして最後は重火器を両手に抱えて大立ち回り。
アーノルド・シュワルツェネッガーにこれ以上何が必要だというのだ?と逆に問いたい。
昨年(2013年)の「ラストスタンド」で、まだまだその存在感自体のエンターテイメント性を発揮してくれたシュワルツェネッガー。
栄枯盛衰、紆余曲折を経て、結局、新作を期待させるこの人のスター性はやはり本物。