1.当時、ヴィスコンティ・ブームの時、とにかくどっかのこじんまりとした映画館で観たんだな。ヴィスコンティの遺作であり、彼の遺作らしい作品ではあるんだけど、映画館を出た時、何だかとっても理不尽な不愉快さを感じた。今思えば、庶民の不愉快さだったと思う。「庶民が汗水たらして働いてるっていうのに、あんた達貴族はぁぁ!」って感じかな。でも、頽廃と没落の終焉にあった貴族階級のいやらしさに不愉快さまで感じさせた本作は、やはりヴィスコンティの遺作らしいのだろう。ジャンニーニの情けなさはムカツク程見事だったけど、赤ん坊を見下ろすジャンニーニの目は、狂気を孕んで、怖かった。そういえば、本作で初めて、「ボカシ」というのを見たんだった。けど、それが気にならないほど、ある意味、圧倒された映画だった。