190.これを絶賛していたプロの映画評論家がいた。 これが好きな人は、「善と悪」という概念の対立が嫌いな人だろう。 何が正しくて何がいけないか、作り手がジャッジを済ませていることが嫌いだということだろう。 それほどこの作品には「善と悪」の対立も、「正義」もない。 誰がどう転落しようとも、なんの意味もこめずに撮る。誰が死のうがセンチメンタルなBGMも一切ない。観客はただ事の成り行きを見せられているだけ。例えていうなら「神の町」に潜入カメラが常駐していて、そのマル秘映像を見ている気分だ。(私の大嫌いなやたらな手ブレ映像も疲れる) 確かにこういうのを見ると、「禁煙」だの「副流煙」だの「体脂肪」だの「適応障害」だの「ちょっとした交通事故」で大騒ぎするのがバカバカしくなってはくる。 それは「神の町」ではあまりにも命が軽いからだ。 戦後の日本に育った私たちは、「命が軽い」という状態に慣れていないのだからこういうものに困惑しても仕方がない。「神の町」というのは人間が最もアニマルに近い状態(弱肉強食)で暮らしているところだ。この映画はその状態を感情をこめずに描いて、出口が無さ過ぎる。「サバンナの食物連鎖」をNHKなどで見せられているのとどう違うのかわからなくなってくる。人間と他の動物はあんまり違わなくてもいいのか?カメラマン志望の少年の存在だけで、どういう方向性があるというのか?(同じ「感情をこめずに命が軽い状態」を描いた「シリアナ」では、「それぞれの正義という矛盾」「中東という魔物」という方向へ観客を引っ張っていくためだったし、「トレーニングデイ」の「モノサシの混乱」はラストで主人公が家族のもとで自分を取り戻すことで救いが示される。) なので「どうだい、みんなこんな原始的な弱肉強食な暮らしをしてみないか。」でもなく「どうだい、なんて悲惨で可哀想だと思うだろう。」でもなく「ここから先に進むためにはどうしたらいいか一緒に考えてくれ。」でもなく、まさに「撮りっぱなし」だ。 見ようによってはものすごく「大人」な作品なのかもしれないが、「無責任」という見方もできる。映画というにはあまりに「意味」に欠けているかもしれない。私は絶賛はしない。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-08-13 18:00:54) (良:2票) |
189.大変に重要なテーマを扱った映画だと思います。、、、、、「仁義なき~」も思い出しましたが、ちょっと違うような気もしましたし、、、音楽やカメラがテーマと整合的なのかということも少々気になりましたが、大したことではないように思いますし、、、殺されている人の数自体は戦争映画やパニック映画の方が大量かもしれないのに、どうしてショッキングなのだろうかとも思いましたし、、、、、で、最後に連想されたのは「北斗の拳」的世界でした。、、、、どういうことかというと、、、描かれているのは、暴力が支配し、言葉による秩序形成が全く成立していない世界。そこでは、私たちの社会が前提とするような、約束、信頼、勤勉などの価値は成立しておらず、限られた文化、文明しか存在する余地はありません。、、、、どうやってこうした暴力的社会が生まれるのか?、、、、貧困、差別、文盲によって。、、、、どこにこうした社会は生まれるのか?、、、、、かつてのリオの裏町で、、、今、イラクで、パレスチナで、アフリカの紛争諸地域で、歌舞伎町の雑居ビルの一室で、渋谷の夜の街路で、池袋西の公園で、、、。貧困、貧富の格差、情報アクセスのデバイドetcを放置すれば、こうした暴力的社会は、世界の各地域でその領域を拡大し、気づいたときには、真っ当な秩序はどこにもなく、経済秩序も破壊され、数百年、歴史の針を戻したような状態に至るかもしれません。、、、遠い、地球の裏側の話しとしてではなく、近い将来、身近にあり得る話しとして受け止めることができるのではないか、というのが私の今の感想です。、、、、、(蛇足)この映画を見て、反グーロバリズムの立場に一歩ほど傾斜。 【王の七つの森】さん 9点(2004-11-09 11:41:00) (良:2票) |
188.最強の無法地帯映画ですな。スタイリッシュな作風ですけど所々はリアル志向。リトル・ゼ役のあんちゃんはリトル・ゼ本人の人物をあまり知らないと言っていたが、かなりなりきっています(本当に素人だったの?!)。群像劇としても最高で、1回目観たときはリトル・ゼを応援していましたが、2回目はセヌーラ、3回目は二枚目マネ…と、視点を変えてみると何度も楽しく観れてしまいます。トライバルなミュージックもカッコいいです! |
187.あらっ!丁度100人目のレビューですか!これも何かの縁ですね。今後とも宜しく。 ところでこの映画、すごいブラックでシリアスな映画だけどとても引き込まれた。「面白い」と言う言葉は適切ではないかもしれないけど、それ以外の言葉は思いつきません。すごい映画ですよ! (12/1追加)あらまっ!なんと99人目になっているではないですか!?前に見た時はちゃんと100だったのに・・・誰かの陰謀か?無念だ・・・とりあえずレビューは追加だけにしておきます。それにしても残念だ。ではこの事件を切っ掛けに縁を切らして頂きます。サヨウナラ。 【ボビー】さん 9点(2004-07-22 19:03:33) (笑:2票) |
【Malandro】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-08-27 00:19:24) (笑:1票) |
185.このテーマを映画にしてみたのは面白いと思うけど、この映画が面白いかというとそうは、思えない。 【arsha】さん 5点(2004-08-24 01:15:20) |
184.う~ん、おもしろいかなこれ? 実話に基づいた話だそうですが、これ観ても幸せにはなれませんね。 【よしふみ】さん 4点(2004-08-08 02:33:51) (笑:1票) |
183.それほどオカシイ内容ではない、俺は日本が平和だとか、彼らが精神的におかしいとは思わない。確かに子供が笑顔で銃を持って子供を殺すところは恐ろしい事であるし、気味が悪い。しかし、俺があの場所で育ってあの様な状況になったら間違い無くぶっ放していただろう。それにこの映画の様に大人より子供の方が残酷であるのは確かだ。環境一つで日本のようになったりこの作品のようになったりするし、同様に教育・経済・宗教・文化・人種様々な要因によっても生活は変わることが一番順応性が高い子供と言う存在で描かれているところがこの作品の最も素晴らしいところだろう。 【taron】さん 9点(2004-05-15 21:39:10) (良:1票) |
182.何年か前にCNNで「スラム街の現状をテーマにした青春映画の撮影に密着」ってゆう放送を観た記憶があって。これだったんだあ。あのガキ軍団ってマジもんのストリートチルドレンで、地元でも「ピラニア軍団」て呼ばれて恐れられてるらしい。普段はトルエン吸って道端にタムロして通り掛かった車を50人位で襲ってる映像が流れてた。オモチャ感覚でピストル振り回してリトル・ゼな人生を謳歌する奴もあの中から出て来んだろうなあ。さすがラテン系。それにしてもこの映画の素晴らしさったらないね。フィクションのようなノンフィクション、絶望的なのに陽気、さすがラテン系。「パルプフィクション」な構成も上手く仕上げてるし。ワキガが漂ってくる映像もいい。さすがラテン系。気が付くとリトル・ゼの視点になってしまっててガキを殺すシーンも楽しく拝見させてもらいました。リトル・ゼのガンジャな声がセクシーでいいね。さすがラテン系。音楽もいいね、大人になったリトル・ゼの登場シーンが気に入ってます。この映画が楽しめたのはあくまでも対岸の火事だからこそ。絶対に日本に入国して欲しくないものです。その前に日本ってゆう国がある事も知らないのか。さすがラテン系。 【もりしげひさや】さん 10点(2004-04-28 19:43:49) (良:1票) |
181.子供が銃でバンバン人を殺す映画。そんな映画、普通はひきます。でもひかずに見れます。不思議。インパクトがある映像だけど見終わった後は思ったほど衝撃的ではなかったのも不思議。なぜだろうと考えてみたら、治安が悪いところの現状というのはこんなんだろうと頭の中でさっしがつく範囲で、作り物の映像なんだけど手抜きの無いリアルな演出が、見る側をひかせず、逆に前のめりにさせるんじゃないかと思いました。カメラワークは、躍動感があり作品にプラスの要素を与えてるんだけど、終始躍動感があるので見ていて目が疲れるというマイナスの要素もあります。もっとドス黒くてドロドロした映画かなと想像してただけにちょっと物足りなさを感じてしまいました。「事実は小説より奇なり」という言葉ありますが、この映画は事実と小説の狭間でどっちつかずになってしまってるような気もします。あ、 JBで踊る黒人は最高に格好よかったです。 【VNTS】さん 6点(2004-04-10 17:16:26) (良:1票) |
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180.息子が借りてきたので、何の前知識もなく見ました。始まってすぐに、「ひえ~」とブットビ! TV放映などはまだこれからでしょうから、私は、何も知らずに無邪気に見始めた珍しい観客というわけです。すごくショックでした。「タランティーノがオモチャに見えるね」と言ったら、息子が「だろ?」と。オモチャは大好きだけど、こんなの見せられたら、しばらくタランティーノは見る気にならないです。作り手の意欲やきっかけも実はそのあたりにあるんだろうけど、そんな下心が感じられない完成度の高さに、脱帽です。 【おばちゃん】さん 8点(2004-04-04 21:04:55) (良:1票) |
179.まさに貧困が人を狂わせている。愛を知らない子供たちが、いとも簡単に銃を手にし、いとも簡単に人を殺していく…。それは大人であろうと子供であろうと、人を人と思わない殺人は「戦争」と同じなんだと痛感した。そして、この今でも日本の裏側では、この「戦争」が行なわれている…。殺されたリトルゼの友人の男の子が、‘自由になるんだ、愛と平和だよ’みたいなセリフが印象的だった。それにしても、平和ボケの日本人にとって、こういう映画があるからこそ自分の国の平和さ、豊かさを実感できるというのは、皮肉なものですね。 |
178.これを人は傑作と云うのだ! そう唸った。 当作品を罵倒・非難する人がいたら会ってみたい。 日本の如く生温い現実とは対極の世界で生きる少年たち。「ドラッグ? 銃? そんなの日常のことさ」と吹聴するような生き方。「神の国」では保身の為に銃を手にし、現実を忘却する為にドラッグを欲する。そんな世界があることを我々に納得させる力がこの映画にはある。そしてそんなくそったれな中ででも生きなくてはならない宿命を感じさせてくれる。この映画には生命力があふれているのだ! 時折流れる家族愛や友情の温かな香りがこの救いようの無い冷酷な世界で映えていた。ただ残酷なだけの作品だったならば到底傑作には程遠かっただろう。(映画館) 【komati】さん 10点(2004-02-11 17:41:15) (良:1票) |
177.撮影と編集は世界レベル、映像に全く安っぽさはなくポップでテンポよく面白いです。ブラジルという多人種国家の国柄もあるのでしょうが、2002年の時点で多様な人種を安易に対立構造にはめることなく、何ら特別なものとしても描かず自然に登場させているのも大したものです。しかし技術的に優れており現実をありのままに映すことはできても、この現実の前に監督がどう思っているのかがいまいち伝わってこないのです。フェルナンド・メイレレス監督は優秀な職人監督ではあっても、一貫したテーマや作家性を反映した作品を作っているようには見えません。先に述べたように人種的多様性や国際性への志向はあるようですが、それが画面の細部には反映されても物語の本筋にはあまり関わってこないのです。良いも悪いも原作や題材次第、それがこの監督がこの作品以降いまいちパッとしない映画ばかり撮っている原因だと思います。意外とアメコミ映画あたりを撮らせたらいい仕事をしたかもしれませんね、もうそんな機会もなさそうですが。 |
176.サイトの評価も高いし、町山智浩さんが「見る前と見た後で人生観が変わる映画」と絶賛していたので、期待しすぎたせいか、あまり印象的ではなかった。 ハードル高く上げすぎたのがよくなかったと思う。 私の点数は7点ですが一見の価値はあると思います。 でも何度も繰り返し見たくなる作品ではない。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-07-18 00:01:39) |
175.ダークでヘビーな観るに耐えない残虐非道な映画…かと思って今まで放置していた作品ですがなんとなく思い立って鑑賞。 こんなにポップで美しく、コメディタッチな作品だとは思いませんでした(勿論事実として残酷ですが)。マジメで何をやっても報われない(と自分では思っている)主人公と不器用で孤独を抱えながらのし上がっていくリトル・ゼの対比も実は普遍的なテーマなんですよね。 最後に実際の映像をアタッチするところも、とても20年近く前だとは思わせない「今」っぽい作風に驚かされました。 【Kの紅茶】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-06-06 21:44:48) |
174.こんな映画があるなんて全然知りませんでした。あまりにも壮絶でグロくてコレが現実に起きていたと考えると背筋が寒いです。 この映画は最初から最後までほとんどガキの喧嘩状態です。ラストカットで表現されている通り、小学生程度の子供たちが何人か集まってくだらないことを言い合う程度の日常=この映画なんでしょうね。教育が行き届いていない人間たちが闊歩している無法地帯、ある意味これが世界で最も怖い場所なんでしょう。映画からはそう感じ取れましたし、まさしく地獄絵図とはこれのことでしょう。 この映画をみたら発展途上国(ブラジルは新興国か?)に旅行に行きたいとは思わなくなります。ある意味アメリカが提唱する「自己防衛のため銃携帯を」が当たり前のことのように感じられます。つくづく日本に生まれて幸せだと痛感します。何度も見たいとは思いませんが、当分の間はリトル・ゼの表情が忘れられそうにありません。名作とは言い難いですが凄い映画ですこれ。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-10-03 15:11:36) |
173.幼稚なガキンチョ共に銃を持たせたらこうなるでしょ、という話。不思議なことは何もなく、十分想像できる範囲内という感じでした。 【マー君】さん [DVD(吹替)] 4点(2016-12-17 21:14:27) |
172.まさに「陽気な地獄へようこそ!」という感じですね。リオの空港では給料遅配に怒った現地警官たちが「地獄へようこそ」と描いたサインボードを掲示したそうですが、ここはぜひ“Welcome to City of God !”とシャレてほしかったところですね。 たしかに自分は今までいろいろ映画を観てきましたが、これはその中で五本の指に入る衝撃作でした。まるで『ロック・ストック(以下略)』のような軽妙かつスタイリッシュな語り口なんですが、その内容ときたらもう凄まじいの一語です。だいたいからして、こんなに子供が大量に殺される映画は他には探してもないんじゃないでしょうか。この徹頭徹尾血なまぐさい物語が、からからに乾いたユーモアでストーリーテリングされるんですから、そりゃ衝撃を受けますよ。本作がどれだけ世界を驚愕させたかは、全編ポルトガル語なのにアカデミー賞では外国語映画賞ではなく監督賞や撮影賞など普通の部門でノミネートされたことでも判ります。フェルナンド・メイレレスはこれですっかりブラジルを代表する映画作家となり、リオ五輪の開会式の監督を任されるまでになっています。 まあこの映画を観てつくづく感じるのは、ブラジルじゃギャングより警官の方がはるかに怖いということです。そしてリオで五輪を開催するなんてよくできたなと思いますよ、映画のストーリー自体は過去の話といってもリオのスラムの現状はどうも大差ないみたいですから。これを書いている時点では五輪は終了していないんですが、どうかこれ以上何事もなく閉会式を迎えることを切に願う次第です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-08-20 21:10:01) |
171.まさにディープインパクト。ただのギャング映画では無い。 スポーツ大国・ブラジルが名選手を生んできたのは貧富の差が激しくハングリー精神の異常な強さだとぼんやり想像していたがイメージがガラリと変わった。 『神の街』は無法地帯のなんでもあり。殺人、強盗、強姦、鳴り止まない銃声、小さい子供が平気で銃を所有。悲惨さがリアルでノンフィクションというから尚更だ。そこから伝わる恐怖のパワーが凄い。 残酷ではあるがそんな環境で育ち銃が無いと身を守れない孤独な子供たちは悲しすぎる。恵まれた日本から見れば非常に考えさせられる深い作品。 これからリオ五輪を控える新興国ブラジル。おそらくスラム街は今もあってTVで映し出されることは無いと思うが昔の面影を見たくないのは本心。 |