31.決して上手い映画とは言えません。が、「とりあえず上手く見せよう」なんぞと小手先の技術で見栄えだけ取り繕った映画ではなく、多少イビツであってもとにかく大胆に突っ走っていく強引さ、そこに妙味があります。ホレ闇だ、光だと、何やらワカリヤスイ照明テクニック、しかもところどころは撮影に失敗したとしか思えないシーンもあるんですけどね。しかし無愛想なまでのブツ切り感覚の映像、スピード感あふれる殺陣、ミスマッチな音楽、これらとあいまって、何ともアヤシイ魅力をはなっております。内田裕也の最期のシーンなど、まるでトロマ映画を見てるような気分になっちゃう迷シーンでありました・・・。ところで座頭市は本当に強い。どうしたら彼を倒すことができるのか。一対一ではかなわない。さりとて大勢で向かって行っても、座頭市を中心に円形に取り囲むような布陣をとってはいけない。彼が身を翻した瞬間には。彼から等距離に立っている者全員が斬られているのである。結局、私には座頭市攻略法を見つけることはできなかったが、少なくとも、斬られやすい立ち位置には立たないこと、まずはこれが何よりの秘訣であろう。 【鱗歌】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-05-01 01:16:25) (良:1票)(笑:1票) |
30.座頭市というと、この映画が初体験でしたので、最も印象が強いです。 大映時代からのファンには違和感あるかもしれませんが、自分にとってはこれが座頭市です。 脇役陣も今考えると、クセのある強烈な人が多く、豪華なキャストだったなあと思いますし、今では勝も含めて何人かは故人になってしまい、惜しい方ばかりです。 役者が監督した映画って、抽象的だったり内面的な表現がわかりにくい例が多く、この映画もそういう演出が感じられますが、役になりきっている勝新は「かっこいい」の一言に尽きます。 ストーリーは大味で「役者が役者を見せるために作る」という明確なポリシーを感じます。役者なら誰もが持っているであろうナルシスト的な演出と、観客が観たい役者像が合致すれば、強烈なインパクトを持った映像になるという好例です。 エンドロールを見てて改めて気づいたのが、カメラマンが長沼六男というのも、今考えればすごいことです。 1カット1カットの構図が素晴らしく、風格を感じます。 激しい印象が強いこの映画、激しいシーンでも実はカメラは必要最低限の動きしかしていません。 撮影技術がどれだけ発達しても、この映画の「絵の風格」のようなものは、時代が進むにつれ失われています。 無駄にカメラが動きまくるコケオドシの映像が氾濫している今だから、この「絵の風格」が逆に新鮮に感じられます。 【どっぐす】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-29 23:47:04) (良:1票) |
29.勝新と言えば真っ先に「座頭市」が思い出されるぐらいやはり私には「座頭市」と言えば北野武ではなく、誰が何と言おうと勝新太郎である。そんな勝新こと勝新太郎がこれは長年の「座頭市」ファン、勝新ファンの為に勝新自らがメガフォンを撮り、恩返し的な感じで撮られた映画であるように思われるのであって、これの他の「座頭市」シリーズをほとんど見てない人と私のようにほとんど見ている人とでは大きく意見が分かれることであろう!確かに勝新の殺陣の凄さも役者としての力量もオーラもそこらのテレビ俳優とは異なるこれぞ映画スターというものは感じられる。しかし、それでも作品全体に何か違和感、例えばかつての「座頭市」シリーズで感じられた単なるチャンバラものと違うヒーロー像の中に感じられた温かさと人間的弱さとユーモア、そういうものが今作ではいま一つ感じられない。それにやたらとしつこい濡れ場もこれも正直、どうなの?と感じてしまいます。またやはりどうしても今までの作品と比べてしまうと悪人の貫禄、迫力、座頭市を付けねらう男達の悪としての魅力、凄みも弱い。そんな中にあって、大好きな大好きな三木のり平との共演は嬉しく思う。正直、出来ることなら「座頭市」はこのシリーズのファンとしては前作で終わりにして欲しかった気もしなくもないし、ちょっと複雑な気持ちである。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-09-29 23:09:16) (良:1票) |
28.勝新による「座頭市」シリーズ最終作で、勝新本人が監督・脚本・製作も兼任するという相当な意欲作。シリーズとしてはテレビシリーズを経た久々の劇場公開作品ということもあってか、勝新の並々ならぬ意気込みが感じられる映画になっていて、勝新の座頭市への思い入れの深さも伝わってくる。勝新の殺陣はもうこの頃は晩年だというのにスピード感があり年齢を感じさせないほどの凄まじい迫力で、とても見ごたえのあるものになっているし、「座頭市二段斬り」に出演していた三木のり平(この人の起用はなんか嬉しい。)とのやりとりなども見ていて微笑ましく、かつてのシリーズのようにさりげなく笑えるシーンを挿入しているなど娯楽時代劇としてはじゅうぶん満足いくものになっている。しかし、昔、勝新の追悼番組でテレビ放送された際も見ている作品だが、大映のシリーズをほとんど見た状態で改めて見てみると妙な違和感を感じてしまうのも事実で、市を演じる勝新に貫禄がつき、一層渋みが増しているのはいいのだが、それがかえって市のキャラクターが大映のシリーズとどこか違うなと感じてしまい、また流血シーンのリアルさは黒澤明監督の「用心棒」や「椿三十郎」を意識してるのかもしれないが、「座頭市と用心棒」でも少し思ったんだけど今回はそれ以上にやりすぎ感があるような感じがするし、樋口可南子との濡れ場も大映のシリーズを見慣れているとかなり違和感がある。それに主題歌が英語というのもこのシリーズにはそぐわない感じがしたのが残念。とはいえ、さっき書いたように純粋な一本の娯楽映画としては存分に楽しめる出来になっているので見ていて退屈はしない。でもやはりシリーズとしては大映時代のもののほうが好きだな。(2009年12月17日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2005-07-18 21:20:34) (良:1票) |
27.とにかくその独特のセンスに驚く。ある意味カルチャーショック。ただ映画としてすごいとはあまり思わない。でもすごいのだ。大筋と大枠だけ決めておいて細かいことは気にしない。でも各シーンの要所では徹底的にこだわる。そのこだわりは「心」であり「プライド」である。その視点が面白さでもあり、それが座頭市、勝新太郎というものを強烈に印象づける。全体としてのテーマとか流れなんてのには気が回らないんだろう。でもそれでいいのだ。一人の人間のカリスマ性で成り立つ映画。昔はこんな映画がたくさんあったんだろう。それが最高とは思わないが勝新がいい男なのは間違いない。ヒリヒリとした緊張感とその懐の抱擁感。観てるだけでおもしろい男、勝新に献杯。 【まこと】さん 6点(2004-11-14 23:54:13) (良:1票) |
26.DVDのリマスター版にて鑑賞。過去の作品と比べるとやはり、“侘寂”がない気がする。しかし、所々に役者の演技によって、笑わせる演出は楽しかった(北野版はしょーもないわざとらしいギャグにすぎなかったが。)。緒形拳の浪人はいい味だしていたのに、あの最期と市のすて台詞はちょっと残念、もったいないな。 【いわぞー】さん 6点(2004-10-31 21:48:24) (良:1票) |
25.勝新太郎の「座頭市」として今作だけを観たのであれば、存分に満足できる時代活劇であっただろう。しかし、第一作「座頭市物語」で誕生した“座頭市”というキャラクター、その初期作群の“彼”と比べると、どこかキャラクターとしてのキレがないように感じた。分かりやすく言い換えると、今作の座頭市は貫禄がありすぎるという印象だ。それはもちろん十数年ぶりにこのキャラクターを演じた勝新太郎自身の変貌による影響が大きいのだと思う。この時の勝新太郎の演技や風貌が悪いということではなく、当初の座頭市とのギャップが大きいということだ。厳つい巨漢の盲目の按摩師が凄まじい居合い抜きを見せる様は非常に迫力がある。ただ「座頭市物語」にあった洗練された一瞬の静寂さ、その瞬間の殺気は、感じることができなかった。 【鉄腕麗人】さん 4点(2004-09-19 03:41:07) (良:1票) |
24.緒方拳が好演。こんなイイ感じの敵役になるとは思いませんでした。殺陣も痛快。ただ主人公の友達がいちいち殺されり不幸な目に遭ったりするのは、ちょっと無理矢理な感じがして残念。悲惨さは煽ればいいものでなく、砂糖と塩の塩梅をもう少し練っていたらもっと評価されていたと思う。 【番茶】さん 7点(2004-08-15 23:39:28) (良:1票) |
23.(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー) 本家・勝新座頭市のシリーズ26作目です。勝新座頭市の最後の一作。ちなみに監督も勝新。 私は本家の座頭市を観る前に北野座頭市を観てしまいました。そして今度は本家の最後の作品。何だか順序が逆ですね。 北野座頭市も北野らしいセンスで描かれていてなかなかいい、と思っていましたが、本家・勝新のスゴさを目の当たりにしてしまうと、やはりモノが違うと言わざるを得ません。 俳優・勝新を初めて観た私が勝新を語ることは恐れ多くてできませんが、とにかくその存在感と独特な個性はスゴいもんです。あれだけ自由奔放な生き方をしながらも皆から愛されていたのもわかる気がします。勝新座頭市を観ると、勝新に敬意と親近感を抱かずにはいられません。 【りょうち】さん [地上波(邦画)] 6点(2021-02-06 00:27:44) |
22.「俺は一匹狼。世間は冷てぇ、世の中辛ぇ。どこにもかしこにも敵がいて狂ったように襲って来やがるが、馴染みの野郎もいるし勝手に惚れて身を捧げる女もいる。少しばかりの情に触れたら、また流離いの狼に戻るのよ。」という男のヒロイズムは解らないでもないし、いつの時代にもそれを表現したい男がいるのもよく解る。まあ、それだけです。 北野監督は勝新さんの殺陣と内田裕也さんの演技にかなり触発されたのかな。 【役者の魂】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-02-18 17:40:42) |
|
21.ひたすら理不尽な陣内孝則と、できれば一歩も近づきたくない内田裕也あたりが見どころでしょうか。ストーリーはあるようなないような。要するに勝新が片っ端から斬りまくるだけ。あの刀の持ち方で、全方位の敵をバタバタとなぎ倒すことは物理的・身体能力的に可能なんでしょうか…。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-02-08 02:49:14) |
20.いろいろとおかしな映画だ。「スパイダーマン」のようなエンターテインメント作品として見ると、その枠には収まりきらない優れたもののように見えるが、それ以上の作品として見ると、何の中身も無い映画だ。 【浅田荷葉】さん [DVD(字幕)] 4点(2019-03-22 14:25:38) |
19.89年の本作が本家版「座頭市」としてはラストになります。今見ても豪華キャストに驚きますが、他の方もおっしゃっているようにこの作品では群を抜いて勝新の貫禄が凄いことになっています。 ただし、勝新太郎ご本人が監督と主演をやっているせいでかなり荒削りな作品に仕上がっています。制作裏話なども広くTV放送されており、全く行き当たりばったりだった勝新の無能ぶりが広く知られています。突然樋口加奈子と風呂に入ったり、実の息子(雄大)が親分だったり、まあ、やりたい放題といった感じですが(笑)、このやりたい放題感が功を奏したのか、いかさま賭博、夜道のちょうちん、三木のり平との一件、僧侶との切り合い、用心棒(緒形拳)との一騎打ち、、とまあ、挙げればキリがないくらいメジャーなシーンのてんこ盛りとなっています。おそらく観客が観たいであろう有名なシーンのオンパレードで、まさに集大成とはコレのことです。実際私もこれが見たかった!といった印象を持ちましたし、不思議とラストには綺麗に収まっているのです。 あと、何気に勝新監督の映画ということで八州取締役(陣内孝則)、赤兵衛一家の親分(内田裕也)、浪人(緒形拳)などもかなり気合が入った演技を見せており、見どころの一つになっています。(鶴:片岡鶴太郎とのほのぼのしたやり取りもきちんと入っています) エンディングで英語の歌が流れ始めた時には正直腰が抜けましたが、、リマスターDVDは大切に保存しております。作品としては6点程度ですが勝新の心意気に+1点です。余談ですが海外ではブルーレイ化されていますが日本国内ではブルーレイ化されておらず、利権の闇に飲み込まれている不運な作品。 【アラジン2014】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-09-04 16:59:01) |
18.16年ぶり(テレビシリーズを含めれば10年ぶり)に復活した座頭市。勝新太郎も還暦間近。白髪が増えたとか、声に少し元気がなくなったとか、年齢を感じさせる面もあるが、殺陣のキレがまったく失われていないのは嬉しかった。脇も緒形拳をはじめ個性的な役者が揃い、贅沢な感じがするが、そこが問題点でもあるかな…。対立するヤクザ双方のトップがかなり目立っているのに、その上、浪人がいて、おはんがいて、おうめがいて、八州取締役がいて、と久々の座頭市で豪勢にやろうってのは理解できるが、ちょっと盛りすぎかもしれない。座頭市シリーズは80分~90分ものが多い中、これは2時間近いのでテンポの悪さも気になった。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-12-18 13:30:15) |
17. 勝新の本当の魅力はもう少し若い時期にあるのでしょう。私としては、たけしの座頭市のほうが魅力がありました。緒形拳や樋口可南子はいい味が出ていましたが。 【海牛大夫】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2010-01-11 17:29:51) |
16.集大成であるこの作品がシリーズ初見ですが、半端なくかっこええ。とにかく殺陣が凄い。見たことのないスピード、ダイナミックなカメラワーク、地形をいかした戦い。うっとりしてしまいます。勝新すごい。無敵。 その他の場面でも時に美しく、時に陰惨、時にコミカルにと様々な場面の出鱈目なセンスに脱帽。ただ、英語の曲には多大な違和感を感じますが、これも狙ってるのかな。それぞれの役者にも力があって、見せ場も充分なのでそれもまたグー。 ややストーリーの進行具合がわかりづらいかな。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-18 18:50:12) |
15.第26作。最終作ということで見てみたけどあんまり…。イカサマ賭場、暗闇での斬りあいとか見たことあるようなシーンが続いて集大成なのかなと思ったり。燃え上がる提灯のなか斬るまくるシーンが一番印象的。最後の大殺陣でも勝新50過ぎてもまだまだって迫力が凄い。完全にエンターテインメントしてます。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-11-01 23:31:06) |
14.惨殺シーンや濡れ場はちょっとやりすぎ。制作側は何の気なしにやっているのかもしれませんが、これでは万人受けは無理でしょう。特に必要性も感じないし・・・。ただ、殺陣は見事。圧巻です。それにしても陣内孝則さん、見事に役にハマってます。これほどの演技ができるなんて失礼ですがちょっと意外でした。 【長毛】さん [地上波(吹替)] 7点(2005-10-30 04:07:21) |
13.勝新太郎の自身の欲求を完全に満たすために作られたかのよーな作品なのに、出鱈目に格好いい。三木のり平との掛け合いが、何か可愛いですよ?勝新め! 【aksweet】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-15 13:46:55) |
12.殺陣、最強。話、普通。勝、万歳。北野、駄目。 【アルテマ温泉】さん 5点(2005-03-08 22:02:20) |