4.わずか38歳で世を去ったNYヤンキース史上最強の4番打者、ルー・ゲーリッグの少年時代から、引退までを、彼の妻エレノアの協力を得て描いた映画。生真面目だった彼のイメージとは対照的に、映画は実にテンポ良く、笑いとラブストーリーをを織り交ぜながら進んでいく。その映画の中にあって、ゲーリッグ自身だけは、やはり真面目な好人物として描かれている。ゲイリー・クーパーの映画はこれが初めてだが、彼の柔らかく、紳士的な物腰は「ダンディ・ゲーリッグ」の雰囲気が良く伝わってくる。妻エレノアを演じるテレサ・ライトも、「夫を愛し、見守る良き妻」を完璧に演じていた。見逃せないのがベーブ・ルースが本人役で出ている事。ゲーリッグが世を去ったのは1941年、この映画の公開はたった1年後の'42年。最後、ゲーリッグの引退セレモニーのシーンで、ルースとゲーリッグ、ヤンキースの最強コンビがスクリーンの中で再び握手を交わす光景は、当時の野球ファンならヤンキースファンならずとも感涙したに違いない。60年後の野球ファンも、引退のスピーチで感涙した。いかにゲーリッグが、当時のメジャーリーガーがアメリカの英雄だったかがよく分かる。古き良きハリウッドの一級の娯楽映画。野球に興味のない人もぜひ観て欲しい。