4.終盤近くから俄然面白くなるミステリーサスペンス。
ただ、スロースタートなのが残念。
出だしから中盤にかけてややだるい印象が残るのだ。
話としてはとても良くできているので、ラストはかなり楽しめるのだが・・・
ベッケル作品ではお約束となった“平手打ち”も終りの方で出てくるし、ファン・サービスも怠っていない。
しかし、これが40年代前半の作品であると観た後に知り、かなり驚いた。
ヒッチコックも顔負けの素晴らしきサスペンスだ。
これでベッケル作品は、その大半を観たことになる。
ベッケル作品は、どれも高いレベルのものばかりであった。
フランス映画特有の難しさや理屈っぽさもなく、ヒッチコック作品にありがちなやり過ぎ感もない。
極めてストレートでいて重厚な作品ばかりである。
ベッケルは、フランス人監督の中では比較的知名度は低い方かもしれないが、その作品レベルの高さから見れば、超一線級の監督である。
ジャン=ピエール・メルヴィルやロベール・ブレッソンなどの硬派なフランス映画を好む方には、絶対外せない監督であろう。