1.本作の残酷描写についてとかく語られるのは、監督のルチオ・フルチンが後にスプラッタ―の帝王と呼ばれたことからの後付けのような気もするのですが、とは言っても、まずタイトル前の「人間狩り」のシーンからして妙に描写が長い。主人公トムが鞭でしばかれるシーンも確かにしつこい。まあ確かに残酷ウェスタン、なんでしょう。しかし一方で、帰郷したトムが家でくつろいでるシーンだって、やたら念入りに撮られており、ワンカットごとにカメラの位置をどうしようこうしようと、妙なこだわりを見せております。要するに、このしつこさというものが監督の持ち味であって、映画全編にわたって何かと見せ方にこだわった結果、どうしてもリンチシーンの印象が強めに残ってしまうのではないのかなあ、と。ということは要するに「残酷描写が見もの」でええやんけ、ということになりますが。ただ他にも、例えばクライマックスの銃撃戦なんかも充分しつこくって楽しめますよ、ということですね。秘儀・宙返り4人撃ちの場面など、連射の最初の一発目ですでに4人ともが悶絶しているようにも見えますが、そういう派手なアクションも見どころ、ということです。