10.BSで放送してたので久しぶりに見てたら、昨今、映画のTV放送も色々と気を使ってるんですね、浅野温子と佳那晃子のバストトップには微妙なボカシが入っているし、女衒の緒形拳が少女の胸をはだけさせるシーンはカットされてるし。昔はゴールデン洋画劇場の枠とかで、五社作品のもっとヘンタイ的なシーンでも平気で放送してたのにね。
こういうのは「違和感」というレベルで済むけれど、そのうち池上季実子と浅野温子との壮絶ハイパーバトルまで自主規制でまるまるカットするようになっちゃったら、もはやストーリー自体の印象が完全に変わってしまいます。そうならないように祈りましょう。
というくらい、あのバトルは凄まじく、そしてそのシーンの後であるが故に、二人の関係は心打つものがあります。
それにしても、池上季実子が主演、浅野温子が助演、という位置づけで、本当にいいんですかね。浅野温子の存在感の方が圧倒的。もう、これは彼女の映画、と言っちゃっていいんじゃないでしょうか。
緒形拳の曲者ぶりもお見事。『鬼龍院花子の生涯』の仲代達矢はちょっと浮き上がり気味だったけど、本作の緒形拳は、ぴったり役にハマってます。
花街の女性たちを、ただ単に「金儲けの道具にされた気の毒な女性」として描くのではなく、勿論、背景に哀しみを湛えてはいるけれども、この世界にはこの世界独自の価値観があり、誇りがあり、挫折がある、ということ、不自由と自由とを隣り合わせに描いていることが、ドラマに深みを与えているように思います。