2.80年代の新宿の夜を舞台にしていて、そこで起こっていたであろう出来事を、とにかく羅列したシーンの数々。
どのシーンも、決して愉快なものではなく、むしろ不愉快なシーンばかりだ。
80年代の新宿でロケをしており、あの頃の新宿が、映像として残っているのが貴重であり、この作品の一番の価値かもしれない。
伊勢丹と紀伊国屋がしつこく出てくるのはご愛嬌だが、それ以外の場所も少し映っており、あの頃の新宿を知る人たちにとっては、懐かしさがこみ上げてくるだろう。
一番印象的だったのは、新宿西口地下ロータリーの「新宿テレホンセンター」の映像。
はっきりとは憶えていないのだが、確かにこんな場所あったなぁ、とかすかな記憶がよみがえった。
公衆電話がやたらに並んでいた場所なのだが、これだけスマホが普及した時代からすると、化石の様な映像だ。
公衆電話に100円玉を入れてしまい、お釣りが出てこないと後から知った時の、あの騙されたような気分・・・あれを思い出します。
ところで、この映画のヒロイン?の太田久美子、これが生理的に合わん!
気持ち悪い顔と声色、そして無駄に揺れまくるボイン?
申し訳ないが、この人が出ているだけで、二度と観たくない。
山本政志監督のセンスを疑う。
同監督の『ロビンソンの庭』でも出ずくめなだけに、勘弁してもらいたい。
そして細かな内容について。
80年代の新宿の夜で、おそらく本当にあったであろう、不愉快な出来事が、まるでオムニバス形式の様に、次々と出てくる。
監督は狙って、こういったシーンを撮影したんだろう、でもそれは狙いだから別に構わない。
それより、実際にこういった人たちが、こういった生活をしていたと考えると、この人たちに幸せ感なんてものはなかったんだろうなぁ・・・と感じてしまう。
ただその場のノリでアウトローなことをやっているだけで、表層的な思い付き行為。
こんなことをしていても、何ら幸福になれないし、面白くもなんともないことに気付いているのか?、と。
完全に余計なお世話だろうけど。
そもそも、幸福なんて求めていなかったんだろうし・・・
80年代の新宿って、どこか憧れみたいなものを持っていたけど、この作品でそれをリアルに直視してしまった後には、憧れなんか消え失せてしまった。
別に、良かねぇなぁ、と。
美化された古き新宿と決別するには、最高の映画だと思う。
そして最後に。
散々、文句ばかり書いたけど、この時代の新宿の活きた映像を、現代に残してくれた山本政志監督に感謝!
それだけは、本当に価値のあることだと思う。