2.韓国で実際の未解決事件を題材に、映画を作るといえば「殺人の追憶」が有名ですが、それに近い映画です。ただし、「殺人の追憶」とはまた違った要素を取り入れ、どちらかと言えば、その被害者の悲痛な想いを根底にもってきており、子供がいる親が観れば、胸がとても苦しくなる映画です。ただ、それだけでないところが、この映画のすごいところで、サスペンス的な要素もきっちり入れており、特に中盤の騒動と後半のある出来事にはドキドキしてしまいます。そして、それ以上にすごいのが、人間の偏見をもった視点がいかに恐ろしいことかを、観てる者を巻き込んで描いてるところです。車の窓越しに見るある人物の顔、この恐ろしい表現がどんな事態を巻き起こすか。主役が番組のためなら、でっち上げも平気でするマスコミの人間で、このクズっぷりに、主人公に感情移入しにくいのですが、クズが事件の真相を追うって構図がおもしろく前半はそれだけでグイグイ引っ張られます。特に印象的だったのは、後半に登場するある人物の目です。とてつもなく恐ろしい目の演技をしてくれます。人ってあんな目になれるんですね。とにかく人間ドラマ、推理サスペンス両方の要素がつまったこの映画、時間を忘れて見入ってしまいました。