7.人間に感情や思考がある限り、もっと簡単に言うと人間に心がある限り完全な平等、完全なイデオロギーの実現などは絶対にありえないと思います。そういうことをある女性の姿を通じて描いてくれているとともに、中国の文化大革命とはなんだったのかということを伝えてくれる貴重な映画です。
まあ、文革の被害を描きながらも、体制側の人物は元々堕落していた一人を除いて断罪されることがなく、むしろ当時の世相が悪かったんだ的な流れになっているところが、今も続く中国の共産党一党独裁体制の状況を伝えてくれる形になっていて、いろいろ考えさせられますね。
また、恐らく数千年前からこういった権力の変遷を乗り切ってきた中国の人々の底力というか、適応能力の奥深さも教えてくれる映画だと思いました。
こういった素晴らしい映画を紹介していただいた、岩波ホール総支配人を長らく務めた高野悦子さんのご冥福をお祈りいたします。