5.「十三夜」と「大つごもり」は短編らしくすっきりまとまっていて、オムニバスとしてとても良い。それに較べると「にごりえ」は宴会シーンなど原作にない部分が膨らみやや長いものとなっている。独立した一編であれば膨らます必要もあるかと思うが、文語体の原文の一葉のイメージとはちょっとそぐわないかも。(悪いというわけではない) 全編を通して明治時代の女性の立場や暮らしというものが手に取るようにわかるようだ。それにしても子役からちょい役まで役者揃いには驚く。 【ESPERANZA】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-11-14 09:10:19) |
4.2011.7/20鑑賞。白黒画面ではあるがなんと美しく情緒があるのだろう。でも一昔前のは、言葉等聞きにくいし言葉使いも違うので、洋画並みにスーパーインポーズが必要・・。また時代背景が明治らしいが判らない。これも知らしめる方法も必要ななでは・・。「大つごもり」が一番救われる。でも最後までイライラハラハラドキドキ。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-11 16:39:21) |
3.これは今見ると、文学座の動く俳優名鑑としての面白さが一番だ。タイトルのとこでは多いため「主な配役」しか表示されない。そのほかでもチョイ役で有名役者がどんどん出てきて、いや当時はまだ無名の若手だったのか、そういうこと考えながら顔を見ているのがけっこう楽しめた。「十三夜」で娘役で出てきた丹阿弥谷津子は、後年帝劇で蜷川演出で「にごり江」をやったとき、同じ「十三夜」で今度は母親役を演じていた。そういう楽しみもある。で中身、「文芸映画」ってのの定義はよく分からないが、単に文芸作品を原作にしてるってだけではたくさんあり、そのフィルムの味わいが「映画」としてよりも「原作」により多く負っているのを「文芸映画」と呼べるとしたら、これなんか典型的なそれ。樋口一葉の日本文学史における重要さを改めて思った。あの人は江戸文芸的なものとプロレタリア文学とをつないでいたんじゃないか。話としては「おおつごもり」が好き。ただ原作にある「知りて序(ついで)に冠りし罪かも知れず」という膨らみがあんまりはっきり出なく、ただのショートショート的なオチに見えてしまう危険もある演出だった。けっきょく全体を通して完全な悪人は一人も登場せず、「社会が悪い」という話になる。陳腐ではあるが、この世の本質なのだな。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-02-18 09:52:09) |
2.僅か百数年の間に女性の生活環境の向上は驚くほどに変わってしまった現在ですが明治の女の人の生き方の大変さが身に染みて伝わってくる日本の誇れる素晴らしい映画でした。時代のズレは仕方ありませんがいまだからこそ原作も読んでみたくなりました。何が幸いとなるのか?二話の出来損ないのドラ息子(仲谷昇)の悪行が救いとなり、おみねさん(久我美子)にとっては神様のように思えたでしょうね。 【白い男】さん [地上波(邦画)] 9点(2012-02-11 14:02:32) |
1.三つの話から成るオムニバス。 樋口一葉の小説を映画化したもの。 第一話と第二話は普通の出来。 第三話はとても良い。 山村聡、淡島千景ともにいい味を出している。 最後の幕切れはありきたりだが、その裏には、理屈では割り切れない“切りたくても切れない男女の仲”という、永遠不変のテーマが横たわっている。 そう、成瀬巳喜男監督の作品に通ずるテーマが、本作の根底には流れているのだ。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-11-27 20:26:51) |