3.まあ、はっきり言って凡作だ。
だけど、石井輝男監督ならではの魅力が、そこかしこに見られるのがプラスポイント。
都会の裏路地にある平凡なアパート、都会の喧騒、変態的エロスの演出。
全てにおいて、石井輝男にしか出せない絶妙な面白さと魅力を感じる。
女を囲うスケベおやじ。
「相変わらずのキミの肌はスベスベしているなぁ。」
はたまた、女を騙し小部屋に連れ込むチンピラ。
「俺が毎日かわいがってやるよ。」
ピンク映画とかだと、この後の演出が露骨になり、かえって面白くなくなってしまうところだが、石井輝男にかかると、エロスのチラリズムが効いていて、想像力をかきたててくれる。
このさじ加減が絶妙にして、自然でいて、エロチック。
そして何より変態的である。
ストーリーはほんとうに適当で、都合よすぎて何ら面白くない。
しかし、吉田輝雄の相変わらずの不自然すぎる真面目さを筆頭に、石井輝男作品ならではの魅力が散見され、陳腐なストーリーを帳消しにしてしまう面白さを秘めた作品に仕上がっている。
それはそうと、ヒロインがあまりにヒドすぎる!
あれは、パンダのぬいぐるみだ!
バスト99っていう設定らしいが、単なるデブにしか見えない。
しかもオバサンパーマで、アホキャラ。
顔も気持ち悪い。
これがもっとクールビューティな感じのヒロイン、例えば司葉子辺りが演じていたら、カルトな傑作になっていたに違いない。
陳腐なストーリーのマイナスポイントを、石井監督の演出がプラスに転じさせ、それをヒロインの魅力の無さが台無しにするという、何とも評価し難いアンバランスな魅力と凡作感に満ち溢れた、愛すべき小品である。