5.難点はいろいろあるかも知れないけれど、日本人のメンタリティに完璧なまでにフィットするこういう作品には、やっぱり逆らえませんなあ。健さんが弟分の起こしたトラブルの尻ぬぐいのため、やむなくヒットマンとなり秋山の親分さんを斬ってしまうのだけど、この対決の場面が「お互い納得ずく、正々堂々の戦い」が強調され、ああ健さんは悪くないんだ、と。はたまた出所後の健さんが親分さんの未亡人と息子をサポートするのだけど、自分が斬った張本人だとなかなか言い出せない、これもまあ健さんは口下手だからしょうがないなあ、さらには未亡人役の三田佳子も健さんを弁護してくれるもんで、ああ健さんは悪くないんだ、と。この辺りが娯楽作品の限界、作品の浅さでもあるのでしょうが、そのお陰で誰もが作品を気持ちよく楽しめちゃう、ってのも確か。クライマックスの左右田組への殴り込みのシーン、明らかにイメージは「忠臣蔵」で、サービス満点、しかも討ち入りだけに終わらずに石切り場での死闘になだれ込み、これはもうギャング映画のノリで、サービスし過ぎ。すばらしい。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-05-26 08:24:27) |
4.しっかりしたストーリーを、強欲ながら石工魂が垣間見られる親爺と知性の「ち」の字もないアホ息子ども(特に山本麟一がいい仕事をしています)の悪方陣が盛り上げています。善人役で特筆するのは三田良子。漂う気品に見惚れました。残念だったのは池部良の役どころで、何時もの厭世観が感じられなかった点です。 |
3.シリーズ2作目の、まだ様式が固まっていない試行錯誤がうかがえるのが面白い。1作目は終戦直後だったので、本シリーズで戦前が舞台になるのは本作からとなる。任侠ものの味わいには戦前の風俗が大事だと思っているので、そこに感謝(『残侠伝』というタイトルを見ると最初はずっと戦後を舞台にした『日本侠客伝』みたいなものを考えていたのではないか。だから池部の起用も前年の篠田正浩『乾いた花』の好演もあっただろうが、なによりも“戦後”という時代を代表する俳優だったからなのではないか)。本作は宇都宮の採掘場、次作は銚子近くの漁師町と、地方のいかにもやくざが強そうなあたりを舞台にするが、以後の東京の戦前風俗になってやはり一番しっくりする。路線が定まってなかったので池部の扱いが中途半端で、前半健さんに沓掛時次郎的な役を振ったので、屈折する池部とタイプがダブってしまい困っただろう。池部は満州帰りと変な洋装で登場しズッコケるが、道行きシーンではちゃんと決める。本作でいいのは、悪役の水島道太郎にも「石工あがり」という過去を振ってることで、石を平気で傷つける子分を怒鳴ったりする。仁侠映画ではこの手の丁寧さがしばしば見られる。道行きから一家への殴りこみはうっとり見られるが、石切り場での争いは安手のアクション映画になってしまってた。こういう失敗を重ねて様式が固まっていったと思えば、それさえ嬉しく見てしまうのがファン心理。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-19 09:38:45) (良:1票) |
2.新年早々、けっこう楽しめました。いかにもスタジオな屋外セットや、宇都宮の石切り場という舞台設定が斬新。ストーリーも単純ながら骨太でしっかりしています。もちろん健さんはカッコいいし。それにしても、主要な登場人物がバタバタ死んでいくっていうのは、このシリーズのお約束なんでしょうか。その後の石切り作業の進捗や居酒屋の経営、それに残された奥さんが心配になります。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-09 23:19:37) |
1.今回は心ならずも一人の男を斬ってしまった健さん(花田秀次郎)が、残された妻と子供を陰ながら支えるお話。自分が夫(父親)の仇であることを言い出せない健さんの表情がカッコいいし、ヒロインを演じる当時二十代半ばの三田佳子もとても綺麗でビックリ(今までの彼女に対するイメージが「釈明記者会見をする人」「シベ超3に出てる人」だったので)!ただ、最後に池部良が助っ人を申し出るシーンが、前作「昭和残侠伝」とあまりにもソックリだったのがまるでセルフパロディーの様で、申し訳ないけどちょっと笑ってしまった。 【ぐるぐる】さん 6点(2004-02-03 16:51:06) |