1.キミョー奇天烈なる戦争映画。まず冒頭、アリョーシャとナターシャのラブラブな場面が描かれる(って言っても、このアリョーシャがまた冴えないオッサンなんだ、これが)。草原でラブラブな二人、と、そこに唐突に襲いかかるドイツ軍(ホントに唐突なんだ、これが)。ナターシャはドイツ軍の囚われの身に!復讐に燃えるアリョーシャ、と思いきや、彼は脇役に転落、映画はなんだか歴史ドキュメンタリみたいな様相に一変して、どっちかっつーと、途中からヒトラーが主人公になっちゃったみたいな印象(似てるんだ、これが)。変なニホンジンも登場したりして、トホホホホ。第2部ではいよいよソ連軍の猛反撃!って言っても、ソ連軍の快進撃ばかりで、派手な割にはいまいち盛り上がらない戦闘シーン。あれよあれよと言う間に、ベルリンは陥落、スターリン様ありがとう、マンセー!じゃなくてウラー!ってな映画でした(スターリンもまた、似てるんだ、これが)。スターリンが英雄視されてる、っちゅうより、もはや神格化されちゃってますね~。音楽はショスタコーヴィチ。交響曲7番なんかも挿入されたりするんだけど、はっきり言って、つまらな過ぎ。このぬる過ぎる音楽には辟易します。勿論、時代背景とショスタコの曲者ぶりを考え併せると、このヌルさをそのまま額面通り受け取るわけにもいかないのでしょうけど、「これがショスタコだと思ってほしくない」音楽であることは間違いないでしょう。というわけでまあ、変な映画には違いないんですけども、逆に、プロパガンダのためにはこんな変な映画を作っちゃうという驚き、この驚きだけは、時代を超えた普遍性を感じさせるわけで、これも映画の魔力の一種には違いありません。人に、国に、ここまでさせちゃう“映画”って、いったい何なんでしょうね。