2.マリオ・バーヴァの『リサと悪魔』にシーンを追加してエクソシスト便乗作をでっち上げました、という、全く何の志も感じられない一本。そういうデタラメさがまた、いいじゃないですか。
物語の発端は元映画と同じながら、途中から物語が分裂し、エクソシストを臆面も無くパクりましたという追加パートと、元の『リサと悪魔』とが、並行して描かれます。ので、結構、ワケが判らない。けど2本分楽しめてお得、なんだか、どうなんだか。
リサが骨董屋みたいなところに入るとテリー・サバラスがいて、彼女が店を出ると街が迷宮のようになって、自分がどこに居るのか判らなくなる、というのが元映画。一方この作品でほ彼女の退店後もテリー・サバラスと店主とのやり取りが続く。んだけどここは追加シーン、テリー・サバラスはブッキングできなかったらしく、代役の後ろ姿しか写りません。要するに、後ろ姿だけなら別のハゲで充分つとまる、ということなんでしょう。で、リサの卒倒シーンへ繋がって、エクソシスト路線が始まります。
並行して『リサと悪魔』も物語が進みますが、ここにも再編集の跡があり、例えば見知らぬ男に「エレナ」と呼びかけられる場面では、彼が、テリー・サバラスが運んでいたマネキン(?)とクリソツであったことを、一瞬の回想で示す親切設計。
正直、2つの話が殆ど噛み合ってない上、追加パートはあまりにもエクソシストの二番煎じ感が強すぎて、だいぶトホホな作品になってますが、テンポの良さは元映画を上回り、それでいて雰囲気はちゃんと味わえる。どちらか一本を見る、というのならコチラは見なくていいと思いますが(笑)。
アランフェス協奏曲が挿入されるのは元映画の通りで、雰囲気作りに大きく貢献してますが、冒頭で流れるのは、しっとり感とは真逆を行く、春の祭典。
そういや、冒頭のトランプのシーンは元映画のもしかしたら最大の見所じゃないの、とか思ってたのに、この作品では採用されてませんでしたね。残念。