1.とにかくテーマ曲「欲望の街」がいい。これほど大げさでありながら、独特の世界観を持ち、大の大人が熱唱しても恥ずかしくない曲はそうそうありません。この映画はこの曲にずいぶん救われていると思います。
それにチョイ役の柴田恭兵とか、今とほとんど変わらない西田敏行とか、びっくりするぐらい美人の島田陽子とか、役者の若い頃の姿も堪能できます。千葉真一は甲高い声のせいか、やっぱりチャラいですね。
しかし、作品としてはイマイチ。キモであるはずの金融取引詐欺のカラクリを、適当に端折ってごまかした印象です。とても「東大きっての頭脳」を駆使しているようには見えません。だから薄っぺらい詐欺師の話になって、リアリティも緊張感もありません。遠い昔に読んだ原作では、もっと迫真の描写があったような気がするのですが。他の方も指摘されていますが、同じく遠い昔に見たテレビ版(渡瀬恒彦のやつ)のほうが、ずっとクオリティは高いと思います。とはいえ、ラストの「欲望の街」を聞いてすっかり満足しちゃいましたが。