1. 久々に映画館で観て、時間の長さを感じず観終った時、「ああよかった。自分の判断は間違ってなかった」と思わせてくれた映画。
なんと言っても主人公がいい。もともと棋士だった主人公が、だんだん天文学、暦学の世界に入ってゆき、いろいろな人の気持ちを引き継いでやがては暦の改定に命をかけていく生きざまに魅かれた。特に前半部分の笹野さん、岸部さんとの出会い、別れが最高。あれで素直に映画の中に入っていけた。
あと、宮崎おあいが可愛い。本当に久しぶり。宮崎おあいをみて心から可愛いなあと思えた封切り映画は。
もともと歴史ヲタの割には文化史だけは相当弱い自分にとって、新しい分野に興味を持たしてくれた面も嬉しかった。
ただ、難を言うなら公家・朝廷の描き方。悪役が必要だからああいう描き方になったと思うのだが、幕府の最盛期に幕閣の意向に朝廷独自の判断で真っ向から逆らったというような歴史的事実があったのかどうか?ここら辺りは原作を読んでの判断になります。
※ぶっちゃけ、自分は映画を女優で見る人間で、いささか引け目を感じることもあるんだけど、この映画に関してだけは監督や脚本で見る人間でなくてよかったとしみじみ。
だって、そうだったら雷桜の脚本家と阿修羅城の瞳の監督の歴史ものとか、お金もらっても見ないからw
原作を読んで。まず点数は変えません。一つに自分、宮崎あおいの基本点が5点(笑)であまり下げ幅がないこと、もう一つは原作、題材を100点と評価したうえでの8点です。ここまで改悪されても、なおかつこれだけ楽しませてくれる、信じがたいほど優れた名作です。是非、ご一読を。
しかし、加藤正人さん、つくづく歴史は駄目な人だなあ。まず素養がないし、その素養の無さを勉強によって補う真面目さ、プロ意識がない。そして一番致命的なのが、歴史の中に面白さを見出す感性が無い。大老酒井の新しい人物像とか、一方が保科、一方が山鹿で表される思想の対立とか、この人にとっては、何も感じず単に煩わしいだけだったんだろうな。そしてその代替えが、あの下劣な「分かりやすい」利権構造、嗚呼。
誰でも不得意な興味が無い分野があるのは仕方がないんだけれど、少なくともそういう分野の仕事は引き受けないでほしい。それがプロとしての矜持ってもんじゃないかな