1.原作は残酷描写と人肉食のシーンがあったために、有害図書指定を受けたことでも有名でな作品です。
自分はこの原作は未読でしたが、映画は発禁処分を受けたとは思えないほど、道徳的な作品に仕上がっていると思います。
飢饉に見舞われた世の中で、10歳にも満たない子どものアシュラは生きるために人を殺し、その肉を喰らいます。
それは食べるものがなく、生きていかなければならないためなのです。
そして描かれるのは、アシュラが人喰いから「人間」へと成長していく物語であり、この上のないほどの悲劇でもあります。
アシュラの想いが痛いほどわかるので、涙を流してしまうシーンが多くありました。
声優を務めた野沢雅子さんが、(原作を)発禁にするなんてとんでもない、世界中の人に観て欲しいと宣ったことに完全に同意します。
流血シーンが多いのであまり小さい子には薦めませんが、子どもにも是非観て欲しい作品です(直接的な表現は少ないので、レーティングは全年齢指定です)。
今の飽食の時代では、こうして飢え、苦しむことのない幸せを忘れています。
この映画で描かれる飢饉、そして主人公が人を喰らうシーンは本当に気が滅入るものですが、作品には必要なものです。
そのことを、決して「綺麗事」ですまさずに教えてくれる本作は、確かな説得力を持っているのです。
本作の上映時間は短く、わずか75分です。
しかし下手に長い映画よりも、はるかに価値があると思わせる素晴らしさがあります。
本当に多くの人に観てもらいたい作品です。
アニメが好きな人だけでなく、映画からメッセージを感じたい方、心に残る映画を観たい人に是非おすすめします。
エンドロール後にも1シーンあるので、お見逃しなく。