60.あの「ゴジラ」が現代日本の東京にやってきたらどうなるか、をかなりリアルに描いた点は面白い。
特に自衛隊との多摩川防衛戦は圧巻だった。
ただ、まあ、元が子供向けの幼稚な特撮ものであり、そのイメージや設定を損なわない範囲で作られている以上、しょせん、幼稚でバカバカしい話であるのは変わらない。
海底の核廃棄物を食べて生まれた怪獣が突然やってきて、口から放射能を吐いて大暴れ。戦車砲をくらってもびくともしない。凝固剤を口から流し込んで凍らせる…うーん、これ、歴史ある「ゴジラ」じゃなかったらみんな石を投げるストーリーだよね?
なので、いい大人が楽しめるかというと、まあ、そこまでは…というところ。
まあ、自分にゴジラにもう少し思い入れがあれば楽しめたんだろう。ゴジラに対する思い入れ次第で評価も変わる映画。
自衛隊を含め行政の対応がしっかりしていたのは、好感が持てる。
この手の日本に国難が及ぶフィクションでは、たいてい法の不備、お役所仕事、縦割り行政で、国がうまく対応できずアタフタするという展開になりがちなのだが、もうそういうのはウンザリしている。見飽きたというのもあるが、何より見ていて単純にイライラする。加えて映画でしつこく政治批判を聞かされたくはない。
ところがこの映画は序盤こそ役人達がグダグダしていたものの、その後は非常に皆有能だった。現実はどうかは置いといて、フィクションなんだからとりあえず見て楽しいものを作ってくれないとな。
国際社会がゴジラへの核攻撃を決定する部分はもう少し説得力を持たせてほしかった。
ゴジラがもっと進化したり、そのうち羽が生えて世界中に飛んでいくかもしれないから、その前に駆除したい、というのが早期に核攻撃をする理由なのだろうが、その進化に関する説明は分析班のおっさん達がちょろっと言っただけ。そして、もうその後には、すぐに、核攻撃の話が決定事項になってる。そりゃあないわ。
曲がりなりにも一国の首都、しかも人口1千万を要する東京を核攻撃をしようなんて恐ろしい行いを、国際社会が軽々しく決定しようはずもなく、そこは流石にもう少し時間を取って経緯を描いてくれないと、物語に逼迫感を出すために無理矢理ねじ込んでる感が強い。
そのせいで、核攻撃のタイムリミットに間に合わせるための奮闘シーンも冷めた目で見るしかなかった。
あとは、石原さとみの変な英語まじりのしゃべりがものすごくうざかった。