3.「人生の1時間半を捧げたくなるような価値のある映画を作りたいんだ。」とは本作に登場する脚本家の台詞。
戦時下のイギリスで、国民の戦意高揚のための映画製作に関わる人々を描いた人間ドラマ。
彼らの映画人としての誇り、イギリス人としての誇りをかけて
制約だらけの映画製作に挑んだ人々の人間模様をコメディタッチで描いた佳作。
BBC製作ということも関係しているのか、イギリスらしいユーモアを挟みながらも真面目に作られた作品です。
しかし暗い世相を感じさせる作品の世界観の中、このささやかに挿入されるユーモアの匙加減が素晴らしい。
主演はジェマ・アータートン。当時の女性の雰囲気をとてもうまく表現する好演でした。
そして脇を固めるビル・ナイ。出番はそれほど多くないですが、流石の存在感です。
作品を見る者に勇気を与えたり生きる喜びを見出したり。それは最後の映画館の観客の反応が物語っています。
原作、監督、音楽、脚本など、女性が中心の映画らしい雰囲気をたたえながらも映画の持つチカラを感じさせてくれる良作でした。