1.セックス・ピストルズらと共にロンドンパンクの中心的存在だったザ・クラッシュ。
彼らの1stアルバムであり代表曲が作品タイトルとなっており、勿論彼らも登場しますが、
クラッシュの映画というよりは70年代後半、イギリスにあった人種差別の風潮にロックの力で真っ向から闘った、
「ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)」の活動をあえて今、振り返るドキュメンタリーの佳作。
RARのムーヴメントの熱量が今に伝わる当時の映像と、
今にRARの活動を振り返る人々の発言を織り交ぜたそのメッセージは熱く、シンプルでストレート。まさにパンクな作品です。
白人至上主義や黒人排斥を掲げ、その当時支持率を上げた政党「国民戦線(NF)」の活動や政治家の発言だけでなく、
当時、そのNFを支持していたD・ボウイ、E・クラプトン、R・スチュワートといった大物達のことも辛辣に批判しています。
僕が初めて「白い暴動」を聴いたのは少し後の、洋楽を聴きまくるようになった80年代に入ってからだった。
その歌詞に込められた意味や曲ができた背景も、本作を見るまで全く知らなかった。
当時のイギリスの社会、国民の間にこんなに大きな分断があったとも全く知らなかった。
本作が伝えた70年代から時は流れ、本作が製作された2019年の世界はどうか。
「NFは79年の総選挙で敗退した。しかし闘いはまだ終わっていない。」
当時のRALのムーヴメントがもたらしたものと、本作最後の一言が今の世にも大きな問題提起をしています。