1.潤いなく乾いている空気感、それは登場人物の心理から映像・音響においてまで徹底しています。終盤になって現代日本版のタクシードライバーをやりたかったんだろうなと気づきました。展開は筋道立った構成というより行き当たりばったりと感じます。死体やスマホ、拳銃といった要素が物語にほとんど影響していません。ラジオの天気予報、アメリカの銃乱射事件や地震の話題、何か致命的な出来事が起きそうな、しかし結局何も起きないような徒労感を表現したかったのでしょうからこれはこれで正解なのかもしれませんが、ほとんど伏線回収を放棄したような構成は実は駄作ギリギリかもしれません。もう少しテンポが良くてはっきりとしたテーマがあれば広く評価されたと思います。