8.この人の映画はまず上映時間がいい。かつてのベルイマンもそうだったが、北欧って映画時間を無駄に長くしない伝統があるようだ。そしていつものように、ついてなさ・不運を過剰に受け入れていく主人公がいい。寝てるイギリス人よりも働いているフランス人のほうが首切りの対象になる。机も持ち去られる。で彼はちょっと上を見上げロープを買う。ガス自殺に失敗したわけは、新聞(ガス会社のストライキ)で明かされる、と無駄がない。で殺し屋に自分の殺人を依頼する(金時計の金)。『豚と軍艦』の丹波哲郎だ。向かいのパブに行くのに、メモを扉に残しておく律儀さ。請負人を街で見かけると宝石強盗をやっており、ピストルを渡されじっと防犯カメラを見上げ、振り返ると窓いっぱいの目撃者、なんてあたりアキの本領発揮。殺し屋のところでかいがいしく家事をしてる娘もいい。そしてぶきっちょにハンバーガーを焼く手つきからの再会となっていく。充実した80分。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-10-14 09:46:51) |
7.はっきり言ってしまえば、こんな人間いないでしょうね。でも、リアルと呼ばれるそれを追い求めたってつまんないです。映画の可能性が萎縮してしまいます。それをぶっ壊すくらいのつもりでやっている監督は今までも、これからも次々現れます。その中で、カリウスマキ監督が突き詰めていこうとするのは映画の限界だと思います。映画そのものにある力を極限に引き出したいと考えているのでしょう。だから、脚本を始め、演技、演出全てがシンプルなんだと思います。立ち上がる、座る、横を向く、驚く。とにかく全てがシンプルで、無駄をそぎ落とした感情そのものが伝わってきました。死にたいが愛する人に出会い、生きたいへ変わり、殺す者に追われ、逃げる。ただそれだけだけど、その表面にある生を見つめ、死から逃れようとする行為、全てが活き活きしていて、輝いて見えた。耳を塞ぎ、台詞を読まなくてもわかるこの作品。これぞ映画。これぞ芸術。 【ボビー】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-06-28 19:56:32) |
6.こんなサスペンスコメディを撮らせてもこの監督は相変わらず、あっさりと淡々とした雰囲気は絶対に崩しません。好きなんですが、地味になりすぎてしまっているので。もうほんの一味ほしいところです。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-04-14 17:36:12) |
5.本当に心に沁みるアキ・カウリスマキらしい「大人のための童話」といった感じの作品ですね。いろいろと考えさせるものがありました。イギリスが舞台ということで、他の作品とはまた違った雰囲気ではありましたが、中々新鮮で良かったです。 劇中、ジョー・ストラマーがちょこっと出てましたけど、やっぱ格好良かったですね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-16 22:09:25) |
4.この監督の作品は、どれもが引き込まれていく不思議な魅力だ。 ところで、常連のマッティ・ペロンパーが一瞬出ていたような気がしますが、いかがでしょう? 主人公がサングラスを買う場面、「1ポンドだ」とお金を請求する人。(これ、恐らく店のではないでしょう・・・) |
3.とても面白かった。生真面目だけど間抜けなところが魅力的な主人公はじめキャラクターがみんな素敵。普通ならすっとばしてしまうような細部を描いて、決めのところは敢えて隠して、という描き方が観る者の想像力を膨らませてくれました。笑わせてくれるのに最後はしっかりカッコよくきまったのはジャン=ピエール・レオの名演技によるところが大きいかもしれません。いい俳優さんだなあ。 【クリロ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-19 13:03:24) |
2.他の事をしながらテレビ放映を何気なく見ていたら、意外に面白くて途中からは作業を止めて見てしまいました。カウリスマキという名は聞いたことがありましたが、この作品が初めての出会いでした。地味ながらも、ほくそ笑んでしまうようなネタが多く、こぢんまりと上手くまとまっている良作と思います。 【プミポン】さん 6点(2004-02-22 22:21:57) |
1.自殺したいが死にきれず、殺し屋を雇って自分を殺してもらおうとするが・・・ブラックな話の展開の面白さもさることながら、「殺し屋といえば→初老で肺病、余命幾ばくも無し」みたいなインチキ臭い設定が、何とも人を食ってます。 【鱗歌】さん 8点(2003-06-08 00:39:57) |