1.題名から想像するような昆虫が人を襲う派手なパニック映画を想像するとまったくの期待ハズレに。蟻の知能が進化し人を襲うって設定なんだけど、内容が普通のパニック映画ではない。登場人物は主に3人だけ。科学者二人と現地の住人の女の子。舞台は主に荒野に建てられた研究所。そこでこの科学者二人が進化した蟻をたんたんと研究するとゆうかなり硬派な展開なのだ。雰囲気としては「アンドロメダ・・」に近いかも。俺としては蟻の映像がすごかった。まるで映画に合わせて演技してるよーな演出。調教して撮ったそうだけど、本物の蟻なのでリアル感がすごい。蟻が自分たちを殺す薬の塊を、一匹づつ橋渡しで女王蟻のところまでは持っていくくだりは特にすごかった。一匹が必死にその塊を運び、途中で死んでしまう。すると奥からもう一匹あらわれ、またそれを運び途中で死ぬ。こうやって女王のところまで持っていき、最後にそれを女王が食べる。すると次はその薬の色をした蟻が産まれる。ここの映像のドキュメンタリーチックな不気味な迫力はかなり見ごたえがある。他にも蟻の死骸が並べられ、その間を見回るように悲しんでるように歩く蟻の姿とか。本当に彼らが高度な知能をもってる感じがしてくる。いったいどーやって撮ったんだろう?それくらいの驚きの出来。この蟻の映像はまさに戦慄ものだ。展開も蟻の攻撃に対して、冷静に淡々と対処する科学者の姿がなんだかリアリティーがある。知能をもった危険な蟻をあくまで研究対象としてとらえ、あまり恐れたりびっくりしたりしない。そこがすごく科学者っぽい。蟻の脅威より研究への探究心のほうに欲求がいってしまっている。これぞ科学者って感じ。蟻の攻撃も、実に不気味で、集団で襲ってきたりせずに、変な蟻塚を作り、研究所のまわりを取り囲み研究所の温度を上げたり、心理的においつめたりなど静かなる攻撃。この淡々とした戦いが、異様な空気を作りだし、淡々としてるのに観ててジワジワテンションがあがる。派手映画好きには眠くなるかもしれないが、この静かな戦いにはまれば、それなりにおもしろい異色のハードSF映画だと思う。