12.初のボニーとクライドを題材にした作品、(ラングにとって)初のフィルム・ノワールが強いアメリカ期の作品と、初づくしの本作。一度定められた運命を前にどうすることもできない2人の姿を、メディアや民衆を批判しながら描いている。新聞屋はあらかじめ3つの一面記事を用意していて、いずれも大衆を煽ることだけを目的としている。ヘンリー・フォンダの死刑が決まると、ニヤけ顔で死刑の紙面を指差す下品さ!2人に退去を命じる宿主や、ちっぽけな理由でヘンリー・フォンダをクビにする社長、冤罪をなすりつけるガソリンスタンドの店員など、2人と敵対関係にある人物は総じて下品に描かれている。米国に渡ったラングは終戦までプロパガンダ映画を作り続けるのだけど、本作と『激怒』は少し毛の色が違う。標的はナチスではなく、メディアと大衆である。話はそんなに面白くないけど、本当に暗闇と霧の使いかたが上手い監督だ。ヘンリー・フォンダが脱獄するシーンの緊張感はラングならでは。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-12-11 03:22:04) |
11.更生する事の厳しさが描かれる多くの作品の中にあって、監督が表す寒気がする無情さは一味違います。観る者の同情や非難をはねつけるが如き彼女の最期の台詞が泣かせます。彼女が主役のドラマに見えました。 |
10.ボニーとクライドをモデルにした最初の映画なのだそうだが、犯罪映画というよりもメロドラマ寄り。なんだけど、そこはやはりラング、ねちっこい怖さが充満している。怖いのは国家とか警察とかじゃなく、ラングのほかの作品同様にやっぱり民衆なのだ。大きな悪よりも小さな悪の集まりの怖さを描く。主人公について回る偏見の恐ろしさよ。盗られてもいない金を盗られたと申告するなんてのも偏見と自分本位から成る行為の一つとして印象的に映し出される。主人公の疑心暗鬼はナチスが台頭してきたドイツを逃れてきたラングが実際に経験してきたものなのだろう。疑心暗鬼が引き起こす悲劇というのもまたラングのおなじみの展開である。かといって主人公が全くの犠牲者かというとそうでもない。主人公は冤罪で捕まったが、捕まったから強盗をしなかったのかもしれない。元々偏見の元である犯罪を犯したのは彼自身であり、すぐにカッとなって暴力をふるうという偏見を呼び込むべく人でもあったのだ。そのあたりの単純に善悪の割り切れない人間性を見せているからこの映画は暗く、深く、そしてやっぱり怖いのだ。 【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-24 16:09:33) |
9.すっげぇ久しぶりにフリッツ・ラングの映画を見たんですが「俺たちに明日はない」や「テルマ&ルイーズ」の教科書みたいな。建物のセットが妙に圧迫感あるけどあるらしさは健在。一人の男が前科があるばかりに世間からのけもの扱いされ流されていく様は見事で当時のアメリカらしい一度犯罪した者はそのまま一生犯罪者、という風潮がよく出てたかと思います。逃亡中に子供が生まれるっつーことは半年~1年近く逃亡してたんかぁ~、いきなり飛びすぎっしょ(笑) |
8.いったん前科を背負ってしまった青年は、もはや世間には受け入れられることはない。ただひとり、彼を信じ彼を愛する女性とともに、ただただ転落の道を歩む。比較的短い映画なもんで、世間の理不尽さがストレートに描かれ過ぎている面はありますが、むしろそれだけに、その理不尽さと二人の愛が、好対照に描かれています。牢の格子を光線で強調したシーンなどは、いかにもアートしてます、みたいな感じがしないでもないのですが、霧の中で脱獄を図るシーンなどは、圧倒的な緊迫感で、幻想的でありながら生々しいサスペンスを見事に演出しています。また、自動車の窓から覗く強盗の視線、これに代表されるように、「視線」が印象的な映画、でもあります。と言う訳で、印象的なシーンの多い映画でした。 【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-07-19 23:06:19) |
7.前科があるというだけで、更正しようとどんなに真面目に暮らしても周りの人たちが認めてくれない、自由になるには悲しいかな死ぬしかない辛い現実。まるでベティーちゃんのモデルのような可愛い顔立ちのシルヴィア・シドニーが余りにも可哀そう。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-02 15:47:22) |
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6.つっこみ所は色々あれど「見せる」映画です。えん罪で地獄の一丁目付近まで辿り着こうかという二人が「正義なんて無い!」と思うのは当然。私だって一緒に逃げることを選ぶかも。しかし確かに彼らはもっと別の選択もできたハズ。人生は自らの選択がもたらした自分そのもの。受け入れるしかないでしょうね。 【黒猫クロマティ】さん 7点(2004-01-13 12:02:49) |
5.さてさて、年も明けて“運命は残酷”ネタも落ちついてきましたね。ブームというのは恐ろしいものです。そんな遊びをされてしまうと、一般の良識ある人(私のことです 爆!)が怖がってレビューを書けないではありませんか(笑)。私にとっては、この映画、“運命は残酷”というよりも“おバカな二人組”としか考えられませんでした。ああああ、なんでそっちの選択をしてしまうかなぁ~、あああああ、なんで人を頼らないのよ~、ああああああ、ちょっとは人を信用しろよ~。と言った感じ。終始、あああああああと思いながら観ていたので、大変疲れました。さらに、あのタクシー会社の経営者さん、あなた、一体何? 途中で放り出すくらいなら、最初から受け入れなきゃいいのに……。ちょっとは『男たちの挽歌』のタクシー会社の人を見習ってよね!(プンプン)と、主人公達に同情する部分も確かにあります。が、疲れる……。逆に見方を変えて、どこまでバカな方向に進んでいくんだろうということを楽しもうとしたら、少しは楽に観られるようになりました。ちょいと『テルマ&ルイーズ』の後半に似ていますね。 【元みかん】さん 6点(2004-01-02 04:07:55) |
4.山中貞雄の『人情紙風船』と並んで土砂降りの雨が、美しくも切ない、”泣ける”犯罪メロドラマの一大傑作。【STING大好き様へ】STING大好き様ともあろうお方が、こんなところで何ふざけてんですかあ! かりにもこれはフリッツ・ラングのアメリカ時代を代表する傑作ですよ。映画ファンとして恥ずかしくないんですか。やるなら、『Mr.レディMr.マダム』(もちろんこれも良い映画ですけど)に行っておやりなさい!全くけしからん。プンプン(*`ε´*)ノ彡☆ 【皆様へ】というわけで、このつづきはどうぞ、あちら(『Mr.レディMr.マダム』)にてお願いします。【やましん様へ】 「運命は残酷」こそは正にラングのモチーフ。おお、そうです、そうです。いやあ、貴方様の映画に対する深い愛情と慧眼にはいつも感嘆・感動しております。よい機会なので、いつぞや貴方様より頂戴した"映画ファンの鑑"を今日この場にて謹んで返上させていただきます。どうも私には荷が重いので...m(_ _)m 【なるせたろう】さん 10点(2003-11-26 21:22:35) |
3.ようやく国境にたどり着こうとした逃亡者の主人公ふたりに、追手のライフルが照準を合わせる。スコープ越しに捉えられた男と女の後ろ姿には、狙いを定める十字が(十字架…)。運命は残酷。←しつこくて、ゴメンナサイ(笑)。素晴らしい映画だけど、ぼく的には、同じストーリーの『夜の人々』の方こそが好きだな。[追記]STING大好きさんに乗せられて(?)、ついイッチョカミしてしまいました。…反省。でも、本当に「運命は残酷」ってフレーズはこの映画のみならずフリッツ・ラングという作家にとっての決定的なモチーフ ではありますまいか。でしょ、なるせたろうさん? 【やましんの巻】さん 8点(2003-11-14 19:04:06) (笑:1票) |
【kaneko】さん 7点(2003-11-07 23:44:22) (笑:1票) |
1.「俺たちに明日はない」なんかと違って、感情移入の出来る作品。 運命は残酷。 【BAMBI】さん 9点(2003-10-20 13:22:20) (笑:1票) |