24.最近、大昔に観た小津の「秋日和」「秋刀魚の味」、そして本作を続けて観直しました。小津の作品は、ある意味ハリウッドの冒険スペクタクルと同じ、絶対に映画でしかありえない映画です。観ていると段々映画の世界の中に入り込んでいくのが分かります。それが心地良いです。 3作ともそれぞれ味がある良い作品ですが、他の2作と比べて本作は「岡田茉莉子ロスト」でした。どうも他2作を見てすっかり岡田茉莉子がお気に入りになっていたようです。監督が彼女を1番バッターと読んだのも納得です、と出ていない女優の話を書いてしまいましたw 【amicky】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-01-28 18:08:12) |
23.ちょっと心があたたかくなる作品。母の「親は、子供が幸せになったらそれでいいのよ」が印象的なセリフだった。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-04-14 06:08:11) |
22.「心理描写に優れた映画」ってやつだったらきっと、主人公のオヤジは娘の結婚に表向き反対しつつも、ああでもないこうでもない、どうしよう、と苦悩の表情を、映画を観る我々の前にこれでもかと見せつけるんでしょうけれども、この映画はそうじゃない。佐分利信は映画の冒頭で堂々と、恋愛結婚はスバラシイ、と述べてみせ、その直後には堂々と娘の恋愛結婚に反対して見せる。頑固で理不尽であればあるほど、面白い。そんで、彼の娘を含めた3人の若い女性が入れ代わり立ち代わりチクチクやって、彼の妻も控えめながらチクチクやって、トドメを刺すように中村伸郎がすました顔でチクリとやる。ホントは佐分利信の内面を、各登場人物が代弁しているのかも知れないけれど、それを一人の男がウジウジ悩む姿ではなく、軽妙な人物関係に投影して描いて見せる。これぞコメディ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-21 22:38:19) |
21.「人生は矛盾だらけなんだ!」と開き直る佐分利信。自分は娘を持つ父の気持ちは永遠にわからないだろうが、生涯独身を貫いた小津安二郎だからこそ、矛盾だらけの父親を哀れみ、茶化す事ができるんだろうな。人情味があるというより、ある意味冷徹ですらある。 |
20.佐分利信、田中絹代のお二人の貫禄が見事なのでまだ50前だったのが意外。男女問わず口癖のように発する「ちょいと」、ラジオしかない居間、ハイボールのあるバー、家長たらんとする父親、清く正しいお付き合いのカップル、みんな1958年を感じさせるが、価値観が変っても子供の時の「子の心親知らず」と親になっての「親の心子知らず」みたいな親子の葛藤の本質は変らないのだろう。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-12-10 00:17:12) |
19.小津映画初のカラー作品ということで、タイトルテロップも白黒に加えて赤文字が挿入され、冒頭のカットは東京駅の赤煉瓦がまず映し出されます。なんか、巻頭カラーページに載ったマンガみたいに、無邪気にカラーを楽しんでる感じがします(笑)。赤いヤカンやラジオも印象的でした。内容的には、父親のほうに感情移入しちゃいました。「お父さんには言ってもわからないわよ」と蔑ろにされたら、そりゃイラッとしますよ。だから、「お父さん(お母さん)は全然私の気持ち分かってくれないのよ。勝手なのよ」と女性陣が言うたびに「それはお前自身のことだろー!」と突っ込んじゃいました。ただ、そのままの勢いでいつまでも結婚に反対していると、田中絹代母さんからの手痛い反撃が!いかん、やりすぎた!とお父さんも思ったことでしょう。阿修羅のごとく表情を変え、服をパタンと床に落とすお母さんのあの迫力は圧巻。田中絹代の凄みを見て、思わず「ウホッ」となってしまいました。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-07-13 02:51:08) |
18.モノクロがカラーになろうとも、どこからどこまでも小津映画だ。立体感を意識したカメラワーク、独特の台詞まわし、一目でそれとわかる。テーマもまた娘の結婚問題だし、中村伸郎・北龍二といった同窓会メンバーも小津映画だ。 この当時は親の承諾がないとなかなか結婚できない時代、一家の主をさしおいて縁談が進むと不機嫌になるのは佐分利さんだけではなかろう。 この映画でひとつ気になったのは、佐田啓二扮する谷口が佐分利信の会社に現れたとき、応接室でなく常務の部屋に直接通されたこと。このときは相手がどういう人物かわかっていなかったはずなのに・・・。 ところで笠智衆さんが主役(東京物語)になっても、佐分利信が主役になっても、平山さん。いや主役でなくても多くの小津映画に平山さんがたくさん登場するのはどうしてだろう。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-07-09 22:43:11) |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-05-15 21:29:21) |
16.年頃の娘をもった父親の、複雑な心情を描いたドラマ。 小津監督お得意の父娘もので、ストーリーの安定感は抜群だし、キャストも凄い豪華、 安心して観ていられる。主人公の佐分利信は確かに頑固そうなイメージはあるが、 かなりの鉄仮面でボソボソしゃべるので、時々刑事のように見えて、最初はちょっと戸惑った。 奥さん役の田中絹代は今回は控えめ。娘役の有馬稲子や桑野みゆきが若くてきれいだった。 演出面に関しては言うことなし。相変わらずの小津節を存分に見せてくれる作品。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-30 04:22:52) |
15.佐分利信演じる主人公は結婚を肯定している。夫婦愛も信じている。親子愛も信じている。 しかし自分の子供が結婚するまでの有り方を用意していなかった。 認められない現実とは裏腹に物事はどんどん進んでいく。 自分の口から発せられる言葉と腹の底との葛藤。 娘の幸せには自分の成長も必要であるということをしぶしぶ認めていく。 小津監督はそれらを美しくテンポよく個性的な登場人物を使ってすばらしいローアングルの風景におさめている。 【ぺんぎんうさぎ】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-04-18 23:43:07) (良:1票) |
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14.夕べ授業で見ました。私はアメリカの映画学部専攻なのですが、アメリカ人だらけの教室で、英語字幕付きの小津映画を見るとは何とも新鮮な気分になりました。最初は英語字幕を読みながら、ほーほーこうやって訳すのか、なんて考えながら見てましたが、途中からもう字幕なんて読まず、久々に聞く日本語の独特の柔らかさや響きに耳を傾けて見始めました。こういった京弁というのは本当に心地の良いものです。さて、ストーリーは本当にどうってことのないファミリードラマなんです。娘を嫁にやりたくない頑固親父と彼を取り巻く周りの人たちの話。別に派手なことが起こる訳でもないし、どんでん返しの結末が待っている訳でもない。本当に日常的な題材。しかし、どうしてこんなにも温かい気持ちになるのでしょうか。アメリカにいるから日本の和の文化に久々に触れて心がポカポカしたというのも一理あるかもしれない。でも、そんなことよりやはりこの映画には愛がびっしり詰まっているからだと思うんです。私が一番心打たれた人物はお母さんです。授業後のディスカッションであるアメリカ人の学生が“母親はいつもニコニコ笑っていて瞬きもせず表情は同じでつまらない”と言っていましたが、私はそこがいいんじゃないかと突っ込みたくなりました。母はいつも娘想いで、それでいて頑固な夫を立てて、凛と母と妻の二足のわらじを履いている。あなたが幸せなら私はそれで嬉しいわ、という嘘偽りない言葉と笑み。この映画でこの母の存在は、父や娘に比べると割と地味でありながらもとても大きなものだと思います。頑固親父が“お前はどう思っているんだ、言え言え!”と無理強いした時にこそ出た本音。その時こそは笑顔は消え、一対一の人間として同等に話をしていました。その時の母の目の強さ。いつもは夫の一歩後ろでものを言う彼女が発した強い言葉には思わずよく言った!と拍手を送りたくなりましたよ。この母の存在が私はとても好きですねー。もう半世紀近く前に作られた映画なのにものすごく楽しませていただきました。こうやってアメリカで良い日本映画に出会うとは思いませんでしたよ。私の映画学部先生たちは小津監督の大ファン。これから私ももっと古い日本映画を開拓していきたいです。 【未歩】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-11-30 15:35:00) (良:1票) |
13.日本では、この映画で描かれているように、真剣な話は「ま、ちょっと座れ」からはじまっていた。その文化が消えてしまったのが『解夏』である(←別れ話を立ってする恋人たちが描かれている)。時代はめぐる。本作は小津作品のなかでも京都が出てくる数少ない作品だが、祇園の細い路地のシーンは、狭い空間をうまく写す小津のカメラにぴったりの素材だと思う。もっと京都を撮てちてくれれば…。 |
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11.「ただいま」「おかえりやす」京都の言葉、つまり京言葉っていうやつです。これが本当に何とも良いなあ!そう思わせてくれます。小津作品全てに共通して言えることの一つに言葉の大切さ、家族の有り難さをしみじみと描くその雰囲気、いかにも日本的で観ていて何だか安心出来るのです。小津監督独自の人間の撮り方、これはカメラマンの力も大きいと思います。良い映画というのはそういうものだと小津監督の作品を観ることで、観れば観るほど思う今日この頃です。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-14 21:25:27) |
10.わたしにとって、やっぱり、小津は、笠智衆と原節子です。二人がでてくれば、そこに家族愛があると素直に頷ける。そして結婚などでそれが崩れてゆくとき、得もいわれない感慨に浸ることが出来る。あの人を食ったような、やや軽薄なメロディも、笠智衆のバックに流れるのなら、違和感もない。そして全体として、神話的な空間が拡がってゆく。、、、、、、この作品の、佐分利信はどうなんでしょう。小津の作品にあっては、どうも存在感、生命感が強すぎるのではないかと。或いはあまりに偉そうというか、、、、、。小津作品のマンネリ・テーマにちょっとしたアクセントを加えるという趣はあるのかもしれませんが、なんか浮いているという印象をぬぐい切れません。それに娘である有馬稲子のことを可愛がって、愛しているという雰囲気がいまいち伝わって来ないというか。娘を嫁にやった哀しさも伝わってこないし。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-07-31 10:45:42) |
9.いいですねー、京ことば。主人公一家と京都の親戚母娘の会話の両極端なテンポがもたらす絶妙なリズム。両者ともに、より際立っていました。静かなる紳士ぜんとした男が唐突にわいた娘の結婚話しにイライラし、物分かりの良い妻にも意見され、「おい!うるさい!ラジオ消せ!」と怒鳴るシーン。怒鳴られたことによる困惑のなかで、夫の心情を察して微かな笑みを浮かべる妻。ウチだったらギロッてにらまれて1週間は口を聞いてもらえないことまちがいないだろう、、ということで、苦々しくも羨ましい、でもやっぱりいいなぁと思えるシーンでした。小津の他の作品のように、同じ部屋でも色々な方向から撮っているんですが、赤いヤカンに代表される小物たちの存在が混乱を避ける目印となり、またその可愛らしい自己主張が心を和ませます。誰もいない廊下の片隅にある赤い座布団の敷いた籐の椅子が、場面の切り替え時に度々映し出されますが、静かな余韻に浸るいい間(ま)を作り出すとともに、最後の最後に妻がその椅子に座る画の伏線にもなっているのには驚きました。小津の映画はこういう驚きに溢れています。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-23 18:20:29) (良:1票) |
8.どうしても達者な関西弁を自由自在に操る浪花千栄子や、大輪の花の如き美貌の山本富士子に視線が行きがちになってしまうが、ここでは敢えて田中絹代の控えめながらも力強い演技を僕は声を大にして褒め称えたい。佐分利信と芦ノ湖のベンチに座り、戦争中防空壕の中で家族が一緒だった事を回想するシーン、ゴタゴタが一件落着して電話口で「良かった、ほんとに良かった」と娘の幸せを心から祝福するシーン等はその中でも特に絶品といえる。長年役者を続けてきた人だけが出せる、たおやかな気品とでもいったらいいか。最近こういう女優さんいないよなあ・・・。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-09-26 15:19:24) (良:1票) |
7.“親バカ”とよく言うけれど、その意味でバカでない親なんて多分いないんだよね。有馬稲子がキレイ。情感豊かに、哀愁たっぷりに物語を紡ぎつつも、ベトベトしない小津のストーリーテリングはさすがという他は無い。僕はこれが日本映画の最高傑作のうちの1本であると信じて疑わない。 |
6.小津初カラー作品だけど、よかった。構図とか小道具とか絶妙でした。「色があって、色がないかのごとく色がないようにして、どこかにある」とても美しいと思った。出演者では浪花千栄子が一番印象に残る。京都弁で喋りまくるのが面白い。 【バカ王子】さん 9点(2004-03-31 21:02:18) (良:1票) |
5.嫁入り前の娘と父親の姿をユーモラスに描いた作品です。私は最近初めて観たのですが、今観ても普通に面白い映画でした。なんの知識もなく観ても、さすがは「小津監督」素晴らしいセンスですね。余談ですが、友人(日本人)がフランスでこの映画を字幕で放映しているのを観たそうです。最初、日本語が上手く聞き取れなくてフランス語の字幕を見てしまったとのこと。昭和30年代の日常会話ってこんな感じだったんでしょうか?今とまるで違うのは確かですね。もしかして、今の中学生にみせようと思ったら現代語訳の字幕が必要なのかな…?? 【へっぽこ】さん 8点(2004-03-18 20:16:16) |