29.初老の私にとっても、この作品で描かれている古き日本は、懐かしいを通り越して、もはやファンタジーみたいな不思議な世界なのだけど、そこにカワイイ子役や、もどかしい恋愛をしている若者など、現代の私たちにもリアリティを感じられる人々が絡んで、大した盛り上がりがないにも関わらず、そこはかとなく面白く、印象的な作品になっている。テーマとして、いろんな意味の「未熟さ」が描かれているのかなと思った。 【すらりん】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-19 00:48:35) |
28.小津が撮る「日本」は外国人が撮る「日本」によく似ていて 日本の風景や構図が生活者の視点というより旅行者が観る日本の視点に近い。 妙に小奇麗というか情緒的というかガイドブック的というか。 ドキュメンタリー思考の監督ならバキュームカーとか出しそうだけど そういうリアリズムというか生活臭は決して映さない。 で、内容は「ここが変だよ日本人」であり「ホワイジャパニーズピーポー!」なんだよね。 ただ、駅で佐田啓二が「いい天気ですね」と言う空は、遠くで工場から煙が出てて、 デジタルリマスター版でもスモッグがかかった空にしか見えないというのは小津の皮肉なんだろう。 【michell】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-19 18:01:03) |
27.この時代の日常を描いている作品。 「(挨拶のような)無駄なことが世の中の潤滑油になっている」、でも「(男女間で”好き”という)大事なことはなかなか言えない」というのが印象に残る映画。 単純に面白いかどうかという観点では評価しにくい。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-04-24 21:45:53) |
26.ご近所の様子を淡々と描く、一見「無駄」のようなあいさつや井戸端会議が、実はコミュニケーションの潤滑油となって社会の軋みを防いでいる、無駄の大事さを説いているように思えました。 これを観ると、現代の、無駄なものは一切排除という風潮が、なんだかギスギスした社会を作ってしまったような気がします。「テレビは一億総白痴化の元凶」というのも、その通りになってますね。次男のアイラブユーがウケているようですが、自分は序盤の「オフコース、マダム」で吹き出しました(笑) 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-18 18:58:20) |
25.昭和30年代に作られた映画なので当時のリアルな衣食住の風景が新鮮でした。セリフ回しに多少の違和感がありましたがそれなりに味わいのある映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-08-13 20:01:56) |
24.これカラー映画だけど、もう50年以上前の作品なんだなぁ。 小津安二郎作品でこんな喜劇があるなんて知らなかった。 男の子兄弟の無言ストライキに振り回される大人たち、とりわけ杉村春子演じる隣近所の主婦の嫌らしさを逆手にとったユーモアが冴え渡る。 セリフが聞き取りやすいのもグッド! 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-15 20:41:57) |
23.これはトーキー以後の小津で、蒲田サイレント時代のリズムが一番感じられ大好きな作品。子どものハンストが『生れてはみたけれど』の反復という直接的な関係もあるが、どちらかと言うと、おでこをツンとする仕種が『生れては…』のまじないを思い出させ、タンマの仕種も絶妙に使われている。給食費請求のゼスチャー、「書いて示せばいいのに」と思ってしまう我々は、トーキー以後の映画を見て育ってしまった人間の無言観で、ここは「字幕」に頼らず沈黙の身振り・仕種で伝えようとしなければ、サイレント時代から映画を作ってきた矜持が許さないのだろう。久我美子のトンチンカンな解答が笑わせてくれる。若夫婦がジャズを口ずさみながら横断するカットは、チンドン屋好きの成瀬ならまだしも小津のトーキーで見るとかなり異様に映るが、サイレント期の、学生の応援団(『落第はしたけれど』)や肩を組んで歩む不良グループ(『朗らかに歩め』)の再来なのではないか。ところで、四つの家の配置がいつもよく分からなくなるので(住んでる東野英治郎でさえ間違うくらい)今回は図を描いてみた。草の土手がある側に杉村春子と高橋とよ、ブロックの斜面がある側に長岡輝子と三宅邦子が並んでいるよう。異常なのは奥と手前両方を土手状の斜面で視界を塞いでいることで、こんな住宅地現実にあるだろうか。庭の眺望が必ず隣家によって遮られる小津の嗜好が、拡大されたのであろう。つまりこの住宅地が一つの家のようで、小津映画でおなじみの部屋から部屋への出入りを、隣近所に広げてみたわけ。移動する四人の主婦が小津常連の名手ばかりで、最良の弦楽四重奏のようなアンサンブルを楽しませてくれる。全編天上の音楽を聴くような傑作で、トーキーになってもこういう純粋なコメディをもう2、3本作っておいてくれてても良かったのに、と思うけれど、一本でもあるだけ嬉しい。登場する駅は、蒲田の川向こうの八丁畷であった。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-10-07 09:35:47) (良:1票) |
22.面白いな~。「大人だって余計なこと言ってるじゃないか」のくだりが特に笑えた。描かれる笑いは一般的な家庭の日常にあるもの。なんだか子供時代を思い出して懐かしくなる。部分的な笑いだけではなく、会費の件、子供たちの抵抗、宮沢さん(東野英治郎)の件が繋がっていくストーリーもしっかりしたもので、全く飽きさせない。杉村春子、高橋とよは中学生の母親にしてはちょっと年を取りすぎかなと思わなくもないが、この人たちだからこそ、ご近所同士のちょっとした会話も面白い。これが役者の上手さなんだろう。そんなベテランに負けず劣らず子役二人も見事。特に勇役・島津雅彦はこの時期の小津映画にちょくちょく出てくる子役で、黒澤監督の「天国と地獄」にも出演しているけど、それだけ人気がある子役だったのも納得だ。笠智衆はまったりしてて温厚なイメージがあるから、怖い顔して子供を叱ってるだけで面白い。何かを蹴飛ばす勇にお父さんが「こら!」、これだけで笑えるって凄いこと。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-05-03 16:30:44) (良:1票) |
21.核となるストーリーはなく、主人公一家の向こう三軒両隣を中心に、 昭和30年代の家族の暮らしと生活風景をコミカルタッチで表現している作品。 わかりやすく例えれば、アニメのサザエさんのような構成。 細かいエピソードを散りばめており、結構笑える。 ただロケーションが、彼らの住む川沿いの建て売り住宅のような場所ばかりで、 当時の風景描写があまり見られないのが残念だった。 キャスティングは安定感があり、杉村春子が相変わらずいい味出している。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-08-01 06:37:12) |
【Balrog】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-03-27 18:57:35) |
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【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-11 20:07:04) |
18.やっぱり小津はすごい!!コメディタッチでありながら、淡々としていて、でも、切ない。相反するような要素をすっきりとひとつの映画にまとめている。子どもたちの間で流行っているおならをしあうことが、なんとも微笑ましかった。 【kaneko】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-07-22 18:28:59) |
17.すごく笑えました。子供はいつの時代もおんなじだな~。 【norainu】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-28 19:20:58) |
16.その映画人生でひたすら「家族」の来し方行く末を描いてきた監督小津。当時の関係者内からはその作風に批判的な風潮があった、と聞いていますが約50年経った今でも支持されるのは彼の描写した風景の本質そのものは時代が変わっても不変だからでしょう。でこの作品。大人の理解を超えた、子供ならではの行動を見せつけられて可笑しさが増す。オナラ遊びに気を入れすぎて「み」が出てしまった時の子供の凹みっぷり、面白すぎる。話の面白さだけではなく近所付き合いの様子(人の出入り)を捕らえたショット、流れのテンポに関しては実はものすごく工夫されたもので注目すべき点。あとこの映画の久我美子。あいらぶゆうー! 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-01-13 23:58:19) (良:2票) |
15.子どもだちが「お早よう」と言わなくなった、ということが大事件として扱われる。いくら昔の映画だからってこんなにミニマルな映画があるんでしょうか。あるんですなあ。まるで人が死んだか!というくらい悲壮感溢れる音楽も流れます。「無駄口叩くな!」と大人たちは言うくせに、「けど無駄があるから、潤滑油になって良いじゃないですかね」などと言う。無駄口喋るなと言ったのはそっちじゃないか!と子ども目線でイライラしてしまいました(笑)。けれど、最後は子どもたちが、そんな大人の矛盾や「本音」を汲み取る術を無意識にも理解して、成長する片鱗がほーんの少しだけ見えるのがオツでいいですね。それにしても、「もう口きかない」といってあそこまで粘れるのは関心。私は一晩でギブアップしました! 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-08-27 17:37:17) |
14.小津監督による何とも微笑ましい喜劇の秀作です。この映画を観て思った。やっぱり小津監督の作る世界、描く世界は日本人ならではの面白さが画面いっぱいに伝わる。小津ファミリーとでも言うべき俳優陣、特に杉村春子の相変わらずの上手さ、頭が下がります。東京物語や晩春などといった傑作には叶わないと思うものの、これはこれでまたとても観ていて微笑ましい気持ちにしてくれる何とも味わいのある映画だ! 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-11 22:11:11) |
13.そういえば、建て替え前のウチの家にも勝手口ってあったなぁ。ほんとに勝手に近所のおばちゃんが入ってきてたなぁ。こういう、その当時は当たり前だった光景をまったく知らない若い人たちが見たら、家の間口が余計にこんがらがっちゃうんじゃないだろうか。わかっててもこんがらがっちゃうんだから。 会話における大人と子供の対比がおもしろいです。好きなのに「いい天気ですね」に対して、弟ちゃんの「アイラブユー」は極端すぎて笑える。笑えるといえば、やはり「おなら」。「プー」「呼んだ?」「いいや」「そう」..「プー」「何、呼んだ?」..笑った。それにしても、小津のカラー作品って、日本のどこにでもある日常の風景なのに、独特の虚構性を持ってますね。この雰囲気はアキ・カウリスマキに継承されてるなと感じました。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-06-24 13:15:26) (良:1票) |
12.小津映画の四番バッター杉村春子が、出番は少ないながらここでも大活躍。「もうやンなっちゃうよ本当に、ばあちゃん、あんた本当に楢山行きだよ!」って台詞自体もすごいけど、滑舌のいい彼女の口から発せられると小気味良く聞えるから面白い。久我美子や佐田啓二あたり、この映画じゃ子役に食われて印象が薄い。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-04-02 14:04:35) |
11.「おはよう」の挨拶一つで人はいとも簡単に繋がりあう事が出来る。“挨拶”という当り前で有り触れた物がいかに大切で必要不可欠か改めて教えてくれた。そしてその教え方も決して説教臭くなく、どこか遊び心によって観せてくれたので、終始笑いながら楽しく観る事が出来ました。 【ボビー】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2004-09-29 12:57:21) |
10.小津監督のコミュニケーションに対する考えがよく分かって面白い。挨拶や天気の話は大事な情報をやり取りしていないという点では無駄といえるけど、コミュニケーションの潤滑油としてとても有効なのは誰もが経験的に知っているところ。外交の場面でも天気の話してるのかななどと、ふと思った。アメリカとイスラムもやってみればいいのに。 映画自体は小津映画の中でも特に笑える一本。特に、「兄貴といさむちゃん」は最高である。この兄弟は少し大きくなって『秋日和』に再登場する。「のりこさん」も、小津映画では常連のお名前。ご近所のおばちゃん同士のやり取りも、ドロドロにならず、上品にまとまっていて観やすい。 |