15.善悪のゲシュタルト崩壊。自分と違うものを排除しようとする社会の異常さがひたすら際立ちました。そんな中で、一瞬しか出てきませんでしたが、オウム真理教による被害者の会の人が一番まともにオウムに接していたと思います。 オウムから離れられないというよりは、今の社会に戻りたくない。という荒木氏の言葉にはハッとさせられました。彼らを作りだしたのは社会です。 それにしても警察ってコントみたいなこと平気でやるんですね。そのコントが現実にまかり通っちゃうから怖い。平然とした顔で「公務執行妨害だな」って言った時の鳥肌は、どのホラー映画を観た時よりも凄まじかったです。 物事を決して一面のみで判断しないことの大切さを教わりました。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-07-22 19:03:00) (良:2票) |
14.妻投稿。「私たちにとって怖いのは差別される事ではなく、いないものとして扱われること」と私の先輩(知的障害者女性)は言っていた。マスコミは「頑張って健常者の仲間入りをしようとする障害者」と「悪い事しても法律で罰せられない(実際はそんなことはなく、むしろ健常者なら執行猶予になりそうな罪に実刑が下ることも多いのだが)怖い池沼」ばかりながし、健常者が知的障害者にどれだけひどいことをしているかを流さない。なぜか・・・多くの人にとって興味があるのは「知的障害者との融和」よりも「知的障害者が自分たちにどういう影響を与えるか」という事実があるからだ。つまり需要があるから供給がある・・・単純なことだ。別に悪いことではないし、この社会は健常者を基準としているのだから当たり前の事だ。■■■しかしこの映画はそんな「社会の当たり前」の嫌な面を容赦なく突きつけてくる。もちろん障害者を扱ったものではなく、オウム真理教という殺人集団を扱ったものだが、この映画は「オウムは意外と悪い集団ではないよ」ではなく、マスコミ報道や市民があの時共有していたものがいかに薄っぺらかったを、オウム事件を通じて当事者である観客一人一人に訴えているのだ。私は見ている観客の立ち位置すら否定しかねないその容赦のなさという点がマイケル・ムーアになくて森達也にあると思う。■■■オウム事件から10年、日本は成長しただろうか。発達障害者に貼られる「ゲーム脳」「準ひきこもり学生」というレッテル。だめだこりゃ・・。自閉症や知的障害の人はもう社会に理解を求める甘えは捨てたほうがいい。 おっと、そうやって孤立したらオウムみたいになっちゃう(かも?)ね。 【はち-ご=】さん [レーザーディスク(邦画)] 8点(2008-04-06 23:47:52) |
13.オウムだって人間なんだよ、彼らだってがんばっているんだよ、なんていくら言われたところであの非人道的テロ集団を私は絶対に許さない!なんてかるーい気持ちで見たのですが…うーん…確かにややズレてはいるものの、純粋に修行に励む彼らを見ていると「そこら辺のチンピラよりもずっと立派だよな」と、一体何が我々の思うところの「真実」なのかが分からなくなりました。オウムを肯定するのはこの映画の正しい見方ではないと思います。ただ忘れてはいけないのは、「世論」とはたった12のチャンネルや他の情報媒体、つまりは所詮誰かが作り出した恣意的ドキュメントによって成り立っているという事だと思います。公的機関も然り、警察とマスコミには「絶対放送しない」と言った暗黙の了解があるそうです。不当逮捕のシーンはそう言った馴れ合い自信の表れだったのでしょうか?もう見たくないってくらい本当に嫌な気分になりました。特にネット右翼や全ての学生に見て欲しい貴重な作品だと思います。本当に見て良かったです。監督に拍手。 【Kの紅茶】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-01-12 12:26:27) |
12.荒木さんの「人間社会から出家したはずなのに、この一年が一番人間社会に直面していたような気がする。」という一言に、ほぉと思いました。女性記者とのやりとりや、警察官とのやりとりは観てるときは腹が立ちましたが、おもしろかったです。映画とドキュメンタリーは別モノだと思うので、この点数を付けさせてもらいました。 【kaneko】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-09-28 08:14:26) |
11.ほんとうにばからしいと思うのは、いま、”オウム”を追っかける、話題にする、若きジャーナリストというか一般、の安易なメンタリティーである。(というか、オウムに思想を?超越を?みつけようとするバカ)麻原への一番の”興味”は彼の”人心把握術”以外のなにものでもないのに。簡単にいいかたをかえると、”三浦和義”と同様である。というか、することがないので、あまりにもスキャンダラスなオウムの事件をちょっと考えて、書いたり、発言したりするだけで、すーぐにさっぱりと”あーそういえばそんなこともありましたね”と忘却のかなたへ!ようするに、どうでも良いのである。事件の”当事者以外”はね! それこそ、麻原の”おもうつぼ”だ!!!(というか、製作者の真の目的である、”お金”にめくじらたてる、俺もバカだが)”世間”が自分のことをとりあげてくれるたびに、話題にしてくれるたびに、”麻原”はほくそ笑んでいる。 一番クソおもしろくないのは、こんな”クソ作品”を批評してる俺より、これを造った監督のほうが数兆倍価値があると信じる、俺のこころ。 【男ザンパノ】さん [DVD(邦画)] 0点(2007-07-28 00:03:36) |
10.マスコミ志望の学生は一見の価値あり。やり取りが生々しくて面白い。警察の公務執行妨害の自作自演が寒々しいと同時に、恐ろしくもありますねえ。 【バチケン】さん 9点(2004-11-18 20:34:22) |
9.心がざわつく作品。当時、オウムという集団が凶悪犯罪を起こしたのはほぼ間違いなく、また新たな犯罪を起こそうとしていると思われたのは当然のことだ。だから公安による微罪逮捕なども、ある程度仕方のない事だとは思うし、そもそも社会の規範や現世での幸福を否定している団体が「人権」とか言うのも矛盾している、と思う。駄菓子菓子。後半に登場していた、オウムを「悪魔教団」と罵り、「オウムに破防法を適用せよ!」とヒステリックにアジってたおばちゃんにも感情移入することはできなかった。その意見の是非ではなく、「相手が絶対悪=自分が絶対善」と無邪気に(?)信じている様が、まるで「デビルマン」に登場する「悪魔討伐隊」を思わせて不気味なのだ(なので、もし映画「デビルマン」を観ようとしてる人にはこっちが断然お勧め)。まるで「フセインは悪だ!だからこの戦争は正しい!」と叫ぶどこかの大統領のようでもある。 そもそもオウム(アレフ)信者は、自分たちの集団が犯罪を犯したことを知りつつ在籍しているのだろうから、社会から白眼視されたとしても、それを甘んじて受ける責任と覚悟は必要だと思う。しかしだからといって社会がオウムに対して何をやっても許される、ということにはならない。大体歴史的に言っても宗教というのは外部からの迫害が大きければ大きいほど結束を強くし、信仰は深まる。彼らに「麻原(松本)が犯罪を犯したのは確かなのだから脱会して社会復帰しろ」というのは、例えばキリスト教徒に「人間はサルから進化した生き物で神が創ったのでないことは明らかなのだから信仰を捨てろ」と言っているようなものだと思う。結局まず彼らに対する「狂信的集団」という見方をひとまずやめて「オウムという信仰を持っている人々」という認識から始めないと問題の解決には至らないのではないだろうか。この作品のスタッフがオウム側に信頼され、ここまでの映像を撮ることができたのは、その認識があったからだと思う。 さて、最後に映画としてのこの作品に対して注文を一つ。この作品は、観る人が事件についてある程度の知識を有していることを前提に作られている。だからこれから若い人たちが予備知識なしにこの作品を観ても、よく分からないと思う。できれば事件に関する資料やコメントを入れた「再編集版」も作ってほしい。この作品は、そうするだけの価値がある、と思う。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-10-28 19:04:37) (良:2票) |
|
8.華氏911を観て、なんとなく他のドキュメンタリーを観たくなった。んで興味をもったのがこの作品。しかし、いまいちそれぞれのシーンでの状況がよくわからん。ナレーターがいればよかったのに。 【ガッツ】さん 5点(2004-09-06 05:02:10) |
7.「将来はマスコミ関係の仕事に就きたい」と思っている高校生女子なんかには特にお薦め。 どんな世界にも表と裏があって当然なんだろうけど、このフィルムで幻想を打ち砕かれて下さい。 【キュウリと蜂蜜】さん 9点(2004-07-10 21:52:19) |
6.今まで、オウムについての情報といったら、それは全てメディアという媒体を通した情報なわけで、整理され、コメントで印象づけられ、即製のできあがったものしか通して知ることができなかったわけです。だから当然のことながら、その裏側、それはオウムもマスコミも含めて、その即席の顔を作る前の裏側なんて知る由もなかった。でもだからと言って、おおよそ一般の人はこちらからオウムに近づいて接触を持とうとする人はほとんどいないでしょう。そんな中でこの「A」という映画は、見事に彼らの裏側、つまりはこれこそが彼らの真実により密接している部分を人々に見せてくれる。そして日常を見せてくれる。一番必要なことは、知るということ、理解するということ、臭い物にはふたをする、ではなくて、ではなぜそれは臭いのか、その匂いの根源は何か、それに面と向かって立ち会うことによって、本質が見えてくる。 【あろえりーな】さん 7点(2004-07-02 01:12:12) (良:1票) |
5.「A」と「A2」を連続して鑑賞した為に「A」の印象というのは若干薄い。これは「A2」の方がより考えさせられる内容だったことにもよるかもしれないが、かといって「A」に見るべきものがなかったかというとそれも全く間違いである。「A」があくまで荒木広報副部長を中心とした物語であるとすれば、オウムという日本を震撼させた犯罪者集団、狂信的宗教団体の中で、あまりにも普通に苦闘し煩悶する彼の姿を浮き彫りにしていることにこの映画の重要な意義を感じるからである。僕は、ある意味で同世代の彼に安堵と共感の念を禁じえなかった。僕らが忘れかけていた青春的な葛藤劇をこんなところで見せられるとは思ってもみなかったけれど。<これを青春映画と呼ぶことに全く異論なしです> もちろんオウムの犯罪は今でも許しがたいものであり、僕らは安易に彼らの信教を犯罪から切り離して認めることはできない。矛盾を抱えた世の中と自分自身との関係に苦しみ、人生に対する絶対的な回答を得たいという彼らの真摯な願望は分からないでもないが、その終着が今でも麻原に行き着くところに捩れた純粋さを感じる。しかし、この映画はその辺りのところは脇に置いておいて、オウムという鬼っ子を完全に排除したいという公安機構や犯罪者集団というレッテルでとにかく押し通したいマスコミや世間の醜悪さを見事に描いており、どちらかというと僕らの側にあり、僕らが意識することなく認めている体制というものに様々な理不尽さが存在することを見せ付けるのである。とにかく偏見というのは恐ろしいものだ。オウムは信者をマインドコントロールするために多くのビデオやマンガを用いたそうだが、今、思考停止状態にある世間をメディアが煽動することほど簡単なことはない。中立であるはずの報道が偏見の為に誤った情報を流し続ける、そういう恐ろしさを感じざるを得ないのである。この映画は誠実な人、荒木氏の廻りの不誠実な公安権力やメディアをかなり決定的に映像化しえたことでドキュメンタリーとして成功したとも言えるのではないだろうか。 【onomichi】さん 10点(2004-06-27 23:09:53) (良:1票) |
4.汚い無精髭たくわえたデブのアメリカ人なんかをありがたがってる場合ではありません。 【ナクサライト】さん 9点(2004-05-22 18:49:25) (良:1票) |
3.今われわれ日本人が北朝鮮に対して抱いている嫌悪感や、マスコミの対応についても考えさせられる。まさに、日本人は戦前の大政翼賛会のように一度見方が決まるとその見方を決して変えようとしないのだと感じた。さらにマスコミは、それをどんどんあおる。 【孤島の鬼】さん 10点(2004-02-29 18:49:57) |
2.この作品を観て、オウムが一番メディアに取り上げられていた、僕が中学生だった頃の事を思い出しました。僕はその当時、彼らの拠点の一つ(それは松本サリン事件や坂本弁護士殺害事件などの一連の事件よりもかなり早くからあった。)の近くに住んでいたのですが、テレビの中の"現実"、それは日常から遠く離れたフィクションに近い"現実"と、自分の身近にある"現実"のニアミスに興奮し、テレビに熱中していました。一億総オウム評論家と誰かが揶揄していましたが、僕の愚かな頭の中にはどのサティアンにどんな施設が隠されているか、オウムの幹部の人物像と宗教名、それに警察の動きなどがこと細かく納められていました。今はもう、その当時どんな気持で彼らに熱中していたのか、はっきりとは思い出せないのですが、(もちろん、オウム自体の詳細なんて完全に霧散している。)ただ、「オウム信者がカッターナイフ所持で銃刀法違反で逮捕」というニュースに大きな疑問を感じた事だけは記憶しています。その当時、僕の性格ならばたぶん周囲の大人にこの疑問を尋ねたはずなのですが、その返答はまったく記憶に残っていません。適当にあしらわれたのでしょうか、それともきちんとした返答を受けたにもかかわらず僕が記憶から失ったのでしょうか。どちらにしても、納得はしていなかったはずです。(だから違和感だけが残っている。)気付けば僕は、その当時の僕なら「大人」だと思った年齢にまでなっていました。僕が、あの時の僕を納得させられるかは自信がありません。あれから僕は何を考えて生きてきたんだろう?何を学んできたんだろう?そんなことを考えました。あの当時、"正常"と言える眼で事件をみつめていた人がどれだけいたのでしょうか?いや、過去に限ったことではなく今、9.11後の世界を冷静に見詰めることができる人がどれだけいるのでしょうか?澄んだ瞳で、世の中を見渡せる人間になりたい。そんなことを考えました。 【fero】さん 9点(2003-11-23 20:37:18) |
1.アレフと名前を変えたオウム真理教のドキュメンタリー。と言うよりも、警察権力やマスメディアの怖さ?を、オウムを通じて描いている。オウム「アレフ)は絶対悪であるという一般認識を振りかざし、人権を侵害し傍若無人に振舞う記者や警察官。信者と口論、もみ合いとなった末、勝手にコケたくせに公務執行妨害で信者を逮捕する警官は、グーで殴ってやりたくなること請け合い。一方、信者達は至って普通の人々だが、やっぱりちょっと原理主義的で「国家、法律」より「教義」が上位にあることが窺える。こっちもやっぱり怖いなあ。「ボウリング・フォー・コロンバイン」ほどエンターテイメント精神に溢れてはいないが、ドキュメンタリーの良作であることは間違いない。 【C-14219】さん 7点(2003-11-23 18:21:34) |