11.罪と罰の映画化であるということは知ってたのですが、本当にそのまんまなシーンが出てくるので笑っちゃいますね。そもそもロベール・ブレッソンがフョードル・ドストエフスキーの作品に惹かれる理由がよくわかりません。饒舌で大袈裟な台詞が特徴の小説家と抑制された台詞と動きが特徴の映画監督は明らかに真逆の存在です。もちろん才能のある作家は影響を受けたからと言ってそのままコピーしたような作品を作ることはしないでしょう。しかしそもそも原作のテーマをロベール・ブレッソンはどのように理解してたのでしょうか。多様な解釈ができる作品ですが私は次のように解釈しています、人が一人でいるのは良くない、そして人が本当に一人になることは決してない。この映画で単独犯ではなく集団犯罪が描かれるのには違和感を覚えます、社会から孤立してしまった人間というテーマから外れてしまうからです。完成された美学の世界として楽しむにはこの映画は現実に近すぎ、逆に現実を見出すには人工的すぎます。感情表現を抑えた演出というのは普通は制約としてしか機能しません。それが活きるジャンルはコメディです。フョードル・ドストエフスキーの小説も喜劇的作品として理解されることが多いです。しかしロベール・ブレッソンの作品はクスリとも笑わせる気がありません。ピンボールで反射神経を鍛えるとかギャグシーンとしか思えないのですが、至って真面目なシーンのように出てくるのでズッコケるしかないです。 |
10.淡々と進んでいく手法に、映画の方法論としての感銘は受けたが、内容はイマイチである。 いや、実際のところ方法論はかなり気に入った。 【浅田荷葉】さん [DVD(字幕)] 5点(2019-03-22 19:12:05) |
9.ブレッソンの作品なので当然スターの豪華共演なんてのは無く、ストーリーにも特筆すべきものは無い。 音楽もほとんど使われず徹底的に地味な作品ですが、鮮やかなスリの手口、その瞬間を見せる、それだけで面白い。 あとは主人公の青年がどう自滅していくのか・・・?というところに興味は移っていく。 その通りに年貢の納め時が来るのですが、こういう救いの手を差し伸べるとは思わなかったな。 とても素人とは思えないヒロインの女性が印象的です。勿論ブレッソンが次回作では主演に起用、なんてことは無い訳ですが、 本作を見て、「ぜひ我々の次回作に」というオファーなども無かったのでしょうか・・・。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-03-15 22:06:55) |
8.近所のレンタル屋さんに置いてある数少ないブレッソン監督の映画で、これまたあの手の動きの凄いこと!まるで手に何か付いてるんじゃねえのか?て感じさせる動き、手にカメラが付いているようです。映像の美しさもこの映画を一つの芸術のようなものに思わせる。感じずにはいられなくなるものがある。サスペンス映画というよりは芸術映画の雰囲気を漂わせるこの監督の映画作りの前には映画って、派手な演出なんて全く要らないということが改めて解る作品でもあり、この映画は扱っている題材がタイトル通りの「スリ」だから派手さは全くないので最近のハリウッド映画ばかり見ている人には物足りないと感じることでしょうし、地味ではある。そして、サスペンス映画としてはやや物足りない。それはあまりにも簡単にスリが実行され過ぎるという物足りなさ、しかし、そこに行き着くまでの展開にはやはりハリウッドの大作には味わえないものがある。この監督さんの映画を観るのは私自身、これがまだ二つ目であり、最初に観た「抵抗」に比べると面白さという点で劣るので取りあえず7点ではあるが、まだまだ他のこの監督の映画も観たい。頼むから全部バラでDVDとして発売して欲しい。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-13 21:21:50) |
7.主人公の体にあっていないスーツの上着が気になって仕方ない(大きめでなきゃ仕事がしにくいからか?)。獲物を物色して歩く際の彼は眉毛だけが以上に目に付き、ヘタすりゃ「眉毛が歩いている」みたいに見える。そして、地下鉄内でタブロイド紙を広げて対象人物に近付いていく様は「異様そのもの」で挙動不審もいいとこ、怪し過ぎ。・・・という難点はあるのだが、何というか、手に汗握るシーンの連続と、主人公の心情変化が交互に波の如く心に迫り、目が離せない。ストーリーはあってなきが如し、という感じ。スリは映画にもドラマにも数多くネタとしては扱われているが、こういう「スリというお仕事」にのみフォーカスしたものは希少で惹き付けられる。こんな、ある意味「ドラマチックな」お仕事を経験してしまったミシェルは、果たして、ジャンヌと子どものためとはいえ、「アタリマエの」お仕事で先々人生納得できるだろうか。「ブラック・ジャック」にも「スリ」という話があったが、指を切り落とされても、結局、また元の稼業に戻っていたのを思い出してしまった。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-28 14:18:03) |
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6.才能ある一部の特別な人間は罪を犯してもよいという哲学はまぎれもなくドストエフスキーの「罪と罰」だが、様々なテーマを内包するこの小説とは違いブレッソンはテーマを無視し物語すら端に追いやりひたすら「動き」を映すことに専念する。ただ泥棒が泥棒をして捕まるという筋があってそれらが映されるだけでそこに主人公の罪に対する葛藤のドラマもなければ貧困あるいは不信や不満といった社会背景が描かれるわけでもない。映画は動くものを映すものという原理のみを追求する。それだけでも楽しめるのが映画なのだ。というかこれが映画。スリの場面は手がアップで映される。その動きの美しいこと!物語は消失し画面では堂々と「手」が主役を張っている。 【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-19 14:16:52) |
5.スる側とスられる側の写しかた、この辺りに映画美術というものをしみじみ感じました。内容に関しては特にありません。 【maemae】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2006-05-29 16:06:55) |
4.スリの技術はこんなに短期間で習熟できるのだろうか。この映画の後、スリを演じていた男優たちが普通の生活に戻って、周りの人間とのつきあいに変化がなかったのかがとても気になる(失せ物があると真っ先に疑われる可能性あり)。競馬場での仕事のシーンは説得力があり真に迫っていたが、電車の中でのそれは、犯人がパーソナルスペースを侵すほど接近しているのに、すられる乗客が全く気づかないのが少し現実感に欠けた。もうすこし混雑した車内にしないとおかしく思うが、それだと、カメラを入れられなかったのだろう。刑事と犯人との関係、母親を安楽死させたのかどうか、主人公と隣人の女との恋愛模様についてはよくわからなかった。 |
3.期待していた程ではなかった。気づいたら終わってた感じ。まるで、知らない間にスリにあってレンタル料をすられた気分だ。 【STYX21】さん 5点(2005-01-04 20:19:36) |
2.ブレッソンさん、どうやったらこんなものが撮れるんですか?フレームに収まっているすべてのものが生きています。こんな映画二度と出てこない。 【藤村】さん 8点(2004-07-07 14:37:42) (良:1票) |
1.全員シロウト採用による、ブレッソン節炸裂(初期)の逸品。ヒロインがメチャメチャ美人なんだよねー。でも女優業じゃないんだよね…この映画以外で見れないのが超惜しいっす。というか、この娘が美しすぎるせいで作品ぶち壊してない? もっと貧乏に負けてやつれたようなキャラでしょ、あの役は。ストーリー/カメラワークは後の『ジャンヌ・ダルク裁判』の頃に比べるとまだケレン味があって、観客をグイグイ引っ張ります。息詰まる静と動。華麗なスリのテクニック。違った意味での(違わないかもしれないけど)『芸術』映画ですな。そして、下手な演技でも泣かせてしまうラストが待っております。観てから何年も経つけど、今でもあのラストシーンは心に残ってるなあ。オイラ的ブレッソンの中では『少女ムシェット』の次くらいにランクインする映画なので、この点数で。 【エスねこ】さん 7点(2004-03-03 03:33:35) |