2.「L.A.コンフィデンシャル」が赤子に思えるほどの傑作中の傑作。
グレン・フォードが魅せるギャングvs警察のフィルム・ノワール。
「ゴッドファーザー」や「L.A.コンフィデンシャル」に多大な影響を与えたのはホークス、黒澤明、そしてフリッツ・ラング。
前半の丁寧なドラマ展開から一定に保たれた緊張の糸。
その糸が弾け飛ぶ時、主人公の壮絶な復讐劇は最高潮のままクライマックスを迎える。
“自殺”の場面から始まるファースト・シーンの強烈な導入、
最初30分はグレン・フォード演じる刑事が地道な聞き込み調査。
平和な家庭での日常、その裏では凶悪な事件を追う刑事だ。だが、まだ罪人を“徹底的に”潰す狂気は無い。優しすぎる一面を持っている。
用心棒をブチのめす場面も何処か優しすぎる甘さを感じさせる。その甘さが後半の狂気をより引き立てるワケでもあるのだが。
ま、アレですよ。とにかくバーの雰囲気とか、色々素晴らしい。
主人公の家庭に響く無言電話、ジリジリと迫る恐怖、積み木が崩れ去る暗示とかとにかく良い。
突然の死が重なる時、車が吹き飛ばされる時、警察バッヂを捨てる時、直接的な描写はなくとも沸騰したコーヒーを浴びせかけるシーンの恐怖、一生消えない火傷を負っても死ぬに死ねない女、外見は無傷でも爆発の衝撃で・・・男は復讐の鬼と化す!
ラスト1時間の緊張感に満ちた展開。
主人公が探る一味も顔を出してくる。
リー・マーヴィンの悪党ぶりも良いが、何と言ってもグロリア・グレアムの存在!!
こんな魅力的でエロティックで“女”を見せ付けてくれるファム・ファタールは中々お目にかかれない。別にヌードになるワケじゃない、脱がなくともそのセリフ、しぐさで勃起するくらい最高の悪女だ。
特に終盤の彼女は最高だったぜ。
今回のラングは女に容赦なさすぎる。
案外、少女の連続殺人を描いた「M」よりえげつないかも。
モチロン、我等がグレンも最高潮だ。
バーで一味と主人公が邂逅し“ゾッ”とする瞬間。
尋問される男は気の毒だ。
コンド●ムなんか机の上に置いておくから(関係ねえだろ)・・・。
首を締め上げてでも吐かせてやる!
終盤の銃撃戦までの流れも凄かった。
文句なしの傑作です。