2.観光映画よりは踏み込んでいるけど、内側からモンゴルを観察したというほどのドキュメンタリー精神はなく、まあ「留学映画」とでも呼んでみましょうか。モンゴル人の心に直接触れてるという気にはなれないが、短期旅行者の傍観よりはいい、ってとこで。雄大な風景と対比させるような、病気の子どもの目に映る狭い青空。町の図書館のシーン。あるいはロングで、バイクのラマ僧と移動百貨店トラックが道でよけあうとこ、などいくつか印象に残るシーンがある。それらがこじんまりと納まってしまうところが物足りないが、それがこの作家の資質なのだろう、新しい歌を歌おうとせず・新しいものを発見しようとせず、しかしそういうものが好きならそれでいいではないか、という大らかな気にはさせる。観ているほうにもモンゴル的大らかさが伝染していて。ラストのナーダムは、揺れる画像の合い間にロングの揺れない画像を入れてほしいところ。