5.うむむ、チェコの映画というとカレル・ゼマンとかのストップモーションアニメの印象が強かったのだけれど、こんなごっつい映画もあったのね。ナチに嫌悪感を抱きつつも無力な主人公の描き方が凄くリアル。善良だけど平凡で、弱さも狡さも併せ持つ市井の人間が時代の不条理に翻弄される様が痛々しく、生々しい。 【ぐるぐる】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-01 17:12:42) |
4.ナチスの政策に関して、アウシュビッツをケバケバしく描いた映画などよりもある意味ではリアルに感じられる。作中のセリフにも出てきた諸悪の根源は恐怖にあるというのを地でゆく映画で、それを強調するかのようなラストは少しやりすぎではと思ったが。ラストシーンでまず天井を映したり、後に手のひらを返すのを予期させるかのように冒頭からしつこいくらいに冷えた夫婦関係を描いたり、そして迫ってくる「その時」を諷示するかのように着々と完成へ向かう塔など、最初から最後まで常に先を暗示させるようなシーンを先行させており、製作者がこの作品で語りたいことの意図はよくわかる作りとなっていてその点は、先が読めるからつまらないというよりも逆に作品に引き込まれた。 【Arufu】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-27 04:21:10) |
3.《ネタバレ》 題からは想像付かないほど重い内容です。見始めてから、これがユダヤ人迫害に関する話だと分かっても、明るい結末を期待していました。というか、明るくなるもんだと思っていただけに、ラストには衝撃を受けました。自分の命を守ろうとして半狂乱だった人間が、自ら命を絶ってしまうなんてなんて皮肉な話でしょう。しかし、この話がとても暗い話であるからこそ、エンドロールの楽しそうな大通りの様子がいっそう悲しみを呼び起こします。全ての人にすすめられはしないけれど、本当によい作品です。自殺したトーノ自身ではなく、彼の視界を映し出した監督にも、センスの良さを感じました。 【トナカイ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-23 20:23:34) |
2.これは名作だと思います。でてくるばあちゃんは決して可愛くないし、おっちゃんも人はいいけどちょっとよれよれ・・・このキャラクターの位置づけが巧みで凄いと思う。いっそうに辛く、悲しい。ラストに2つの選択肢を暗示させるあたりも堪える・・・ずっとひきずりそうな作品です。 【ジマイマ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-02-26 21:29:44) |
1.《ネタバレ》 ラスト数十分間がひたすら凄い。恐怖によって打ちのめされる主人公、あらゆる感情が入り混じっている。そこから生まれる葛藤と凄まじいまでの緊張感。しかしそれ以上に凄いのが肝の据わったおばあちゃんこと、イダ・カミンスカの迫真の演技。カンヌでの特別賞受賞、アカデミーの主演女優賞ノミネートも当然でしょう。ラストシーンの幻想性も忘れ難い。 【かんたーた】さん 8点(2005-02-23 16:41:14) |