60.全三部作の第二章に当たる作品。
真ん中というだけあって、起承転結の"承"と"転"を担っているので、原作を読んでいない人には少し厳しいかも。
一応原作を読んでいた自分でさえも、何度か置いて行かれそうになったり、見終わった後に謎が残ったりした。
この謎は次の最終章で明かされると期待して、観賞前にこの作品のレビューをチェックしたときによく目にした、"リアリティの無さ"についての自分の考えを…。
漫画を忠実に映画化しているのだから、リアリティが無いのは仕方がないと思う。ましてや、その漫画がSF要素を含んでいるのであれば尚更である。
前作については、漫画的な表現を映画の中でするのはどうなのか…と苦言を伏したが、今作では会話の中にも回想場面を入れるなどの"映画的"な手法で、映画としてのわかりやすさが格段に上がった。
映画的な手法を取り入れたことで、原作に完全に忠実な映画化では無くなったかもしれないが、"ともだち"が支配する2015年の日本を、映像技術を駆使して巧みに表現していたと思う。
媒体によって、表現方法を変えることは必要なのだ。第一章の時に感じた違和感が今作では解消されていて、よかった。
今作の主人公であるカンナ役について。観るまでは名前も知らず、期待もしていなかったが、カンナの髪型といい、活発さといい、持ち合わせている雰囲気といい、上手く表せていたと思う。
カンナのクラスメートの小泉役も、コロコロと表情が変わって喜怒哀楽が激しい小泉という難しい役を上手に演じていた。
役者といえば、今作も原作のビジュアルにそっくりな人ばかりで驚いた。
そして無駄に(笑)脇役が豪華。
チョイ役でも、思わぬ人が出ていたりする。
個人的には、春 波夫役の古田新太がハマり役だった。
だらだらと書いてきたが、今作も一原作ファンとして十分楽しめた。
ただ、上映時間が2時間20分と長めなのが、子どもや原作を読んでいない人には辛いかもしれない。
最終章では、コンパクトに(笑)そして映画化で幾分かわかりやすくなったこの作品の"謎"が解明されることを期待したい。