1.《ネタバレ》 冒頭から、極端なほど会話がなく、登場人物の顔を映して沈黙の表情をただ見せるだけといったシーンだったり、覇気のない様子を延々と映し出すだけのシーンが何度もあって、かなり退屈してしまった。
これら一連のシーンを、そこに生きている人の貧しさや暗さだったり絶望感が描かれているものとして捉えるべきなのかもしれないが、これはただ単に作り手の表現力の乏しさ故のものだと考えたい。
上記のシーンに意味合いが生じてくるのは、登場人物のその場での生活状況や心情がまずストーリーとして前もって描かれてからであり、映画の序盤からいきなりそのような淡々としたシーンを並べても全くと言っていいほど効果が現れないように思う。
ラストで見せた微かな笑いは、日常のささやかな喜びやこれからの一抹の希望を表現したものだったのだろうか。もし仮にそうだとしても、それまでのストーリーで特に面白い点もなかったこともあり、かえって虚しい笑いのように感じた。