1.《ネタバレ》 冒頭の常に浚渫船が構図の中で動き回っているダイナミズム、とにかく舞台芝居と違って大きいものを動かせるってことは、映画の喜びの初めにあったものでしょう。字幕は、セリフよりも、トガキというか作者のナマの声のほうが多い。冒頭などワンカットごとに字幕が入り、ちょっと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のリズムになっちゃいそう。何か、日本の浄瑠璃とかギリシャ演劇のコロスとかの役割りに近いんじゃないか。港湾都市の移民たち。トランクの上に並んで座る構図は、そのままアパートのソファの構図につながっていく。横に伸びる影が強調された部屋。長い階段の果ての部屋で、この手すりを子どもは滑り降り、街に出ようと決意した娘も下っていく。マッチの燃えかすで眉を引く。外に出ていくとこを後ろから捉えたカット。でピクニック、娘に言い寄る色男を少年が蹴って、それからケンカになり、ついに主人公が色男を「あなたの夢を実現する場所」いう看板に追い詰めて叩きのめす仕組み。やっぱり基本は、自分の力で切り拓いていく、という精神ね。