1.《ネタバレ》 緩急のつけ方が凄くハッキリしている映画ですね。
ちょっと重箱ですが、オープニングの空港での再会時、主役二人の熱いキスシーンとその他外野のクロスカッティングのシーンでは、外野のショットは空港の喧騒があってそれがBGMっぽくなっているのに対しキスする二人に切り替わると音が聞こえなくなっていて(恐らくロケとスタジオのクロスカットしている)、これが意図してそうしたかはかなり疑わしいですが、二人の世界を誰にも邪魔される事が出来ない雰囲気を作り出しているようで、結果的に上手いラブシーンになっていると思いました。
少しストーリーが進むと私立探偵が出てきて、夫が怒り狂って怒鳴り散らしているシーンとそうでないところでもオンとオフの差が激しいですし、やはり何と言っても指揮をしている最中の妄想と現実との差が面白可笑しく描かれているところ、特に現実世界のグダグダ感が笑えます。
台詞の過剰さがやや鼻についたのと、妄想3回というのも少々クドく感じられましたが、小物遣いや脚本も良く出来ておりコメディの要素もなかなかの出来で、更にワーグナーやチャイコフスキーの楽曲が楽しめたりと見どころ満載の映画に仕上がっていると言えるでしょう。
主役の指揮者はコメディ俳優ではないと思いますが、タクトの振り方がとんでもなく下手糞で毎回吹き出してしまいそうになったのと、ヒロイン役のリンダ・ダーネルが美人だった事で、ちょっとオマケして6点。邦題も上手いですね。