1.《ネタバレ》 反原発派から原発推進派に転向した環境運動家の姿を捉えたドキュメンタリー。私はこの映画の難点というか、ハッキリ言って駄目な点が2つあると思います。
まず1つ目は映画としての見せ場に乏しいことです。私はドキュメンタリー映画であっても見せ場、簡単に言うと抑揚は必要だと思っているのですが、この映画では基本的に幾人かの活動家の「私がなぜ意見を変え推進派になったか」が延々と語られるだけ。一部で過激な反原発派の行動が映されたりしますが、そこを除いたら如何にもお行儀の良い作品となっていて、正直に言って欠伸が出るほど詰まらなかったです。
2つ目はバイアスがかかりすぎていること。まあ想像つく通りこの映画は如何に原発が安全で、低コストで、地球に優しいかを懇切丁寧に説明してくれます。そういう目線で映画を作るのも別にいいのですが、余りにアンフェアじゃないので腹が立ってくる。ある場面でチェルノブイリ、スリーマイル、福島、3つの原発事故で死者は殆ど、少なくとも民間人では皆無であると語られます。逆に地球温暖化が原因による死者は途轍もなく多いとも……。原発事故による死者数で議論になるのが関連死もそれに含まれるのかということですが、この映画では上記の通り原発事故による関連死はゼロとカウントされています。それに対し、地球温暖化による死者は関連死をカウントしている。地球温暖化による直接死など定義しようが無いので当たり前です。
つまり反原発派の行動をテロ行為と評す一方で、この映画こそが非常にバイアスが掛かった議論で地球温暖化への恐怖をまき散らしている。"テロル"を以て"テロル"を糾弾している。これ程に馬鹿馬鹿しい話はない。