5.《ネタバレ》 分離壁によって生活が分断されたパレスチナが舞台。主人公の青年が、反イスラエル活動に加わるも当局に逮捕され、拷問の末、仲間に対するスパイとなることを命じられ・・・というオハナシ。
ですが、単に抑圧の悲惨さを訴えるのではない「何か」が、この作品にはあります。
銃撃を受けようとも壁を乗り越えていた主人公。自由を求め、抑圧に反抗していた主人公が、スパイとなることを強要された末、当局に、あるいは状況に、呑み込まれ支配される存在となっていってしまう。
ついに自力では壁に登れなくなってしまう主人公の姿が、それを象徴しています。
いわば、人間の持つ弱さというものが、この理不尽な環境によって、残酷なまでに露呈されていて。
それでも人は、運命に抗うことができるのか、というラスト。