3.《ネタバレ》 邦題からするといかにもマカロニウェスタンなんですけど、実際にはサッパリ西部劇じゃなくって、雰囲気は何だか、なんちゃってアート系のお色気映画。だけど濡れ場が無くって(もう一息でそっち方面に行きそうなんだけど・・・)その代わりに中盤にちょっとしたアクションシーンを加えてみました、ってな感じ。マカロニ的な期待感を持って見ると、どうも物足りないんですが、それでも崖を爆破したりしてみせるのはなかなかに大胆です。
で、男の名前がホセ、女の名前がカルメン、そんでもって冒頭からのこの展開、とくると、まさかこれは「カルメン」なのか、とイヤな予感が。そういやたまにオペラ「カルメン」の一節を思わせる音楽も挿入されるし。たしか出演者の中にクラキンの名前があったけど、中盤までなかなか登場しないし、まさかまさか、クラキンがエスカミーリョ役なのか。そんなバカな。⇒と思ってると、さすがにそんな事は無くってホッとします。もっとも、何しに登場したのかよくわかりませんが。
「カルメン」を下敷きにしつつ、物語はどんどん離れていって、オモシロくなる方向ならいくらでも離れてくれて結構なんですが、ツマラナイ方向にどんどん離れていっちゃう。一体この先どこまでツマラナくなるのか、と思うと、逆に何だか楽しくなってきたりして。
終盤、突然、闘牛シーンが登場し、製作側もこれが「カルメン」だったことを急に思い出したかのような。だいじょうぶ、我々はちゃんと覚えてますから。だから、わかりきったラストをわざわざ見せてくれなくてもいいんです。ラストのやりとりがいちいち、クドくてしょうがない。その埋め合わせなのか何なのか、ホセも波打ち際で絶命してみせてくれるのだけど、私の横で観ていた子供が冷たい声で「全然死んでないやん。お腹動いてるやん」。ネロさんしっかりしてくれ。死ぬシーンで息を止めるのは、基本です。