1.《ネタバレ》 監督作は『別離』と『誰もがそれを知っている』の二作しか観ていないと思いますが、ごくごく陰鬱でシリアスなお話をカタルシスも無いまま最後まで運び切る…という従前からの作風として今作もまたその通りだと言えますし、それがまた中東社会の中に描かれるという一種のエキゾチックさ(+でありながらのお話としての普遍性)といったトコロもまた仍て件の如し、という感じでもあります。この監督大好きなのよ!という人ならば、も~必見だよ!という感じでもありますかね。
やはり、特に宣伝文句にもある様に今般のSNS化社会の在り方を問う…といった部分が(全世界普遍的な社会的テーマなコトもあって)かなり面白く観れましたですね。メディアやSNSで「バズった」結果、チヤホヤと持て囃されたり小金稼ぎになったり…とゆーのは昨今、テクノロジー or プラットフォームのお蔭もあって本当にごく簡単なコトになった…てのはソラそーだ!と思うのですが、誤解を恐れずに敢えて言えば、多くのソレは只の「人間性の切り売り」になってもーてねーか?と思うコトがあるのですよ。言い換えると、ソレってスキル・芸や実績・経験値といった確たる裏付けの無いナニかを商品化しているという意味ではある種の「虚業」だとすら思いますし、特に表現者と言われる範疇の方々にとってはソレは非常に「危うい」コトだ、とも思うのですね。そして、どちらかとゆーと私にとっては、それこそSNS化でそーいう「商品化」の方が容易にもなった一方で、その商品が「偽物か否かの判別」とゆーのもある種、我々一般市民にとっては容易になったのではないか…とも思われるのです。なので、それこそ私自身は今作においても決して主人公側に強く感情移入して観ていたワケでもなくて(そもそも、彼が踏み倒してた1.5億トマンてイラン界隈では相当な大金だとも思いますし)ワリと結構冷めた眼で観ていた…と言っても好いのですよね(結論的には、私には今のSNS社会はその悪しき面と同じくらいに、良き面の方だって当然にまた見えている…様な気もしている、と)。
重ねての個人的結論、もし人間性を売って食ってきたいなら、とりあえずまずは「ホンモノ」を売りなさいね、というコトですかね。今どき、ソコの誤魔化しはも~ほぼ効かないぜ…というコトかな、と。