《改行表示》74.《ネタバレ》 小津作品を観るのは「東京物語」に次いで二作目である。 結論 やはりこの監督さんの作品は私には合わない様だ。 時代の流れ・様々な慣習や道徳の変遷という事を差し引いても、終始何処か違う星で繰り広げられている物語を観ているとしか思えなかった。 女性蔑視、本人の意向を全く汲まない縁談、年齢や上下関係を問わず相手の事を「あんた」と呼ぶ事等々。 この様な傾向は当然の事ながら邦画だけでなく洋画でも沢山有る。 他作品では「まぁ、昔の映画だからしょうがない」と受け入れる事が出来るのに、小津作品では悉く癪に障るのは何故なのか。 つまり、この監督さんとは合わないという事なのかなと思った次第。 ただ、本作が東京物語と決定的に異なったのは豪華女優陣の存在。 「日本一の美女」岩下志麻は当然として、岡田茉莉子や岸田今日子等、 1967年生まれの私にはベテラン女優としての印象が大きい方々の若かりし頃を堪能できたのは眼福で、 特に岸田今日子のコケティッシュな様は特筆ものだった。 【たくわん】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2024-02-27 11:11:22) |
《改行表示》73.この作品をみて、自分ごとと考えなくてはならない。と思った。 最後は孤独。 自分で自分の世話ができるのか。 【へまち】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-02-12 23:05:46) |
《改行表示》72.遠い昔、学生時代に名画座で見た記憶が「魚偏に豊」の台詞で蘇ってきました!当時は短い期間に小津作品を一気に見たので「また同じ話かぁ」という印象で見たことをスッカリ忘れていました。 今小津作品を見直すと毎回同じような話だけれども1つとして同じものは無い。本作では瓢箪先生が秋刀魚のわたのように人生のほろ苦さの象徴です。 【amicky】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-12-25 16:30:00) |
《改行表示》71.《ネタバレ》 時代を感じます。そりゃあそうだ。いま40歳の私よりも20歳年上のこの映画。しかもその映画を当時見ていた人たちとするなら、現在80代半ばくらいの人たちの時代向けに作られた映画ということだ。 恋愛結婚ではなく家庭同士で縁談としてまとめる、仕事の同僚がやたらと家庭内の縁談事情に口うるさく突っ込んでくる、女性に歳を聞いてズケズケと早く結婚しろとせっついてくる。すごいな、今の時代にはどれもない。そしてそのどれもが私の感覚では鬱陶しく煩わしく感じるものだった。やはり文化が違うんだな。そう思った。この頃はやはり家として縁談をまとめる、ということが大切にされていた時代なんだろうか。時代は感じたが、そんな時代の中にも抑圧されてきた女性たちの気持ちの鬱屈が見てとれた気がしました。劇中に出てくる女性は元気にバーを経営しているマダム以外、みな何かに不満そうであった。男たちはそんなことどこ吹く風という体であることもまた時代を感じる。想い人でない男性との見合いを承諾したあの様子を見て、「あー、納得してくれたみたいで良かった良かった」と安堵する父親と長男の会話は道化的で逆に失笑として笑ってしまった。あれのどこに納得した感があったんだろう。涙を流すまでもなく、路子が何かを訴えたいことはすぐわかるだろう。 それとも共通する点だが、男たちの傍若無人ぶりがすごい。この時代なら当たり前だろうが、男たちの「男は仕事、女は家事」の意識がすごい。ここまでやるか、と驚くくらい。そういった古い意識に抗い始めた女性たちの姿を見て、当時からそういう流れがあったことを知れたことは驚いたし興味深かった。 合わせて、若い女性の年齢を聞く時「3かい、それとも4かい?」というふうに20を省く言い方から、根底に20代で結婚するのが当然という風潮が感じられたり、「五万円」というのが今の貨幣価値だとどのくらいかすぐに換算できないあたりが、同じ国の話でありながら色々カルチャーショックでした。面白かったです。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-12 11:21:11) |
《改行表示》70.娘を嫁に出した後の笠智衆さんの演技、良かったなあ。 この人うまいんだか下手なんだかよくわからないんだけど、いいんだよね。 嘘がなくて、誠実で、温かい。 自分も月を見ながら涙する時が来るのかもなあ。 そんな人生の現実を見せてくれる映画。 岩下志麻様が目当てで観たんだけど、小津監督と笠智衆さんの凄みに改めて気づかされる映画だった。 |
《改行表示》69.《ネタバレ》 久しぶりの小津映画でしたが、やっぱり好きだ。派手さは無いが、じんわり感動がやって来ます。そして特徴的な劇中の話し手の短いワンカットの連続。テンポが出て良いのか、どんどん話に引き寄せられてしまいます。 今作は結婚だとか戦後の様子がテーマで、笠さんを見ていたら気楽に見えてしまうところもありますが、小津監督らしい寂寥感や孤独感はやはりあって、岩下志麻さんがそれをとても良く演じています。父親が好きだし心配もあるのでしょうが、父親の幸せを考えると自分はお嫁に行くことが良いと考えたのでしょう。そんな状況での互いに見せはしない感情を見ると、色々な思いを浮かべてしまいます。 しかし昔の男性は飲まないといられないという戦後の演出もあるのか、よくお酒を飲みますね。そんな楽しそうな中にあって寂しさが際立つのかなとも思いました。 小津監督最後の監督作品は変わらない良いものでした。 【さわき】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-12-23 09:12:00) |
《改行表示》68.《ネタバレ》 いやぁ、愉快愉快。 少しにっこり。 ほんのりしんみり。 会話で展開される物語に惹き込まれました。 演者の美しい佇まいに映画としての品格を感じましたね、コメディだけど。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-08-01 00:18:22) |
67.昭和30年代の家族を描いたコメディですね。サラリーマンの下世話バナシや家族について同僚と呑みながら語らうのは、今も昔も一緒ですね。でも、娘を見合いで嫁がせるのが当たり前のこの時代は、今とは違って形式的でなんか悲しいですね。中盤から笠智衆の娘の岩下志麻が主になって進行していくが、娘の旦那が登場しないことからして、見合い結婚の形式的な感じがして、同じ娘をもつ父親として悲しいです。出来れば娘は好きな奴と結婚させたいって気持ちが伝わってきました。ほのぼのとした良作。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-05-07 00:20:44) |
《改行表示》66.《ネタバレ》 小津監督作品というと、どうも肌に合わない印象が強かったりしたのですが、これは良かったですね。 序盤の部分に関しては、正直退屈。 でも、主人公の親父さんだけでなく、長男夫婦の日常も並行して描かれる辺りから、段々と面白くなってくる。 「ゴルフクラブを買いたいのに、妻が許してくれない」という悩みを抱える会社員が、購入を認めてもらった時の嬉しそうな様子なんて、実に微笑ましかったです。 また、途中で戦争批判と思しき箇所もあったりするのですが、そのやり取りも重苦しくはならず「負けて良かった」「馬鹿な野郎が威張らなくなった」なんて具合に、酒の席で上司に対する愚痴を零す時みたいな、軽いノリで描いてみせた辺りも好印象。 「娘の結婚問題」で、初老の主人公がアレコレと苦労しつつも何とか縁談を纏めようとする後半部分も面白かったのですが、惜しむらくは、終盤の「娘が嫁入りしてしまった後の寂寥感」を描くパートが、ちょっと長過ぎたように思えた事でしょうか。 あそこは「育てがいの、ないもんだ」「結局、人生は一人ぼっち」という台詞の後に、スパッと短く終わらせておいた方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と。 ただ、そこで「主人公の死」を連想させる演出が挟まれるのですが、安易に「酒に酔って交通事故に遭う」などの展開にはせず、まだまだ人生が続く事を示して終わってくれたのは、嬉しかったですね。 娘の嫁入りという、めでたくも寂しい出来事の後に「身体、大事にしてくれよな」「まだ死んじゃ困るぜ」と言ってくれる息子の存在には、救われる思いがしました。 タイトルの意味についても、作中で明確に言及されていない為、色々と推測する楽しみがありますね。 単純に晩年の三作を「秋」というワードで繋げてみせただけという可能性もありますが、それはちょっと作品単体への思い入れが感じられず、寂しい。 やはり「人生の味は秋刀魚に似たり」という意味ではないか、と思えるのですが、真相や如何に。 これが監督の遺作となった事も併せて、非常に味わい深い映画でありました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-08-09 19:09:48) |
《改行表示》65.昭和30年代、これをその時代に現代劇として描くよりも、平成の現代から描く方が心に感じるのは何故だろう。 ドラマに深みを感じられないし、それを行間から読み取ろうとするのも何となく違うような気がする。この映画を観て単純に楽しめるかどうか、その判断だとこういった作品に対する評価は厳しくなってしまう。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-05-03 15:53:51) |
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64.《ネタバレ》 50過ぎて同窓会に来られる人ってのはある程度の人生の成功者なわけで(来られない人にこそ様々な人間模様やドラマがあるのだろうが、この監督はそういう事には興味はないのかもしれない)。そんな中にも若い奥さんもらった同級生がいたり、恩師が行き遅れの娘と同居してラーメン屋やってたりと、いろいろと違いや差が出てくる。主人公は艦長まで勤めたエリート軍人なのだろうが戦争には負け、妻を早くに亡くしているが、子供3人には普通に育ち、孫は居ないが1人は結婚してるし、そんなに悪くもない人生。それでも他人が気になって、あわてて娘を嫁に出したものの迷いがあったり、他方バーの若い女が気になったりと、結局は他人との比較でしか自分の人生の良し悪しを測れない高齢者入りする戸惑う男の哀しみは程よく描かれている。自分の社会的引退と共に高度成長入りしていく社会とが調度交錯していく時代の変わり目の一瞬を切り取った作品であり、50年以上経過した日本の価値観や時代背景、視聴者の世代や環境によっては中々理解し難い所もあるのかなとは思う。 |
63.《ネタバレ》 ○午前十時の映画祭にて鑑賞。○小津監督の遺作にして、得意としてきたテーマで傑作ともいえる作品だった。○演者の撮り方にしても、間の撮り方にしても絶妙。各演者の登場するバランス等も素晴らしかった。○周平と川合が堀江を死んだと冗談を言うシーンがいい伏線になっており、好きな男性には女性がおり、縁談もうまくいかないのかとがっかりさせて堀江が周平に仕返しをするところが良い。○にしても当時20歳過ぎの岩下志麻の艶美さ。親に対するぶっきらぼうさと目や表情の色っぽさがアンバランスで良い。 【TOSHI】さん [映画館(邦画)] 9点(2016-02-22 22:55:07) |
62.小津作品によくあるパターンですが、チョイと不自然なセリフに実年齢的にチョイと無理筋な東野・杉村の父・娘。違和感が無いわけじゃないですが、人の価値観は変れど今も変らぬ人間の素顔を醸し出す登場人物に引き込まれます。繰り返される限定的な場面とアクションの無い抑性された演技、これだけで彼らの思いに共感できる映画ができることに驚嘆します。ほぼ全編セットによる撮影の中、昭和30年代の池上線の映像も印象的でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-02-01 23:22:16) |
《改行表示》61.《ネタバレ》 ハハハ。本当にまっ正面からなんですねえ。想定線の上に堂々と居座る無遠慮なカメラアングル。最初は違和感で仕方なかったんですが、思えばそれが引き金だったんでしょう。気がつけばもう小津ワールドの世界観にドップリ。まるでこちらに向かって話しかけられているような臨場感。「そうなんですかあ」と言われると、こっちがうっかり「そうなんですよ」と返してしまいそう。 さて、ストーリーは、娘を嫁がせる父親の心模様がテーマになっており、前半と後半で内容が別れています。 前半は特に事件も起こらず話も進みませんが、様々な「父」と「娘」が映し出されます。今まさに結婚生活を送っている義娘、未だ娘を嫁がせずにいることを引きずっている恩師、娘に先立たれた過去を持つも今ではすっかり立ち直っている海兵時代の部下。それぞれの形で今日を生きる父娘たち。その「それぞれ」を象徴するように、その時々に食べ物が出てくるのも印象的です。義娘の結婚生活はぶどう味、恩師の心境は鱧の味、と言わんが如く。 そして、後半は、そんな様々な父の一人である主人公がついに娘を嫁がせようと思い立ちます。娘がいてくれた方が便利だけど、娘の幸せを想えばこそ。娘をと嫁がせずにいることを悔いている恩師と、娘を亡くしていながらも笑顔で過ごしている元部下の存在が、その決心に踏み込ませたのでしょう。しかし、嫁がせたあとに待っていたのは、娘がいなくなった家。ラスト2分、もぬけの殻となった部屋や階段が次々と映し出され、主人公は、今にも泣き出しそうな表情を。薄暗い部屋で一人さびしく茶をすする後姿からは、娘の幸せの代償を背負う父親の哀愁が染み渡ります。 |
60.《ネタバレ》 激しく感情を高ぶらせるようなことはなく、正確な間合いで会話する登場人物たち。ひとの暮らしをモチーフにしつつ、生活臭さがない。まるでアンドロイドたちが昭和30年代を演じているようだ。その違和感がイヤかというと、そういうわけでもない。不思議な映画。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-01-11 10:06:17) |
《改行表示》59.小津映画の不思議な手法(カメラの端から見切れて登場しない、2人で向かい合って話すシーンがないなど)をたっぷりと堪能できる。 ストーリー自体は、古き良き日本を感じるなあぐらいの感想で別段どうってことないが、 自分も娘を送り出す立場になったらまた違う印象を受けるのだろうか。 【ポン酢太郎】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-12-01 00:37:56) |
58.笠智衆さんが魅力的。映画としてのよさがほのぼのとは伝わってくるが、感動、感激とは無縁。無いと寂しいが何度も見たくなるとは思えない。其れ共、笠智衆さんぐらいの年になったら見たくなるのだろうか? 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-02-08 23:47:34) |
57.《ネタバレ》 結婚後の倦怠期、娘を嫁に出した父親、嫁に行きそびれた女、そして老後の寂しい人生。登場人物たちの人生は日本人としてはむしろ平均的で、特に珍しくもないものばかりでしたが、どちらかと言えば人生のはかなさ、むなしさに趣をおいて描いている、そんな印象です。その中でも特筆すべきは、ひょうたん先生が酔いつぶれて帰った長屋の場面。杉村春子演じる娘が横で泣いている。自分の人生はこんなはずではなかったという涙であるが、人生の無情を物語る実に残酷な場面である。片や、若い嫁をもらって幸福の絶頂にある者もあれば、ゴルフクラブの購入費で頭がいっぱいという何とも呑気な者もある。人生は十人十色、様々な人生を淡々とした視点で描いており、他人の人生を少しだけ覗かせていただいたような心境になる映画でした。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-01-21 22:19:19) |
《改行表示》56.《ネタバレ》 淡々と家族を描いているのが良い。 岩下志麻さんが超絶に美しく、笠智衆さんのほのぼの感たら尋常じゃない。 嫁入り前のシーンでは、こっちまでフワ~っと胸にこみ上げて来るし、 お勝手で『あぁ~ひとりぼっちか・・・』なんてセリフが他人事には思えず、劇中の堀江氏のように若い嫁でも貰おうかしら・・・と。因みに、あっちの方の薬はまだ不要です。 小津作品は、そう多く観ている訳じゃないけど、何だろうこの見入ってしまう感覚は・・・と考えたら、小津作品は日本人にとってサザエさん的な安定感に近いのでは?と思えました。 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2013-11-18 14:32:09) |
55.学生時代に名画座で鑑賞。これが初めての小津作品でした。てっきりお客は映画マニアばかりかな、と思っていたら、会場は近所のお爺さんお婆さんで大盛況!終始笑い声が漏れて楽しい上映でした。この時の上映のおかげで、「小津作品はシネフィルだけが見るマニアックな映画」というようなイメージを持たずに済みました。今でこそ小津調の演出には馴れましたが、はじめて見たときはセリフ回しやその撮り方、編集の仕方など、いままで見てきたどの映画とも違う異質なものだったので、えらく驚きました。そのスタイルのおかげか、これがただ単に「庶民の生活を見つめた心温まるホームドラマ」とは思えなかったのも印象に残っています。ただホノボノしているわけじゃない、監督の激烈な感情が奥に込められている、そんな映画のような気がします。 【ゆうろう】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-07-13 04:05:03) |